精神保健福祉士の過去問
第21回(平成30年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問142

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問題

第21回(平成30年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問142 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。

〔事例〕
X地域活動支援センター(Ⅰ型)(以下「センター」という。)は、近隣のR市中学校より中学2年生を対象とした福祉教育の依頼を受けた。「総合的な学習の時間で精神障害を取り上げたい。生徒がメンタルヘルスを考えるとともに、地域共生について学ぶ機会になってほしい」という。センターに勤務するK精神保健福祉士は、以前、センターの利用者に、「もっと早い段階で病気のことを知っていればよかった」と言われたことを思い出し、改めてセンターに期待される役割を考えた。

依頼を受けたK精神保健福祉士は、中学校教諭、センター利用者、民生委員、同僚の精神保健福祉士たちと共同検討会を行い、授業の目的や内容について協議を始めた。授業で取り上げる精神疾患の種類や知ってほしい社会資源を検討していた時、センターの利用者から、「病気やサービスの説明だけで生徒がこころの健康を考えたり、障害のある人と一緒に生きていけるような地域をつくれるだろうか。講義だけでいいのでしょうか?」との意見が出された。そこでK精神保健福祉士は次のように発言した。(※2)

検討会を重ねるうちに、それぞれの思いや願いを率直に語る雰囲気ができ、各々の立場での考え方を共有していった。生徒たちのメンタルヘルス、地域での精神障害者の生活、感じる偏見などの話題を通して授業の目的や内容が明確になり、案がまとまった。授業のテーマは、「誰かに相談することは自分と大切な人を守る」とし、内容はプログラム1としてメンタルヘルスや当事者体験の講義、プログラム2として交流体験型学習と決定した。
授業実施後、生徒たちから、「誰もが一日一日を一生懸命生きていることが分かった」、「自分と周りの人を大切にして行動したい」などの感想が寄せられた。また教諭より、「当事者の方と交流して、地域で共に生きることを生徒たちが考える機会になった」とコメントがあった。その後、K精神保健福祉士は授業についての報告書をまとめ、この取組を他でも展開していけるよう教育委員会に働き掛けを行っている。

次の記述のうち、(※2)の場面でK精神保健福祉士が発言した内容として、適切なものを2つ選びなさい。
  • 「入院患者さんへの手紙を生徒の皆さんに書いてもらいましょうか」
  • 「精神疾患の説明を省きましょうか」
  • 「皆さんの地域共生のイメージを聞かせていただけますか」
  • 「社会資源の情報提供があれば、十分ではないでしょうか」
  • 「みんなが自分のこととして考えられるような方法を挙げてみませんか」

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3と5です。

1.入院患者と生徒が接点を持つきっかけにはなるかもしれませんが、時期尚早と考えられます。精神障害者についての理解がまだ浅い状態では、手紙を書くことに戸惑う生徒がいると予想されます。

2.精神疾患について理解を深めることは欠かせない内容であり、説明を省くことは不適切です。

3.参加者の地域共生に対するイメージを共有しておくことは重要なポイントとなりますので、適切な選択肢です。

4.選択肢は、センターの利用者の発言内容を否定する内容となっており、不適切です。

5.「講義だけでいいのでしょうか?」というセンターの利用者の意見を汲み取り、実際に身近なこととして考えられるような方法を挙げることを提案しており、適切な選択肢です。

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02

正解は3と5です。
地域共生のテーマを扱う上で、実際に地域社会に暮らす当事者の方の視点を外すことはできません。

1. 一方的に生徒が手紙を書くことは、こころの健康を考える機会にはなりにくいと考えられます。また、見知らぬ人からの手紙が負担となってしまう入院患者の方も多くいると考えられます。

2. 講義形式以外の方法を追加することも重要であると考えられますが、説明を省いてしまっては正しい知識は獲得されず、福祉教育の目的が達成されているとは言えません。

4. 地域共生のテーマを扱う上で、実際に地域社会に暮らす当事者の方の視点を外すことはできません。

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03

正解は、3・5 です。

1 まだ福祉教育を受ける前に、手紙を書くことを提案することは時期尚早でしょう。事例では、「生徒が心の健康や地域共生について学ぶこと」を福祉教育の目的としていますので、生徒側の立場から考えることも大切です。

2 精神疾患の説明は必要です。

3 K精神保健福祉士が、他者に地域共生のイメージを聞くことは福祉教育を行う上で非常に参考になりますので適切です。

4 社会資源の情報提供だけでは「生徒が心の健康や地域共生について学ぶ」ことにはなりません。情報を一方的に提供するのではなく、聞いている人が一緒に考えていただけるような内容を考えることが大切です。

5 精神疾患は誰もがなりうる可能性があります。地域共生について学ぶことが福祉教育の目的になっていることからも、自分事として考えていただけるような内容にすることは適切です。

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