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精神保健福祉士の過去問 第23回(令和2年度) 精神保健福祉相談援助の基盤 問114

問題

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次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
D精神保健福祉士は、処方薬への依存のためにU精神科病院の薬物依存症外来に通うEさん( 26歳、女性)が減薬を目的に入院したことを契機に担当となった。主治医から話を聞いたり電子カルテの情報を確認したりしたD精神保健福祉士は、Eさんが、幼少期の実母による過酷な虐待や、思春期における性的被害の経験を有していることを把握した。そこで、薬物問題に加え、過去の逆境体験に対する理解や、その体験が現在に及ぼす影響をも視野に入れた支援が必要であると考えた。

入院時のEさんは挑発的態度を繰り返しており、病棟スタッフとの信頼関係を築けずにいた。D精神保健福祉士は、過去の体験に基づく強い人間不信や自己否定感が根底にあることを読み取り、温かく落ち着いた関わりを続けた。その結果、Eさんは、主治医とD精神保健福祉士には心を許すようになり、「死にたい」と苦しい胸の内を打ち明けるようにもなった。(※ 2 )

Eさんは、病棟内のプログラム参加には消極的で、ルール違反ばかり繰り返していた。スタッフに注意されると、暴言を吐いたり自殺をほのめかしたりするので、スタッフの間にはEさんに対するネガティブな感情や不全感が蓄積され、いつしか病棟チーム全体が機能不全に陥りつつあった。そこで、D精神保健福祉士はケアカンファレンスでEさんを取り上げることを提案した。その中で病状や治療方針を共有したり、スタッフがEさんとの関わりの中で受けた傷つきや恐れの気持ちを表出できるよう働きかけたりした。また、相互の役割を確認し、日々の苦労をスタッフ間でねぎらい合えるようにした。その結果、病棟チームにあった刺々しい雰囲気が薄れ、Eさんの言動も徐々に落ち着きをみせるようになった。

D精神保健福祉士は、Eさんの退院後の安全な生活を重視するとともに、過去に植え付けられた無力感や自己否定感から解放されることを目標とした。そして、もう一度自分の人生に対するコントロール感を取り戻すために、ストレングスに着目した支援を大切にしたいと考えていた。


次の記述のうち、D精神保健福祉士が(※ 2 )において行った対応として、適切なものを2つ選びなさい。
   1 .
Eさんには内緒で、両親に希死念慮があることを話した。
   2 .
つらくても死んだりしないという約束をEさんから取りつけた。
   3 .
どんなときに死にたくなるかをEさんに尋ねた。
   4 .
人の命がいかに尊いものかをEさんに説明した。
   5 .
Eさんが正直に気持ちを話してくれたことへの感謝を伝えた。
( 第23回(令和2年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問114 )
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この過去問の解説 (3件)

17

正解は、3 と 5 です。

1.適切ではありません。

 Eさんに内緒で家族に伝えることは、守秘義務違反になります。緊急の場合は、関係者に伝える必要がありますが、その場合があることも含めて事前に説明しておくことが大事です。また、「幼少期の実母による過酷な虐待や、思春期における性的被害の経験」があったことを考えると、安易に両親に伝えることは控えるべきだと考えます。現在のEさんと両親との関係性をアセスメントしたうえで、伝えるかどうかを決めることが大事だと考えます。

2.適切ではありません。

 つらいから死にたいという気持ちになってしまうところを傾聴することが大事です。ここで約束をすることは、Eさんの気持ちに寄りそっていないことになります。

3.どのような時に死にたいと思うようになるのか、まずは状況をアセスメントすることが大事です。

4.適切ではありません。

 精神的健康度が低くなっている状況では、説得されて気持ちを改めることは難しいと考えられます。Eさんは、過去の体験に基づく強い人間不信や自己否定感が根底にあることから、説得が余計にEさんを追い詰めてしまう可能性も考えられます。

5.「過去の体験に基づく強い人間不信や自己否定感が根底にある」ことを考えると、なかなか他者に自分の思いを伝えるのは難しいと考えられます。Eさんが勇気を出して話してくれたことへのねぎらいの言葉かけは、強い人間不信を抑えるためにも大事な応答であると考えられます。ねぎらいの言葉かけは、面接技法の「支持・励まし」になります。

付箋メモを残すことが出来ます。
3

1、不適切です。Eさんに許可を得ずにEさんの気持ちを話す事は、個人情報の漏洩に当たり適切な行動とは言えません。

2、不適切です。この時点では時間をかけて関係を築き、Eさんがやっと「死にたい」という気持ちを打ち明ける事が出来たばかりの段階です。Eさんにつらくても死んだりしないという約束を無理に取り付けるのではなく、Eさんの気持ちをまずは受け止める事が必要と考えられます。

3、適切な内容です。Eさんがなぜ死にたいと考えるのか、どんな時に死にたくなると考えるのかをEさんに語ってもらう事で、一緒にその気持ちに対処する方法を考える事にも繋げていく事ができます。

4、不適切です。人の命は一般的に尊いものであるという事は正しいですが、Eさんが死にたいと考える気持ちに寄り添っている言葉とは言えません。この時点では、Eさんが「死にたい」と思うほどつらく感じているという思いに寄り添った支援を行う事が求められると考えられます。

5、適切な内容です。「死にたい」という感情は、相手によっては否定されてしまいかねないネガティブな感情です。それを他人に打ち明ける事は、Eさんにとって相当な勇気がいる行動と考えられますので、正直に気持ちを話してくれた事に対する感謝を伝える行為は適切であると言えます。

3

正解は、3・5 です。

1 Eさんの両親は、Eさんの現在の状況に影響を及ぼしており、キーパーソンとすることにも疑問を感じる状況です。それに加え、守秘義務もあるため不適切です。

2 不適切です。Eさんが心を許すようになってきた段階ですので、Eさんの思いを傾聴することに努める必要があります。

3 適切です。Eさんの思いを深くアセスメントしていくことが重要な段階です。

4 一般論を説明することよりもEさんに寄り添っていく必要があるため、不適切です。

5 Eさんが自分の思いを打ち明けてきた段階ですので、そのことに対する感謝を伝えることは適切です。

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