精神保健福祉士の過去問
第19回(平成28年度)
権利擁護と成年後見制度 問161

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問題

第19回(平成28年度) 精神保健福祉士国家試験 権利擁護と成年後見制度 問161 (訂正依頼・報告はこちら)

保佐及び補助に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
  • 保佐及び補助における判断能力の判定に際して、いずれも原則として医師等の専門家による鑑定が必要である。
  • 保佐開始及び補助開始の申立てにおいては、いずれの場合も本人の同意が必要である。
  • 保佐開始又は補助開始後、保佐人又は補助人はいずれも被保佐人又は被補助人がした日用品の購入など日常生活に関する行為の取消しを行うことができる。
  • 保佐開始後、被保佐人が保佐人の同意を得ずに高額の借金をした場合、被保佐人及び保佐人いずれからも取り消すことができる。
  • 補助人に同意権を付与するには、被補助人の同意は不要である。

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は4です。

1.補助については鑑定は必要とされていません。

2.保佐開始の申立てにおいては、本人の同意は不要です。

3.保佐人、補助人とも、日常生活に関する行為の取消しを行うことはできません。

4.保佐開始後、被保佐人が保佐人の同意を得ずに高額の借金をした場合は、被保佐人及び保佐人いずれからも取り消すことができます。

5.補助人に同意権を付与するには、被補助人の同意が必要です。

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02

法定後見には三種類の類型があり、それぞれ後見・保佐・補助とわかれています。
それぞれに違いがあります。

後見の場合は、判断能力がほぼなくなった方に適応される最も重い類型です。
家庭裁判所によって、選ばれる必要がある類型です。
後見人は日常生活に関することを除いて、契約行為を取り消し、被害を回復することを行います。
被後見人は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状況にある」方です。
また被後見人となる場合は、非常に大きな資格制限があり、公務員をはじめとした役員や200に上る資格などを取得できないという欠格事項があります。
後見裁判の審判を受けた方が対象となります。

保佐の場合も判断能力が非常に低下していますが、後見制度ほどではない場合の類型です。
日常的な事まではできても、不動産などの重要法律行為を行うケースでリスクがある場合に、法的に支援する形となります。
そのため、被保佐人が勝手に契約をした場合でも、後に契約を破棄することが可能となっています。
被保佐人は「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である」事で、保佐開始裁判の審判を受けた方となります。
また被保佐人になった場合も被後見人ほどではないですが、様々な資格制限があります。

そして、補助は判断能力の低下がみられる場合になる一番軽い類型です。
対象者は日常生活に概ね問題ものの、精神上の障害により、事理を弁識する能力が不十分」なために、補助開始の審判を受けた人です。
本人が出来ない事、苦手なことがあって援助がなければ、生きていくための障壁が出るケースとなります。
ただし、被補助人の場合は資格制限を受けません。
その一方で、補助人の場合は、法的な代理権や同意権を持っていません。
代理権が付与されたケースに限り、財産の管理などを行う事が出来、同意権がある場合にのみ、契約の取り消しを行う事が出来るようになっています。

また精神鑑定については、後見・保佐の場合、原則必要となります。一方で、補助の場合は不要とされています。


×1 . 保佐及び補助における判断能力の判定に際して、いずれも原則として医師等の専門家による鑑定が必要である。
→精神鑑定は後見・保佐の場合には必要ですが、補助の場合は原則的に不要です。そのため×となります。

×2 . 保佐開始及び補助開始の申立てにおいては、いずれの場合も本人の同意が必要である。
→保佐・後見の場合は本人の同意は不要となりますが、補助の場合は本人の同意が必要となるため×です。
 保佐・後見の場合は家庭裁判所によって、それぞれの裁判を経て、開始が行われます。

×3 . 保佐開始又は補助開始後、保佐人又は補助人はいずれも被保佐人又は被補助人がした日用品の購入など日常生活に関する行為の取消しを行うことができる。
→後見・保佐・補助の三類型それぞれでも、日用品の購入に関する行為の取り消しは行えません。
 行える取り消しは日常生活に関しない契約となるため、×となります。

◎4 . 保佐開始後、被保佐人が保佐人の同意を得ずに高額の借金をした場合、被保佐人及び保佐人いずれからも取り消すことができる。
→後見・保佐・代理権を持っている場合の補助の場合、被後見・保佐・代理人の同意を得ずに借金した場合は、取り消すことが可能となります。これは重要な契約に関して、被害が生じた場合に回復させるための行為として、行われるので正解です。

×5 . 補助人に同意権を付与するには、被補助人の同意は不要である。
→補助人に同意見を付与するためには、必ず被補助人の同意が必要となります。

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03

正答【4】
成年後見制度の法定後見制度は「後見」「保佐」「補助」の3つに分けられ本人の判断能力の程度に応じて制度を選べるようになっています。今回は、3つの法定後見制度の「保佐」「補助」による設問です。

1.誤答
法定後見の3つの類型のうち判断能力の判定に際して、原則、医師等の専門家による鑑定が必要なのは「後見」「保佐」の2つです。「補助」には医師等の専門家による判定は必要ありません。


2.誤答
開始の申立てにおいて本人の同意が必要となるのは「補助」の申立てを本人以外の人がする場合のみです。「保佐」開始の申立てにおいては本人の同意は必要ありません。


3.誤答
被保佐人または被補助人による日用品の購入など日常生活に関する行為は取消権に含まれていないのでできません。


4.正答
保佐人の同意を得ずに被保佐人が高額の借金などを行った場合には、被保佐人、保佐人いずれからも取り消しをすることができます。民法13条第1項目に同意権が設定されています。


5.誤答
補助人に同意権を付与する際には被補助人の同意が必要となります。

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04

成年後見制度に関する問題です。成年後見制度は、判断能力によって後見、保佐、補助の3類型に区分されます。

1.×です。判断能力の判定に際して、医師の鑑定が必要となるのは、原則後見と保佐であり、補助は必要ありません。

2.×です。開始の申し立てにおいて、本人の同意が必要になるのは、保佐(代理権を付与する場合)と補助になります。後見相当の場合は判断能力がすでに著しく乏しい為、本人の同意は必要ありません。

3.×です。民法13条1項には「被保佐人が特定の行為をするには、保佐人の同意を得なければならない。とありますが、但し書きとして日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」とありますので、取り消せません。補助も同様です。

4.〇です。設問のとおりです。保佐人の同意なく借金をした場合、無効とすることは可能ですが、借金は返す必要があります。

5.×です。民法において、補助人に同意権を付与するには、被補助人の同意が必要と明記されています。

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