精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問140

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問題

第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問140 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題に答えなさい。

〔 事例 〕
Kさん( 77歳、男性 )は、小学校の校長を定年まで務めた。退職後は地域での活動を積極的に行い、1年ほど前まで民生委員も務めていた。妻の話では、民生委員を引退してからは、外出や人と接することが少なくなった。特に、3か月ほど前からは、時々食事をしたことを忘れていたり、県外に住む長男家族が帰省した時も、孫の名前を何度も聞いていたと言う。心配した妻は、Kさんが高血圧のために定期通院をしている内科クリニックに相談をした。そうしたところ、主治医から認知症疾患医療センター(以下「センター」という。 )を紹介され、まずは、妻が電話をすることにした。
センターでは、L精神保健福祉士が電話を受け、妻に日常生活において感じていることなどを聞いた。妻は、Kさんが食事をしたことを忘れていることや、孫の名前が出てこないことなどを話した。

傍らで聞いていたKさんは、妻が、「認知症ですか」などと発言したことに怒り始め、「そんなことはない」と大きな声で否定した。L精神保健福祉士は、妻にKさんのセンターへの受診を勧めた。しかし、Kさんは頑なに拒み、センターの利用には至らなかった。
2か月が経過した頃、民生委員の後輩のMさんが、民生委員・児童委員協議会の公開シンポジウムにKさんを誘い、一緒に行くことになった。そこで、同年代の認知症の人がシンポジストとして話をするのを聞き、Kさんは、「認知症になってもあれだけの話ができるんだ」と感心した。これが契機となり、Kさんはセンターの受診を受け入れた。二日後にセンターを訪れたKさんと妻は、L精神保健福祉士の面接を受けた。

その後、Kさんは各種の臨床検査や心理テストを受け、診察の結果、初期の認知症と診断された。Kさんは診察の中で、たとえ認知症であっても地域の中で活動をしてみたいと言い、再びL精神保健福祉士に今後のことについて相談をした。

次のうち、この場面でL精神保健福祉士が提案したこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 認知症家族会の運営
  • 民生委員への再就任
  • デイサービスの利用
  • 孫の世話
  • 当事者活動への参加

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この過去問の解説 (3件)

01

正答は「5」です。

1. Kさんは認知症当事者なので、家族会の運営を行うのは適切ではありません。

2. 現在、物忘れなどの症状が出ている状態で、民生委員の役割を担うのは負担が大きいと考えられます。

3. デイサービスの利用は認知症の治療として効果は期待できるかもしれませんが、Kさんの「地域で活動したい」という希望に沿うものではないので誤りです。

4. 孫の世話は、家庭内でできる役割であり、Kさんにとってもよいこととは考えられますが、「地域で活動したい」というKさんの希望をもとに精神保健福祉士から提案する活動としては適切ではありません。

5. 正解です。Kさんの「地域で活動したい」という希望にも沿い、また当事者活動に参加することにより、Kさん自身の治療にもよい影響が期待できると考えられます。

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02

正解は5です。

1.Kさんは当事者ですので、家族会の運営は適切ではありません。

2.食事をしたことを忘れていたり、孫の名前を何度も聞いていたというKさんが、民生委員の仕事を支障なく行うことは困難であるといえるため、適切ではありません。

3.デイサービスは、一般的に地域には含まれないため、地域の中で活動を希望するKさんへの提案として適切ではありません。

4.Kさんの要望の中に、孫のことは出てきていないため、適切ではありません。

5.当事者活動への参加を提案することは、地域の中での活動を希望するKさんの意に沿ったものであるため、最も適切といえます。

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03

正解は5になります。
Kさんは「認知症であっても地域の中で活動をしてみたい」という希望を持っておられるので、当事者活動への参加を提案することは適切です。

1 認知症家族会の運営を当事者のKさんが行うことは適切ではないと思われます。

2 民生委員への再就任は地域の中での活動ですが、初期の認知症と診断されたKさんには困難も多く、負担も大きいことが考えられるため、適切ではないと考えられます。

3 地域の中での活動を希望しているKさんに、デイサービスの利用を提案することは適切ではないと思われます。

4 孫の世話も大切ですが、Kさんは地域での活動を希望としてあげられているので、現時点での提案としては不適切です。

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