精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
人体の構造と機能及び疾病 問5
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問題
第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 人体の構造と機能及び疾病 問5 (訂正依頼・報告はこちら)
肢体不自由となる疾患に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、呼吸困難が初発症状である。
- 筋萎縮性側索硬化症( ALS )は、運動失調を主体とする変性疾患である。
- 脊髄損傷では、排尿障害が起こりやすい。
- 分娩時の高酸素血症は、脳性麻痺の原因となる。
- 遺伝性の脊髄小脳変性症では、歩行障害は起こらない。
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この過去問の解説 (3件)
01
1. デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、最も頻度の高い筋ジストロフィーです。初発症状は、転びやすい、階段を登れないなどです。2~5歳頃から、歩き方がおかしいなどで気付かれることが多いです。
2. 運動失調とは、四肢や体幹の随意運動を調節する機能が障害された状態をいい、筋力低下は伴わないものを指します。ALSは、四肢の筋力低下を伴いますので、設問は誤りです。なお、運動失調を主体とする変性疾患は、脊椎小脳変性が知られています。
3. 正解です。脊椎損傷とは、事故などが原因で脊椎の神経を損傷することです。主な症状として対麻痺(両下肢の麻痺)、四肢麻痺、排尿障害があります。
4. 脳性麻痺とは脳の損傷によって生じる運動と姿勢の障害です。分娩時の低酸素症が脳性麻痺の原因になることがあります。その他に、妊娠中の感染症や、遺伝子や染色体の異常、脳の中枢神経系の奇形、低出生体重児の低酸素性虚血性脳症などが原因とされていますが、原因特定は難しいとされています。
5. 脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とする神経疾患で、歩行時のふらつきや手の震え、ろれつが回らないなどの症状がみられます。動かすことはできるのに、うまく動かせない、という症状です。
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02
1.デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、X染色体上にある『ジストロフィン遺伝子』の変異により発症します。筋力の低下が生じ、幼児期に階段がのぼれない、転びやすいといった初発症状が見られます。
2.運動失調は、ふらつきや呂律が回らないなどの症状を引き起こす、小脳を中心とした神経系障害のこと。
ALSは、随意筋(自分の意志によって動かせる筋肉)を支配する『運動ニューロン』が侵される疾患です。筋肉が動かしにくくなり、筋力が低下していきます。
3.多くの神経が集まり、背骨に沿う形で存在している脊髄。障害の度合いは、損傷を受けた場所により異なります。おもな症状は、手足の感覚麻痺や呼吸障害、排尿・排便障害などです。
4.脳性麻痺の原因となるのは、分娩時における脳への低酸素状態です。症状の出方は、手足がこわばる『痙直型』、自分の意志に反して手足が動く『アテトーゼ型』などが挙げられます。
5.脊髄小脳変性症は、運動失調を主体とする神経系障害です。ふらつきなどの症状から、歩行障害を引き起こします。
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03
1.誤答
デュシェンヌ型筋ジストロフィーで、呼吸困難の症状が現れるのは末期症状です。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、正常な筋肉の構造と機能のために必要な遺伝子の1つ以上に異常があるために、様々な重症度の筋力低下を引き起こす遺伝性筋疾患のひとつであり、筋ジストロフィーで最も重症の病型です。
2~3歳頃の男児に発症し、症状は、下腿の肥大、転びやすい、走れないなど下肢の筋力低下の症状から始まります。その後、床から起き上がれない、筋委縮、側弯などと症状が進みます。
末期症状になると心筋や呼吸筋などの筋力低下によって呼吸困難や心拍異常が起こります。
2.誤答
筋萎縮性側索硬化症( ALS )は、運動失調を主体とする進行性疾患です。 筋萎縮性側索硬化症( ALS )は、指定難病の一つで、30歳以降に発症し、60~70歳代で多く見られます。
脳から運動神経系への指令が伝わらなくなることで体が動かず、筋肉が痩せていきます。体が動かないため、四肢の筋力低下により歩行困難をはじめ、運動神経が関わっている構音障害や嚥下障害、呼吸筋麻痺などが進行しますが、脳障害は起こらないのが特徴です。
3.正答
脊髄損傷は、交通事故やスポーツでのケガなどが原因で起こります。
脊髄は、脊椎の中にある神経の束で、脳から体の各部へ、体から脳へ指令や信号を伝達する中枢神経です。
脳幹から腰まで伸び脊椎の分類に合わせて頚髄、胸髄、腰髄、仙髄と分かれていて、損傷が起こった部分の脊髄がつかさどる神経の領域より下の部分に体のまひや感覚障害が現れるます。
しかし、損傷の場所に関係なく脊髄の下部にある神経のまひにより、排泄障害が起こりやすくなります。
4.誤答
脳性麻痺は、妊娠中から生後1カ月の間に赤ちゃんに起こった脳損傷が「運動麻痺」になることです。
脳性麻痺の原因としては、分娩時の低酸素脳症があげられます。
5.誤答
脊髄小脳変性症は、いずれの原因でも歩行時のふらつき、手の震え、ろれつが回らないなどの運動失調症状が起こりる神経疾患です。
脊髄小脳変性症は一つの病気ではなく、運動失調症状をきたす変性による病気の総称なので、病気の原因も多岐にわたります。
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