精神保健福祉士の過去問
第21回(平成30年度)
精神障害者の生活支援システム 問163
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問題
第21回(平成30年度) 精神保健福祉士国家試験 精神障害者の生活支援システム 問163 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Cさん(25歳、男性)は、18歳(大学1年生)の時に駅の階段から転落し、脳挫傷による高次脳機能障害と診断された。
Cさんは、大学で障害学生支援のサポートを受け、無事に卒業し地元企業に就職した。ところが、頼まれたことをすぐに忘れたり、作業の手際が悪かったりすることから、上司に注意されることが続いた。Cさんは、就職後、半年で出社できなくなり退職した。Cさんは家に引き籠り、「あの時死んでおけばよかった」と母親に訴えるようになった。母親から相談を受けたV病院の医師は、同病院の職員で「障害者総合支援法」に基づく高次脳機能障害者の社会復帰のために専門的相談支援を行うD支援コーディネーター(精神保健福祉士)を紹介した。
母親の強い勧めで、V病院に出向いたCさんは、D支援コーディネーターと話をするなかで、以前は簡単にできたことがうまくできないいらだちや、就労に挑戦したいという気持ちを打ち明けるようになった。仕事に対して意欲的になったCさんは、W事業所を利用し、一般企業での就職を果たした。
しかし、Cさんは、新しい職場になかなか馴染めず孤立してしまい、家でも母親に向かって大声で怒鳴るようになった。Cさんの支援を行っていたW事業所の職員は、Cさんの自宅や会社を訪問し連絡調整を図った。これらの働き掛けもあり、上司や同僚もCさんの障害への理解を深め、Cさんも会社に少しずつ馴染んでいった。Cさんは、両親とも穏やかな時間を持てるようになった。(※3)
次のうち、W事業所が行った事業(※3)として、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Cさん(25歳、男性)は、18歳(大学1年生)の時に駅の階段から転落し、脳挫傷による高次脳機能障害と診断された。
Cさんは、大学で障害学生支援のサポートを受け、無事に卒業し地元企業に就職した。ところが、頼まれたことをすぐに忘れたり、作業の手際が悪かったりすることから、上司に注意されることが続いた。Cさんは、就職後、半年で出社できなくなり退職した。Cさんは家に引き籠り、「あの時死んでおけばよかった」と母親に訴えるようになった。母親から相談を受けたV病院の医師は、同病院の職員で「障害者総合支援法」に基づく高次脳機能障害者の社会復帰のために専門的相談支援を行うD支援コーディネーター(精神保健福祉士)を紹介した。
母親の強い勧めで、V病院に出向いたCさんは、D支援コーディネーターと話をするなかで、以前は簡単にできたことがうまくできないいらだちや、就労に挑戦したいという気持ちを打ち明けるようになった。仕事に対して意欲的になったCさんは、W事業所を利用し、一般企業での就職を果たした。
しかし、Cさんは、新しい職場になかなか馴染めず孤立してしまい、家でも母親に向かって大声で怒鳴るようになった。Cさんの支援を行っていたW事業所の職員は、Cさんの自宅や会社を訪問し連絡調整を図った。これらの働き掛けもあり、上司や同僚もCさんの障害への理解を深め、Cさんも会社に少しずつ馴染んでいった。Cさんは、両親とも穏やかな時間を持てるようになった。(※3)
次のうち、W事業所が行った事業(※3)として、正しいものを1つ選びなさい。
- 職場適応訓練事業
- 一時生活支援事業
- 就労継続支援事業(A型)
- 就労定着支援事業
- 自発的活動支援事業
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この過去問の解説 (3件)
01
1.職場適応訓練事業とは、職場環境に適応するために、実際に事業所などで訓練を行い、終了後も雇用してもらうことです。担当窓口はハローワークとなります。本事例では、一般企業に就職後のアフターフォローについて記述されており、職場適応訓練事業はこれに該当しません。
2.一時生活支援事業とは、生活困窮者自立支援法に基づく任意事業であり、住居のない者に対し、宿泊場所や衣食を提供するものです。本事例ではそのような記述はないため、適切な選択肢ではありません。
3.就労継続支援事業(A型)とは、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、就労の機会、生産活動の機会などを提供するものです。本事例では、一般企業に就職後のアフターフォローについて記述されており、職場適応訓練事業はこれに該当しません。
なお、就労継続支援事業にはB型もあり、こちらは通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会、生産活動の機会などを提供するものです。
A型を雇用型、B型を非雇用型と覚えておきましょう。
4.就労定着支援事業とは、就労の継続を図るために、障害者を雇用した事業所の事業主や、障害福祉サービス事業を行う者、医療機関などとの連絡調整などを行う事業です。本事例の記述と合致するため、適切な選択肢です。
5.自発的活動支援事業とは、市町村地域生活支援事業の必須事業であり、障害者などやその家族、地域住民により自発的に行われる活動を支援することで、共生社会の実現を図る事業のことです。本事例では、このような記述はないため、適切な選択肢ではありません。
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02
このW事業所が行った事業は、就労定着支援事業であるため、正解は4となります。
1.×
職場適応訓練事業とは、都道府県知事が事業主に委託し、障害者の能力に適した作業について6カ月以内(重度障害者は1年以内)の訓練を行うことにより、障害者の作業能力の開発を図るとともに職場の環境に適応することを容易にし、訓練終了後は事業所に引き続き雇用されることを目的とする事業です。公共職業安定所(ハローワーク)が窓口となって行われます。
2.×
一時生活支援事業とは、住居のない生活困窮者であって、所得が一定水準以下の者に対して、一定期間(3カ月を想定)内に限り、宿泊場所の供与や衣食の供与等を実施する事業です。この事業を利用中に、できるだけ一般就労に結びつくよう適切に支援を行います。
3.×
就労継続支援事業(A型)とは、通所により、雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援を行う事業のことです。対象者は、通常の事業所に雇用されることが困難であって、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能な障害者です。
4.○
就労定着支援事業とは、障害者との相談を通じて日常生活面及び社会生活面の課題を把握するとともに、企業や関係機関等との連絡調整やそれに伴う課題解決に向けて必要となる支援を行う事業です。対象者は、就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練の利用を経て一般就労へ移行した障害者で、就労に伴う環境変化により生活面・就業面の課題が生じている者であって、一般就労後6月を経過した者です。
5.×
自発的活動支援事業とは、市町村地域生活支援事業の必須事業の一つです。障害者等が自立した日常生活および社会生活を営むことができるよう、障害者等、その家族、地域住民等による地域における自発的な取り組みを支援することにより、共生社会の実現を図ることを目的とする事業のことです。対象者は、管内市町村の障害者等、その家族又は地域住民などです。
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03
1.×です。職場適応訓練事業とは、都道府県が事業主に委託し、身体障害者、知的障害者、精神障害者等の能力に適した作業について実施訓練を行い、職場の環境に適応することを容易にし、訓練終了後に事業所へ引き続き雇用してもらう事業ですCさんは、W事業所を経て一般企業に就職している為、該当しません。
2.×です。一時生活支援事業は、生活困窮者への対策事業で、以前のホームレス対策事業のことで、一定の住居のない生活困窮者に対し当面の住居、衣食を提供する事業です。Cさんには、必要のない支援です。
3.×です。就労継続支援事業とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業です。「A型」は雇用契約を結び、利用する携帯ですが、Cさんは既に一般企業に就労していますので、適切ではありません。
4.〇です。就労定着支援は、障害者総合支援法改正後2018年から始まったサービスです。一般就労へ移行した障害者で、就労に伴う環境の変化により生活面で課題が生じている人に対し、雇用された企業などで就労の継続を図るため、企業・事業所や関係機関との連絡調整、本人への助言などを一定期間行う事業です。Cさんにとって、適した支援内容といえます。
5.×です。自発的活動支援事業は障害者総合支援法に基づき各市町村が実施する事業です。障害のある人が、自立した日常生活及び社会生活を営むことができるよう、障害者とその家族、地域の住民による自発的な取り組みを支援することにより、共生社会の実現を図ることを目的とした事業です。Cさんにとって今必要な支援となる根拠の記載がありません。
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