精神保健福祉士の過去問
第21回(平成30年度)
精神障害者の生活支援システム 問161

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問題

第21回(平成30年度) 精神保健福祉士国家試験 精神障害者の生活支援システム 問161 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。

〔事例〕
Cさん(25歳、男性)は、18歳(大学1年生)の時に駅の階段から転落し、脳挫傷による高次脳機能障害と診断された。(※1)

Cさんは、大学で障害学生支援のサポートを受け、無事に卒業し地元企業に就職した。ところが、頼まれたことをすぐに忘れたり、作業の手際が悪かったりすることから、上司に注意されることが続いた。Cさんは、就職後、半年で出社できなくなり退職した。Cさんは家に引き籠り、「あの時死んでおけばよかった」と母親に訴えるようになった。母親から相談を受けたV病院の医師は、同病院の職員で「障害者総合支援法」に基づく高次脳機能障害者の社会復帰のために専門的相談支援を行うD支援コーディネーター(精神保健福祉士)を紹介した。

母親の強い勧めで、V病院に出向いたCさんは、D支援コーディネーターと話をするなかで、以前は簡単にできたことがうまくできないいらだちや、就労に挑戦したいという気持ちを打ち明けるようになった。仕事に対して意欲的になったCさんは、W事業所を利用し、一般企業での就職を果たした。
しかし、Cさんは、新しい職場になかなか馴染めず孤立してしまい、家でも母親に向かって大声で怒鳴るようになった。Cさんの支援を行っていたW事業所の職員は、Cさんの自宅や会社を訪問し連絡調整を図った。これらの働き掛けもあり、上司や同僚もCさんの障害への理解を深め、Cさんも会社に少しずつ馴染んでいった。Cさんは、両親とも穏やかな時間を持てるようになった。

次のうち、Cさんの高次脳機能障害(※1)は、ICD-10における分類としてどれに該当するか、正しいものを1つ選びなさい。
  • F0 症状性を含む器質性精神障害
  • F3 気分(感情)障害
  • F4 神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害
  • F5 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
  • F6 成人のパーソナリティおよび行動の障害

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。

1.F0は症状性を含む器質性精神障害であり、そのうちのF06「脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の精神障害」など、Cさんの状態に該当します。

2.F3の気分(感情)障害に該当する状態と明確には言えません。

3.F4の神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害に該当する状態と明確には言えません。

4.F5の生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群には、摂食障害や性機能不全などが該当しますが、Cさんの状態にはそのような記述はありません。

5.F6の成人のパーソナリティおよび行動の障害には、Cさんの状態は該当しません。

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02

 高次脳機能障害とは、病気や事故など様々な原因によって脳が損傷し、認知や言語など高次な脳機能に障害を受けた状態のことです。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患や、頭部外傷などの外傷性脳損傷、脳炎、髄膜炎などの炎症性疾患など様々な原因で起こります。
 高次脳機能障害は、F06脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患による詳細不明の精神障害にあたるため、正解は1となります。

1. ○
 F0症状性を含む器質性精神障害には、00アルツハイマー病の認知症、01血管性認知症、02他に分類されるその他の疾患の認知症、03詳細不明の認知症、04器質性健忘症候群、アルコールその他の精神作用物質によらないもの、05せん妄、アルコールその他の精神作用物質によらないもの、06脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の精神障害、07脳の疾患、損傷及び機能不全による人格及び行動の障害、09詳細不明の器質性又は症状性精神障害などがあります。

2.×
 F3気分(感情)障害には、30躁病エピソード、31双極性感情障害<躁うつ病>、32うつ病エピソード、33反復性うつ病性障害、34持続性気分[感情]障害、38その他の気分[感情]障害、39詳細不明の気分[感情]障害などがあります。

3.×
 F4神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害には、40恐怖症不安障害、41その他の不安障害、42強迫性障害<強迫神経症>、43重度ストレスへの反応及び適応障害、44解離性[転換性]障害、45身体表現性障害、48その他の神経症性障害などがあります。

4.×
 F5生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群には、50摂食障害、51非器質性睡眠障害、52性機能不全、器質性障害又は疾病によらないもの、53産褥に関連した精神及び行動の障害、他に分類されないもの、54他に分類される障害又は疾病に関する心理的又は行動的要因、55依存を生じない物質の乱用、59生理的障害及び身体的要因に関連した詳細不明の行動症候群などがあります。

5.×
 F6成人のパーソナリティおよび行動の障害には、60特定の人格障害、61混合性及びその他の人格障害、62持続的人格変化、脳損傷及び脳疾患によらないもの、63習慣及び衝動の障害、64性同一性障害、65性嗜好の障害、66性発達及び方向づけに関する心理及び行動の障害、68その他の成人の人格及び行動の障害、69詳細不明の成人の人格及び行動の障害などがあります。

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03

国際疾病分類のICD-10の精神および行動の障害の中で、器質性障害はF00-F09 に分類されています。高次脳機能障害診断基準の対象となるのは、F04 器質性健忘症候群,アルコールその他の精神作用物質によらないもの、F06 脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の精神障害、F07 脳の疾患,損傷及び機能不全による人格及び行動の障害です。

1.〇です。高次脳機能障害はICD-10の診断基準のF00番台となります。設問の中で、F0番台は、この選択肢のみとなります。

2.×です。気分障害はF3番台。躁病、双極性障害、うつ病などが3番台となっています。

3.×です。F4番台は神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害などストレス性の障害です。高次脳機能障害の症状には当てはまりません。

4.×です。F5番台は生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群や摂食障害、依存を生じない物質の乱用などがあります。いずれも、高次脳機能障害とは関連がありません。

5.×です。F6の成人のパーソナリティおよび行動の障害、は該当しません。

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