精神保健福祉士の過去問
第21回(平成30年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問116
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問題
第21回(平成30年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問116 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Eさん(27歳、男性)は菓子職人として働いていたが、度重なる残業がストレスとなり、23歳の時に不眠が生じ、また幻聴も始まったため精神科病院を受診した。統合失調症と診断され3か月の入院の後、精神科デイケアに通院して4年が経過している。
ある日、Eさんは、デイケアの仲間が働き始めたことに刺激を受け、「自分もどうしても働きたい」と担当の精神保健福祉士に相談した。そこで、公共職業安定所(ハローワーク)の精神障害者雇用トータルサポーターであるF精神保健福祉士を紹介され、面談することとなった。
「調子がいい時と悪い時がある。病気のことは内緒にして働いたこともあったが、うまくいかなかった」と話したEさんは、F精神保健福祉士から将来について聞かれ、「子どもの頃から物作りが好きだった。菓子職人になったけど、思うとおりにはならなかった。今はデザインの仕事をして人を幸せにしたい」と語った。F精神保健福祉士は、就職への強い希望と意欲がEさんの強みだと感じた。(※1)
F精神保健福祉士は、Eさんの症状は安定していないが、多職種で協力し一般就労に結び付けたいと考えた。そこでEさんの了承の下、主治医、担当の精神保健福祉士、Eさんが最近利用するようになった地域活動支援センターの職員と連絡を取り、1週間後に本人同席の上で今後の就労支援の方向性を話し合うための会議を開催した。
話合いでは、デザイン関連につながる仕事を探すこと、障害年金の受給と合わせることで短時間労働でも経済的な自立を目指せることなどが確認された。F精神保健福祉士はこれらの条件に合う企業をいくつか訪問し、Eさんのことを紹介した。すると、就職後もF精神保健福祉士を中心としたチームが職場訪問すること、困り事などの相談や調整を継続することを条件に受入れを承諾してくれる企業を見付けることができた。働き方についてもEさんと会社、さらにF精神保健福祉士が話し合い、週3日、1日4時間から働くことになった。Eさんは職場の理解の下、継続して半年間働いている。今では週4日に日数を増やすことも考えている。
次のうち、F精神保健福祉士がとったアプローチ(※1)として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Eさん(27歳、男性)は菓子職人として働いていたが、度重なる残業がストレスとなり、23歳の時に不眠が生じ、また幻聴も始まったため精神科病院を受診した。統合失調症と診断され3か月の入院の後、精神科デイケアに通院して4年が経過している。
ある日、Eさんは、デイケアの仲間が働き始めたことに刺激を受け、「自分もどうしても働きたい」と担当の精神保健福祉士に相談した。そこで、公共職業安定所(ハローワーク)の精神障害者雇用トータルサポーターであるF精神保健福祉士を紹介され、面談することとなった。
「調子がいい時と悪い時がある。病気のことは内緒にして働いたこともあったが、うまくいかなかった」と話したEさんは、F精神保健福祉士から将来について聞かれ、「子どもの頃から物作りが好きだった。菓子職人になったけど、思うとおりにはならなかった。今はデザインの仕事をして人を幸せにしたい」と語った。F精神保健福祉士は、就職への強い希望と意欲がEさんの強みだと感じた。(※1)
F精神保健福祉士は、Eさんの症状は安定していないが、多職種で協力し一般就労に結び付けたいと考えた。そこでEさんの了承の下、主治医、担当の精神保健福祉士、Eさんが最近利用するようになった地域活動支援センターの職員と連絡を取り、1週間後に本人同席の上で今後の就労支援の方向性を話し合うための会議を開催した。
話合いでは、デザイン関連につながる仕事を探すこと、障害年金の受給と合わせることで短時間労働でも経済的な自立を目指せることなどが確認された。F精神保健福祉士はこれらの条件に合う企業をいくつか訪問し、Eさんのことを紹介した。すると、就職後もF精神保健福祉士を中心としたチームが職場訪問すること、困り事などの相談や調整を継続することを条件に受入れを承諾してくれる企業を見付けることができた。働き方についてもEさんと会社、さらにF精神保健福祉士が話し合い、週3日、1日4時間から働くことになった。Eさんは職場の理解の下、継続して半年間働いている。今では週4日に日数を増やすことも考えている。
次のうち、F精神保健福祉士がとったアプローチ(※1)として、適切なものを1つ選びなさい。
- フェミニストアプローチ
- ジェネラリストアプローチ
- エンパワメントアプローチ
- ナラティブアプローチ
- クライシスアプローチ
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この過去問の解説 (3件)
01
1.フェミニストアプローチとは、女性が社会的に抑圧されることからの解放や、そのような社会を変革するためのアプローチです。
2.ジェネラリストアプローチとは、分野などを特定することをせず、包括的にアプローチする方法です。各方法論は共通の基盤の上に成立するという考え方をします。
3.エンパワメントアプローチとは、クライエントの持つ力や強みを引き出し、高めるアプローチです。F精神保健福祉士は、Eさんが就職への強い希望と意欲を強みだと見出しているため、エンパワメントアプローチが該当します。
4.ナラティブアプローチとは、クライエントの物語に着目するアプローチです。クライエントの語りや主体性を尊重し、クライエントとワーカーが物語を共有しながら援助を進めます。
5.クライシスアプローチとは、危機状態に陥ったクライエントに介入し、危機からの脱却を図るアプローチです。早期介入を重視し、短期集中介入を特徴とします。
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02
正解は、3 です。
1 フェミニストアプローチとは、女性が社会的な抑圧を受けているという視点を持ち、相談援助をするアプローチ方法です。Eさんは男性であり、性差による抑圧を受けているわけではないので不適切です。
2 ジェネラリストアプローチとは、ケースワーク、グループワーク、コミュニティワークなど、さまざまなソーシャルワーク方法を統合して行うアプローチ方法です。F精神保健福祉士は、Eさんの強みを感じている段階であり、統合したアプローチ方法は行なっていません。
3 エンパワメントアプローチとは、クライエントのストレングス(強み)を引き出したり高めたりするなどして、支援をしていくアプローチ方法です。Eさんは、自分自身と向き合い、意向をF精神保健福祉士に伝え、F精神保健福祉士もEさんのストレングス(強み)に気づいています。そのため、適切です。
4 ナラティブアプローチとは、クライエントが語る物語を通して今抱えている課題の解決方法を探ろうとするアプローチ方法です。F精神保健福祉士は、Eさんの就職への希望など強みについて注目していますので不適切です。
5 クライシスアプローチとは、危機的な状態にあるクライエントに早期に介入し、支援するアプローチ方法です。Eさんは危機的な状態とは言えないので不適切です。
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03
エンパワメントアプローチは、環境等によって無力化されているクライエントが、自ら主体となって問題を解決できるよう支援する、アプローチの方法です。
この事例では、Eさんの就職への強い希望と意欲を尊重し、一般就労に向けた周囲の環境への働きかけをしていることから、クライエントの主体性を重視して協働を行っていくエンパワメントアプローチを行っているといえます。
1. フェミニストアプローチは、女性の社会的抑圧に着目し、クライエント個人のエンパワメント、引いては社会的抑圧の解消を目的とするアプローチを指します。
2. ジェネラリストアプローチは、ケースワーク・グループワーク・ソーシャルワークなど、代表的なソーシャルワークの方法を、統合して実践するアプローチを指します。
4. ナラティブアプローチは、クライエントが語る自身についての物語を中核に据えて、援助を行うアプローチを指します。
5. クライシスアプローチは、危機状態にあるクライエントに対し、最低限の介入によって危機状態からの回復を目指すアプローチを指します。
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