精神保健福祉士の過去問
第23回(令和2年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問141
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問題
第23回(令和2年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問141 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
政令指定都市のP市保健所で働くL精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)(以下「L相談員」という。)に、P市に住む父親のMさん( 80歳)と長女のAさん( 50歳)の事で、民生委員から相談があった。「ごみが庭にあふれ悪臭もあり、近隣住民が不安に思っている。Mさんは外に向かって怒鳴るし、Aさんの姿を見なくなった。精神的な病気があるかもしれないので保健所に相談に来た。MさんとAさんが心配だ」とのことだった。次の日、L相談員はMさん宅を訪問した。(※ 1 )
玄関から声をかけるとMさんは、「俺の勝手だ。ほっといてくれ」と強い口調で言いドアを閉めた。Aさんの姿は確認できず、名刺を置いてMさん宅を離れた。L相談員は、Mさん親子についての情報収集や今後の支援方法を、関係機関と検討する必要があると判断し、地域包括支援センターに連絡した。その結果、地域ケア会議が開かれることとなり、初回会議にはL相談員の他に地域包括支援センターの保健師、社会福祉協議会の福祉活動専門員、P市高齢福祉課の担当者、民生委員が参加した。
L相談員が訪問を続けると、Aさんが玄関先に出てくれるようになった。2か月が過ぎた頃Aさんから、「何とかしようと思っていました。でも父は怒りやすくなり、話もかみ合わなくて。私も気分が落ちて、朝は布団から出られなくなって。2年前に15年ほど勤めた会社を辞めたんです。それから、どうしようもなく…」と話があった。詳しく話を聴くと、Mさんには認知症、Aさんには精神疾患の疑いがそれぞれあり、支援を希望していることが分かった。
チームによる支援を続け1年が過ぎた。少しずつ居住環境は改善されつつある。また、現在Mさんは通所介護(デイサービス)を利用しており、Aさんは精神科クリニックへ通院を続けている。Aさんは、「気持ちが落ち着いてきたような気がします。でもこれからですね」とL相談員に話した。この支援をきっかけに、L相談員はMさん親子のような課題を持つ方への支援の充実や支援体制の構築が必要と考え、「障害者総合支援法」に基づくP市協議会で検討することを提案してきた。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
次のうち、(※ 1 )でのL相談員が行った援助方法として、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕
政令指定都市のP市保健所で働くL精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)(以下「L相談員」という。)に、P市に住む父親のMさん( 80歳)と長女のAさん( 50歳)の事で、民生委員から相談があった。「ごみが庭にあふれ悪臭もあり、近隣住民が不安に思っている。Mさんは外に向かって怒鳴るし、Aさんの姿を見なくなった。精神的な病気があるかもしれないので保健所に相談に来た。MさんとAさんが心配だ」とのことだった。次の日、L相談員はMさん宅を訪問した。(※ 1 )
玄関から声をかけるとMさんは、「俺の勝手だ。ほっといてくれ」と強い口調で言いドアを閉めた。Aさんの姿は確認できず、名刺を置いてMさん宅を離れた。L相談員は、Mさん親子についての情報収集や今後の支援方法を、関係機関と検討する必要があると判断し、地域包括支援センターに連絡した。その結果、地域ケア会議が開かれることとなり、初回会議にはL相談員の他に地域包括支援センターの保健師、社会福祉協議会の福祉活動専門員、P市高齢福祉課の担当者、民生委員が参加した。
L相談員が訪問を続けると、Aさんが玄関先に出てくれるようになった。2か月が過ぎた頃Aさんから、「何とかしようと思っていました。でも父は怒りやすくなり、話もかみ合わなくて。私も気分が落ちて、朝は布団から出られなくなって。2年前に15年ほど勤めた会社を辞めたんです。それから、どうしようもなく…」と話があった。詳しく話を聴くと、Mさんには認知症、Aさんには精神疾患の疑いがそれぞれあり、支援を希望していることが分かった。
チームによる支援を続け1年が過ぎた。少しずつ居住環境は改善されつつある。また、現在Mさんは通所介護(デイサービス)を利用しており、Aさんは精神科クリニックへ通院を続けている。Aさんは、「気持ちが落ち着いてきたような気がします。でもこれからですね」とL相談員に話した。この支援をきっかけに、L相談員はMさん親子のような課題を持つ方への支援の充実や支援体制の構築が必要と考え、「障害者総合支援法」に基づくP市協議会で検討することを提案してきた。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
次のうち、(※ 1 )でのL相談員が行った援助方法として、正しいものを1つ選びなさい。
- アドミニストレーション
- アサーション・トレーニング
- アウトリーチ
- アクションリサーチ
- アクティング・アウト
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この過去問の解説 (3件)
01
1.×です。アドミニストレーションとは、統治、行政、管理等を意味します。
2.×です。アサーショントレーニングとは、自己主張をする事が苦手な人を対象に行います。具体的には、良好な人間関係を築くために、自分の気持ちを表現することができるようにしていくカウンセリング手法の事です。
3.○です.アウトリーチとは、援助者が人々の生活の場へ出向き、支援を望まない接近困難な人に対して、サービスや情報の提供等を行っていく事です。
4.×です.アクションリサーチとは、問題解決を図るために、調査者と対象が協働して調査や実践を進める研究法の事です。
5.×です。アクティングアウトとは、記憶、葛藤、態度等を言葉ではなく行動で表現していく事を指します。
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02
正解は、 3 です。
1.適切ではありません。
アドミニストレーションとは、福祉施設等の組織の運営や管理をソーシャルワークから実践する技術のことです。事例では、情報収集のために訪問しているため、選択肢は適切ではありません。
2.適切ではありません。
アサーション・トレーニングとは、コミュニケーションにおいて、相手のことを尊重しながら、自分の思いを相手に伝えるためのスキルを身につけるトレーニングです。事例では、情報収集のために訪問しているため、選択肢は適切ではありません。
3.適切です。
アウトリーチとは、積極的に地域に出かけて、ニーズ調査や発見、支援を行う援助方法です。事例では、相談を受けて情報収集のために積極的に訪問しているため、選択肢が適切です。
4.適切ではありません。
アクションリサーチとは、調査者と調査対象者と協力して、問題を解決しながら、調査や実践を行っていく方法です。ソーシャルワークの援助方法ではなく、調査(質的調査)の方法です。
5.適切ではありません。
アクティングアウト(行動化)とは、心理療法(精神療法)の過程やそれ以外の場で、無意識や葛藤を行動を通して表現する現象を言います。そのため、ソーシャルワークの援助方法ではありません。
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03
正解は、3 です。
1 不適切です。アドミニストレーションとは、社会福祉援助を合理的・効率的に進める方法のことです。
2 不適切です。アサーション・トレーニングとは、自分と相手を尊重した自己表現ができるようにするためのトレーニングのことです。
3 適切です。アウトリーチとは、支援者が積極的に働きかけて支援を行うことを指します。相談窓口で相談者が来訪するのを待つだけではなく、事例のように支援者が支援が必要な方のところを訪ねることは重要です。
4 不適切です。アクションリサーチとは、課題について、研究者と調査対象者が協働で研究して調査や実践を行なうことです。
5 不適切です。アクティング・アウトとは、無意識の欲求や葛藤を言葉ではなく行動で表現することです。
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