精神保健福祉士の過去問
第21回(平成30年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問141
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問題
第21回(平成30年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問141 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
X地域活動支援センター(Ⅰ型)(以下「センター」という。)は、近隣のR市中学校より中学2年生を対象とした福祉教育の依頼を受けた。「総合的な学習の時間で精神障害を取り上げたい。生徒がメンタルヘルスを考えるとともに、地域共生について学ぶ機会になってほしい」という。センターに勤務するK精神保健福祉士は、以前、センターの利用者に、「もっと早い段階で病気のことを知っていればよかった」と言われたことを思い出し、改めてセンターに期待される役割を考えた。(※1)
依頼を受けたK精神保健福祉士は、中学校教諭、センター利用者、民生委員、同僚の精神保健福祉士たちと共同検討会を行い、授業の目的や内容について協議を始めた。授業で取り上げる精神疾患の種類や知ってほしい社会資源を検討していた時、センターの利用者から、「病気やサービスの説明だけで生徒がこころの健康を考えたり、障害のある人と一緒に生きていけるような地域をつくれるだろうか。講義だけでいいのでしょうか?」との意見が出された。そこでK精神保健福祉士は次のように発言した。
検討会を重ねるうちに、それぞれの思いや願いを率直に語る雰囲気ができ、各々の立場での考え方を共有していった。生徒たちのメンタルヘルス、地域での精神障害者の生活、感じる偏見などの話題を通して授業の目的や内容が明確になり、案がまとまった。授業のテーマは、「誰かに相談することは自分と大切な人を守る」とし、内容はプログラム1としてメンタルヘルスや当事者体験の講義、プログラム2として交流体験型学習と決定した。
授業実施後、生徒たちから、「誰もが一日一日を一生懸命生きていることが分かった」、「自分と周りの人を大切にして行動したい」などの感想が寄せられた。また教諭より、「当事者の方と交流して、地域で共に生きることを生徒たちが考える機会になった」とコメントがあった。その後、K精神保健福祉士は授業についての報告書をまとめ、この取組を他でも展開していけるよう教育委員会に働き掛けを行っている。
次のうち、(※1)の時点でK精神保健福祉士が考えたX地域活動支援センター(Ⅰ型)の役割として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
X地域活動支援センター(Ⅰ型)(以下「センター」という。)は、近隣のR市中学校より中学2年生を対象とした福祉教育の依頼を受けた。「総合的な学習の時間で精神障害を取り上げたい。生徒がメンタルヘルスを考えるとともに、地域共生について学ぶ機会になってほしい」という。センターに勤務するK精神保健福祉士は、以前、センターの利用者に、「もっと早い段階で病気のことを知っていればよかった」と言われたことを思い出し、改めてセンターに期待される役割を考えた。(※1)
依頼を受けたK精神保健福祉士は、中学校教諭、センター利用者、民生委員、同僚の精神保健福祉士たちと共同検討会を行い、授業の目的や内容について協議を始めた。授業で取り上げる精神疾患の種類や知ってほしい社会資源を検討していた時、センターの利用者から、「病気やサービスの説明だけで生徒がこころの健康を考えたり、障害のある人と一緒に生きていけるような地域をつくれるだろうか。講義だけでいいのでしょうか?」との意見が出された。そこでK精神保健福祉士は次のように発言した。
検討会を重ねるうちに、それぞれの思いや願いを率直に語る雰囲気ができ、各々の立場での考え方を共有していった。生徒たちのメンタルヘルス、地域での精神障害者の生活、感じる偏見などの話題を通して授業の目的や内容が明確になり、案がまとまった。授業のテーマは、「誰かに相談することは自分と大切な人を守る」とし、内容はプログラム1としてメンタルヘルスや当事者体験の講義、プログラム2として交流体験型学習と決定した。
授業実施後、生徒たちから、「誰もが一日一日を一生懸命生きていることが分かった」、「自分と周りの人を大切にして行動したい」などの感想が寄せられた。また教諭より、「当事者の方と交流して、地域で共に生きることを生徒たちが考える機会になった」とコメントがあった。その後、K精神保健福祉士は授業についての報告書をまとめ、この取組を他でも展開していけるよう教育委員会に働き掛けを行っている。
次のうち、(※1)の時点でK精神保健福祉士が考えたX地域活動支援センター(Ⅰ型)の役割として、適切なものを1つ選びなさい。
- 地域における連携強化のための調整
- 障害に対する理解の促進のための普及啓発
- 在宅障害者への社会適応訓練
- 地域のボランティア育成
- 相談支援事業の実施
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この過去問の解説 (3件)
01
R市中学校の「生徒がメンタルヘルスを考えるとともに、地域共生について学ぶ機会になってほしい」という依頼に応えることは、生徒が精神障害また地域社会に生活する精神障害者について正しい知識を得ることに繋がり、地域活動支援センターⅠ型の役割である、障害に対する理解の促進のための普及啓発を十分に果たすものであると考えられます。
1. 地域における連携強化のための調整も、地域活動支援センターⅠ型の役割の一つではありますが、今回の活動は、連携強化を主目的としたものではありません。
3. 在宅障害者への社会適応訓練は、地域活動支援センターⅡ型の役割になります。
4. 地域のボランティア育成も、地域活動支援センターⅠ型の役割の一つではありますが、R市中学校の福祉教育の依頼に沿ったものとは言えません。
5. 相談支援事業の実施も、地域活動支援センターⅠ型の役割の一つではありますが、R市中学校の福祉教育の依頼に沿ったものとは言えません。
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02
正解は、2 です。
1 中学2年生を対象としていることや生徒がメンタルヘルスを考える機会を持ちたいという依頼ですので、「連携強化のための調整」は不適切です。
2 メンタルヘルスを考えるきっかけとして適切と言えるでしょう。利用者に「もっと早い段階で病気のことを知っていればよかった」と言われたことを思い出していることからも、中学2年生を対象とした福祉教育として適切です。
3 地域活動支援センターⅡ型の役割ですので、不適切です。
4 中学2年生にボランティアについて興味を持っていただくことにも意義はありますが、依頼内容とはそぐわないので、不適切です。
5 地域活動支援センターⅠ型がどのような役割を担っているか説明することは良いことですが、依頼内容を考えると、まずは「選択肢2」の普及啓発を行なっていくことの方が良いでしょう。
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03
1.学校から福祉教育の依頼を受けたことで、今後連携が強化される可能性はありますが、依頼の目的は「生徒がメンタルヘルスを考えるとともに、地域共生について学ぶ機会になってほしい」というものであり、最も適切な選択肢とは言えません。
2.以前センターの利用者から「もっと早い段階で病気のことを知っていればよかった」と言われたことから、精神障害に関する正しい知識を伝達し、普及させる役割を担うことが大切です。
3.選択肢の内容は、地域活動支援センターの中でもⅡ型の事業内容です。X地域活動支援センターはⅠ型なので、適切ではありません。
4.授業を受けた生徒たちから、ボランティアが輩出される可能性は十分にありますが、生徒自身がメンタルヘルスを考え、地域共生について学んでほしいという学校側の依頼に対応する選択肢ではありません。
5.福祉支援事業には、障害者相談支援事業、障害児等療育支援事業など、様々なものがありますが、本事例は障害者の日常生活における相談ではなく、中学生に対する福祉教育であるため、適切ではありません。
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