精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問139

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問題

第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問139 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題に答えなさい。

〔 事例 〕
Kさん( 77歳、男性 )は、小学校の校長を定年まで務めた。退職後は地域での活動を積極的に行い、1年ほど前まで民生委員も務めていた。妻の話では、民生委員を引退してからは、外出や人と接することが少なくなった。特に、3か月ほど前からは、時々食事をしたことを忘れていたり、県外に住む長男家族が帰省した時も、孫の名前を何度も聞いていたと言う。心配した妻は、Kさんが高血圧のために定期通院をしている内科クリニックに相談をした。そうしたところ、主治医から認知症疾患医療センター(以下「センター」という。 )を紹介され、まずは、妻が電話をすることにした。
センターでは、L精神保健福祉士が電話を受け、妻に日常生活において感じていることなどを聞いた。妻は、Kさんが食事をしたことを忘れていることや、孫の名前が出てこないことなどを話した。

傍らで聞いていたKさんは、妻が、「認知症ですか」などと発言したことに怒り始め、「そんなことはない」と大きな声で否定した。L精神保健福祉士は、妻にKさんのセンターへの受診を勧めた。しかし、Kさんは頑なに拒み、センターの利用には至らなかった。
2か月が経過した頃、民生委員の後輩のMさんが、民生委員・児童委員協議会の公開シンポジウムにKさんを誘い、一緒に行くことになった。そこで、同年代の認知症の人がシンポジストとして話をするのを聞き、Kさんは、「認知症になってもあれだけの話ができるんだ」と感心した。これが契機となり、Kさんはセンターの受診を受け入れた。二日後にセンターを訪れたKさんと妻は、L精神保健福祉士の面接を受けた。

次の記述のうち、L精神保健福祉士が行った面接の内容として、適切なものを1つ選びなさい。
  • 同じような問題を抱える人たちのグループ活動を紹介する。
  • 楽しかった思い出や、うれしかった出来事を整理する。
  • 認知症であることを伝え、服薬を指導する。
  • 不安や緊張を受け止めて今の思いや、悩みの内容を把握する。
  • 長期目標、中期目標、短期目標を考えて提案する。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4になります。
Kさんにとって、初めてのセンターでの受診となるので、不安や緊張を受け止めて今の思いや、悩みの内容を把握することは重要だと思います。

1 初回の面接での内容としては、適切ではないと思われます。

2 Kさんの症状の把握や治療において、思い出を整理したりすることもあるかもしれませんが、精神保健福祉士とこの時点の面接で行うには適切ではないと思われます。

3 精神保健福祉士が診断や服薬の指導などは行えません。

5 この時点ではKさんの思いや悩みを把握することが大切で、具体的な目標や支援については、面接がもう少し進んでから行う方が良いと思われます。

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02

正答は「4」です。

1. 同様の悩みを持つ人のグループ活動は、Kさんの状況によっては有効かもしれませんが、まだKさんの状況も今後の希望も明らかになっていないので、現段階での対応としては誤りです。

2. 治療の過程で楽しかった、うれしかったことを整理することは有効な場合もありますが、最初の面接ではKさんの状況や今後の方向性が定まっていないので、誤りです。

3. 診断ができるのは医師だけですので、誤りです。

4. 正解です。ようやく相談の場に来ることを了承して、足を運んでくれたので、まずは本人の気持ちに耳を傾け、現状をできる限り把握することが重要です。

5. Kさんの現状や希望が明確になっておらず、具体的な目標設定をするのは、この段階ではまだ早いので、誤りです。

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03

正解は4です。

センターを受診して二日後の面接ということで、不安や緊張を受け止めて今の思いや、悩みの内容を把握することが最も適切です。

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