精神保健福祉士の過去問
第20回(平成29年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問142

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問題

第20回(平成29年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問142 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題に答えなさい。

〔 事例 〕
Aさん( 40歳、女性 )は、18歳で統合失調症を発症し、入院経験がある。受診は継続し、時々対人緊張が強くなったり幻聴体験はあるが、自分で対応できている。夫が代表の農業法人に勤め、子ども( 7歳 )がいる。
Bさん( 45歳、女性、精神保健福祉士 )は、以前、Aさんの受診先の精神科病院に勤務し、初診時からの担当であった。5年前に退職し精神保健福祉士事務所を開業、スクールソーシャルワーカーとしても勤務している。
Bさんの退職後、AさんとBさんは、それぞれの子育ての悩みを話し合ったことをきっかけに、時々会って話をする関係を続けていた。その後、地域で子育てサークルを始め、今ではメンバーが増え、子どもたち向けの活動も行うようになり、Aさんは会長、Bさんは事務局長として会を運営している。
ある日、勤務している学校で、精神障害のある母親( Cさん )と行動障害があるその子どもへの支援を検討する中で、この子育てサークルの活用が提案された。それを受けてBさんはCさんに、「親子の情報を事前に会のメンバーに知らせ、理解しておいてもらった方がよい」と提案したが、Cさんは、「参加したいが病気や障害のことは知られたくない」と訴えたため、Bさんは、倫理的ジレンマを感じながらもサークルでの支援を進めた。

初回参加時のその子の落ち着かない言動とCさんの子どもへの対応に、会のメンバーからは、「一緒にやっていくのは無理」という声が多く上がった。Bさんは、Cさん親子と会のメンバー両者の利益を視野に入れながら話合いを重ねた。Aさんの体験談もメンバーに大きな影響を与え、最終的にメンバー全員の了承が得られた。

次のうち、この話合いを通じてBさん( 精神保健福祉士 )が子育てサークルに果たした役割として、適切なものを1つ選びなさい。
  • アドボケーター
  • ケースマネジャー
  • メディエーター
  • イネイブラー
  • エバリュエーター

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3になります。
メディエーターは仲介者という意味を持ちます。客観的な視点で、Cさん親子と会のメンバー両者の利益を視野に入れながら話合いを進めているので、これが当てはまります。

1 アドボケーターは権利擁護や代弁者としての意味を持ちます。今回の事例では、第3者的な視点で両方の意見を大切に進めていますので、これは不適切です。

2 ケースマネジャーはその人に必要な支援を整理し、社会資源等のマネジメントを行いますが、今回の事例のBさんの立場には当てはまりません。

4 イネイブラーは依存症や問題行動をさらに進めてしまうような役割の人をさしますが、今回の事例においては当てはまらないので不適切です。

5 エバリュエーターとは評価を行う人を指すので、今回の事例には当てはまりません。

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02

正解は3です。

1.アドボケーターは、権利擁護を行う人のことです。事例では、Cさん親子の権利擁護を行っていると解釈することもできますが、メディエーターを正答とする方がより適切といえます。

2.ケースマネジャーはケースワークをマネジメントする人で、ケアマネジャーが同義語として扱われます。事例では、計画や評価といったケースマネジメントではなく、具体的に仲介を行っていますので、メディエーターを正答とする方が適切といえます。

3.メディエーターは、仲介者という意味をもちます。Cさん親子と会のメンバーとの間を仲介していますので、最も適切な解答となります。

4.イネイブラーとは、精神保健福祉の領域では、依存症や問題行動を促進させてしまう役割のことを指すことが多いですが、より広義な意味として、問題解決ができるように援助する役割を指すこともあります。今回の事例では、後者の意味として解釈することも可能ですが、メディエーターを正答とする方がより適切といえます。

5.エバリュエーターは、評価を行う人です。今回の事例で評価は行っていないため、適切ではありません。

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03

正答は「3」です。

1. アドボケーターとは、権利主張が困難な人のために権利擁護を行う役割のことです。Cさんを保護する意味で、BさんはCさんのアドボケーターと言えるかもしれませんが、子育てサークルへの役割としては誤りです。

2. ケースマネジャーとは、支援のためのフォーマル・インフォーマルな資源を組み合わせて最適な支援を行う役割です。子育てサークルはそもそも支援の個別ケースではないので、誤りです。

3. 正解です。メディエーターとは、トラブルや衝突が起きた時に、利害関係のない第三者として双方の言い分や立場を理解し、調整を行う役割です。

4. イネイブラーとは、依存症や問題行動を助長している存在のことを指します。たとえば、アルコール依存症患者の飲酒行動に困っていながらも、尻拭いをすることで、実際にはアルコール依存を助長している配偶者の存在などです。

5. エバリュエーターとは、サービスの評価を行う役割のことです。

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