精神保健福祉士の過去問
第21回(平成30年度)
権利擁護と成年後見制度 問79

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問題

第21回(平成30年度) 精神保健福祉士国家試験 権利擁護と成年後見制度 問79 (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、取消訴訟と併せて、Cさんの救済に効果的な手段として、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕
重度の身体障害者であるCさんは、N市に対し、「障害者総合支援法」に基づき、1か月650時間以上の重度訪問介護の支給を求める介護給付費支給申請をした。それに対してN市は、1年間の重度訪問介護の支給量を1か月300時間とする支給決定をした。Cさんはこの決定を不服とし、審査請求を行ったが、棄却されたため、N市の決定のうち、「1か月300時間を超える部分を支給量として算定しない」とした部分の取消訴訟を準備している。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
  • 無効等確認訴訟
  • 義務付け訴訟
  • 差止訴訟
  • 機関訴訟
  • 不作為の違法確認訴訟

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この過去問の解説 (3件)

01

行政事件訴訟法第3条にある行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟「抗告訴訟」の問題です。
行政と司法の関係を問われており、三権分立の理解が必須です。

ポイントは、取消訴訟だけでは、「裁判所が処分を取り消す」と認めるだけで、行政側に取り消しを求めるものではないことです。

したがって、裁判所が行政に「取り消しなさい」と命じるものを選ぶのが大事です。

1× 無効等確認訴訟は、行政側の決定が無効であることを「確認」するものなので、行政側に「取り消し」を求めるものではありません。

2○ 正しいです。
義務付け訴訟は、不当な裁量に対して何もしない行政に、裁判所が介入し、
「働きかける」命令を求める訴訟です。

3× 差止訴訟は、不当な裁量をしようとする行政に、裁判所が介入し、
「それをしないように」と命令を求める訴訟です。
事例において、行政側はCさんが支給に応じていないので、間違いです。

4× 機関訴訟は国または公共団体の機関におけるものなので、対象外です。

5× 1と同様に、不作為の違法を「確認」するものなので、裁判所が行政側に働きかけるものではありません。

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02

*前提として取消訴訟とは、行政の判断や裁量に不服がある際にその取消を求めることです。④の機関訴訟以外の選択肢と取消訴訟を抗告訴訟といいます。これは行政の判断や裁量に関する不服の訴訟のことです。

①無効等確認訴訟は処分や判決の存否や効力の有無の確認を求めるものです。
 
②正しい記述です。義務付け訴訟は行政の裁量に対し、こうあるべきであると求めるものです。

③差止訴訟は行政の処分や裁量を実行するべきではないとの命令を求めるものです。

④機関訴訟は機関と機関同士の訴訟になりますので、不適切です。

⑤不作為の違法確認訴訟は法令に基づく申請をしているにも関わらず、なんら判断や処分がなされないことを違法であると確認するために求めるものです。

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03

1(不正解)
無効等確認訴訟は、処分及び裁判の判決の効力がいつまで有効なのかを確認する等の目的のため行われるものであり、この場合適切ではありません。

2(正解)
義務付け訴訟は行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされない時に、行政庁にその処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟です。よってこの場合適切であると言えます。

3(不正解)
差止訴訟は 行政庁が一定の処分または裁決をしてはならないよう、私人が裁判所に求める訴訟を指します。よってこの場合適切ではありません。

4(不正解)
機関訴訟は国または公共団体の機関相互間における権限の存否等についての訴訟であり、この場合適切ではありません。

5(不正解)
「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内になんらかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟のことをいいます。Cさんは違法の確認を求めているわけではなく、支給決定への取り消しを求めています。よってこの場合適切ではありません。

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