精神保健福祉士の過去問
第24回(令和3年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問142

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問題

第24回(令和3年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問142 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、答えなさい。
〔事例〕
Gさん(50歳、男性)は、両親と農業を営んでいた28歳の時に統合失調症を発症した。通院や服薬が不規則になることがきっかけで病状が悪化し、数回の入退院を繰り返している。今回の入院が3年と長くなったのは、病状が安定するまでに時間を要したり、父親にがんが見つかって、母親がその看病や介護に追われたことも重なったからである。
H精神保健福祉士は、Gさんが入院している病棟に異動してきたばかりであり、前任者から、「自宅では母親が一人で暮らしている」と申し送りを受けた。そこで、H精神保健福祉士は母親からGさんの今後についての考えを聞くことにし、面会に来院した際に面談した。母親は、「今まではGの病気が悪くなると、夫が何とかその場を収めて病院に連れて行っていた。でも今、夫は他界し、遠方にいるGの弟は疎遠なので頼れない。もし家でGの病気が悪くなったら、私だけでは不安がある。でも、今は病状が落ち着いているし、Gが希望すれば家に帰ってきてよいとも思っている」と話した。そこで、H精神保健福祉士はGさんと面接したが、Gさんは、「退院したくない、ここにいる」と素っ気なく発言して視線を外した。(※1)
その2か月後、H精神保健福祉士は、病棟スタッフと退院支援活動を行うこととし、Gさんや入院患者数名に声をかけ、週に一度退院に向けて活動するグループを作った。グループ活動を開始して1か月後、H精神保健福祉士は、入院経験があり、地域活動支援センターを利用しているJさんにゲストとして参加してもらった。(※2)
その後、Gさんの退院が決まり、H精神保健福祉士は母親と面談した。母親は、「Gが家に帰ってきても、食事の支度や洗濯などは何とかなる。でも、Gが自分できちんと薬を飲み、再発せずに規則正しく生活を送れるかどうかが不安。何か手助けしてくれるものはないだろうか」と話した。(※3)

次の記述のうち、(※2)の時点で、H精神保健福祉士がJさんに期待した役割として、適切なものを1つ選びなさい。
  • 退院後の生活が想像できるような話をしてもらう。
  • 病院で依存的な生活を続けないよう助言してもらう。
  • 利用できる障害福祉サービスの手続について説明してもらう。
  • 家族と経済的援助の約束を交わすよう促してもらう。
  • 銀行のキャッシュカードの使い方を教えてもらう。

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この過去問の解説 (3件)

01

1、適切な内容です。入院経験もあり、実際に地域活動支援センターを利用しながら地域生活をしているJさんから話を聞く事で、退院した後の生活に必要な情報を得たり、生活に対する具体的なイメージを築く事にも繋がります。

2、不適切です。Gさんが病院で依存的な生活を送っていると感じられるのであれば、それを改めるよう助言する役割は病院スタッフが担う必要があります。

Jさんに担っていただくべき役割ではありません。

3、不適切です。生活を送るために必要な障害福祉サービスは、その人その人によって異なります。

Gさんのアセスメントを行った上で、必要な障害サービスの手続きについて説明を行う役割を担うのはH精神保健福祉士を含む専門家であると考えられます。

4、不適切です。経済的な面についてはその家庭ごとに異なり、非常に繊細な問題であると言えます。

経済的援助を家族に約束してもらう必要があるのであれば、病院スタッフ等専門職が調整する役割を担うべきであり、Jさんに頼む事ではありません。

5、不適切です。Gさんがキャッシュカードの使用方法を理解していなかったとしても、現時点ではそれを教える必要性がなく、実際退院が決定した時に家族等が指導しても良い内容であると考えられます。

あえてJさんにその役割を依頼する必要はないと考えられます。

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02

問29

正解は、 1 です。

ピアサポートの役割についての問題です。

ピアサポートは「同じ問題や環境を経験する人が、対等な関係性の仲間を支えあうこと」と定義されており、

疾病や障害などの経験をもった人たちの支えあいのことを指します。

経験的知識や感情を共有することで安心感や自己肯定感を得られる効果があります。

入院経験のある方が実際に地域で生活している姿を入院患者に見てもらうことは、

モデルタイプとしても有用な手段と言えます。

障害サービスの手続きに関しては、精神保健福祉士の業務であり、

指導・助言や家族介入は原則としてピアサポーターは行いません。

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03

正解は、 です。

1 適切です。

Gさんは今回入院が3年と長くなっているとありますので、退院後の生活をイメージしていっていただくということは重要です。

2 不適切です。

病院での生活が依存的であるとは限りません。また、ここでは入院経験があり現在は地域で生活しているJさんに来ていただいていますので、地域での生活を話していただくことが適切です。

3 不適切です。

記述内容の役割は、JさんよりもH精神保健福祉士が担うことの方が適切です。

4 不適切です。

Jさんになぜこのような役割を担っていただくのか不明であり、Gさんの不安をこれで解決できるような記述は事例から読み取れません。

5 不適切です。

Jさんが担う役割ではありません。また、Gさんはの不安をこれで解決できるような記述は事例から読み取れません。

参考になった数2