精神保健福祉士の過去問
第21回（平成30年度）
現代社会と福祉 問22

人間の安全保障に関する国連総会決議は知らない人も多いと思われますが、
選択肢から十分解答できる問題です。

１×　貧困だけでなく、絶望から免れて生きる権利、人間としての可能性を開花させる機会など包括的な内容になっています。

２○　「コミュニティの保護と能力強化」 を求めると言及されています。

３×　「予防的な対応を求めるものである」と言及されています。

４×　「市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的権利を等しく考慮に入れるもの」とあります。

５×　「武力による威嚇若しくは武力行使又は強制措置を求めない」とあります。

１：×
貧困解決に限定されていないため、不適となります。

２：○
選択肢の通りです。

３：×
予防的な対応についても文書内に記載があるため、
不適となります。

４：×
市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利を等しく扱っているため、
不適となります。

５：×
人間の安全保障のために武力の行使は求められていないため、
不適となります。

この問題のように国家試験では、
聞いたことのない宣言や文書の内容が問われることがあります。
年代とタイトルで内容を推測して消去法で解きましょう。

２０１２年になって、国連が貧困の解決のみに問題を限定するとは
考えにくいため、
１は消去できます。

３についても、
予防的対応は求めない、ということがあるか怪しいですよね。
問題解決のためには多様な対処を盛り込むでしょう。それが多国間で
共有される理念的な文書ならなおさらです。
よって３も消去できます。

４も１と同様の考え方です。
２０１２年になって人間の安全を確保するには
経済を追求する権利が他の人権に優先される、とは考えづらいため、
４も消去できます。

５については、「人間の安全保障」というタイトルから、
武力の行使が人間の安全保障に直結するとは考えづらいため、消去できます。
武力の行使で自国を守ったとして、行使された側の他国の人間は傷つくのは
自明です。

2.が正解です。
人間の安全保障は、現在・そして新たに生まれてくる脅威に対し、人々の生存、生活、尊厳を守ることを目的としています。決して紛争の中で暮らしている人々だけではなく、先進国、途上国の人々が多種多様な脅威に脅かされる中で暮らしているのです。そのため、すべての人々の保護及び能力や地位の向上を強化することを求めています。