精神保健福祉士の過去問
第21回(平成30年度)
権利擁護と成年後見制度 問77

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問題

第21回(平成30年度) 精神保健福祉士国家試験 権利擁護と成年後見制度 問77 (訂正依頼・報告はこちら)

生存権に係るこれまでの最高裁判例の主旨に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)判決当時は厚生大臣であったものも厚生労働大臣と表記している。
  • 厚生労働大臣の裁量権の範囲を超えて設定された生活保護基準は、司法審査の対象となる。
  • 公的年金給付の併給調整規定の創設に対して、立法府の裁量は認められない。
  • 恒常的に生活が困窮している状態にある者を国民健康保険料減免の対象としない条例は、違憲である。
  • 生活保護費の不服を争う訴訟係争中に、被保護者本人が死亡した場合は、相続人が訴訟を承継できる。
  • 生活保護受給中に形成した預貯金は、原資や目的、金額にかかわらず収入認定しなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

憲法25条で保障されている「生存権」にまつわる判例についての出題です。

1○ 正しいです。
朝日訴訟による最高裁の意見より、
「何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、(中略)裁量の逸脱と濫用がある場合以外は、違法の問題は生じない」と述べています。

2× 併給調整規定に、立法府の裁量は認められています。
堀木訴訟による判決で、
「立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており」と述べられています。

3× 違憲ではないという判例があります。
旭川市国保料訴訟において、恒常的に生活が困窮している者を保険料の減免の対象としていなくても、生存権に反するとはいえないと述べています。

4× 生活保護は、一身専属の権利であり相続人が訴訟を承継することができません。
これは朝日訴訟の判決で述べられています。

5× 加藤訴訟において、生活保護者の預貯金を原資や目的、金額にかかわらず収入認定して、生活保護を廃止してはならないとあります。

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02

1(正解)
正しい記述です。

2(不正解)
併給統制規定の創設には立法府の裁量が認められます。

3(不正解)
恒常的に生活が困窮している状態にある者を国民健康保険料減免の対象とするか否かは個別のケースによってそれぞれ検討がされていますが、違憲かどうかの判断は最高裁判所の判断となるため、この場合必ずしも違憲であると断言するのは難しいと言えます。

4(不正解)
相続人が訴訟を承継することはできません。

5(不正解)
必ずしも生活保護受給中に形成した預貯金全てが収入認定されるわけではなく、この場合適切ではありません。

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03

①正しい記述です。例として「朝日訴訟」があります。

②法律や条例などを決めるのは立法府ですので、裁量はあります。

③必ずしも違憲であるという断定はできません。違憲かどうかの最終判断は最高裁判所が行うとされています。

④生活保護費の不服を争う訴訟係争中に、被保護者本人が死亡した場合は、相続人は訴訟を承継できません。

⑤生活保護受給中に形成した預貯金は全て収入認定されるわけではありません。生活保護費受給のやり取りの中で一時的に金額が大きくなることもありますし、家電製品の故障による買い替えに備えるなどの理由もあります。

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