精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問8

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問題

第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

B精神保健福祉士は、精神科デイ・ケアで自立生活に関する学習会を担当している。5回目のテーマは前回に続き「互いの経験から学ぶ」である。参加者Cさんが、「私は病気になって、自分なんて価値がないと思っていたけど、今は生きていていいと思えるようになりました」と話した。すると参加者Dさんが、「でもやっぱり、なんで病気になったんだろう」とつぶやいた。B精神保健福祉士はDさんの気持ちを受け止めて、Cさんに、「なぜそう思えるようになったのですか」と発言を促した。Cさんは、「前回、生き生きと自分の体験を語っていた人の話を聞いたことがきっかけですね」と話した。するとDさんが、「僕もあのように堂々と生きていきたいなって思った」と語った。
次の記述のうち、B精神保健福祉士の促しによって、グループに生まれた効果として、適切なものを2つ選びなさい。
  • 生活に必要な生きた情報が共有される。
  • 社会的に必要なスキルを身に付ける。
  • 他者の乗り越えた体験を知り希望を抱く。
  • 自分だけの問題ではないという安心感を得る。
  • 他者への関わりの結果から対人関係について学ぶ。

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この過去問の解説 (3件)

01

学習会での精神保健福祉士の役割について問われています。学習会の目的や話の流れを読み取り、この学習会での精神保健福祉士の立ち位置を考えましょう。

選択肢1. 生活に必要な生きた情報が共有される。

不適切です。生活に必要な情報を共有しているわけではありません。

選択肢2. 社会的に必要なスキルを身に付ける。

不適切です。社会的に必要なスキルについて話し合っているわけではありません。

選択肢3. 他者の乗り越えた体験を知り希望を抱く。

適切です。Cさん、Dさん共に、「前回、生き生きと自分の体験を語っていた人の話を聞いた」ことによって、変化が生まれたと話しています。

選択肢4. 自分だけの問題ではないという安心感を得る。

適切です。自分以外の人から話を聞いたことによって、自分だけの問題ではないということを感じたことが伺えます。

選択肢5. 他者への関わりの結果から対人関係について学ぶ。

不適切です。対人関係について学んだということは読み取れません。

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02

精神科デイ・ケアでは、精神障害の回復期にリハビリテーションや再発防止などのため、様々なプログラムが行われます。病気・障害・生活などをテーマにして学習会がプログラムの一つとなることもあります。精神保健福祉士を交えた学習会において、精神保健福祉士の役割、参加当事者の気持ちを理解し、解答するようにしましょう。また、集団の中には必ずさまざまな力動=相互作用が生じます。そうしたグループセラピーの作用にも注目しましょう。

選択肢1. 生活に必要な生きた情報が共有される。

適切ではありません。B精神保健福祉士の促しは、参加者Dさんの不安な気持ちを受け止め、参加者Cさんの気持ちの前向きな変化についてたずねるものです。「生活に必要な生きた情報が共有」されるための発言とはとらえられません。

選択肢2. 社会的に必要なスキルを身に付ける。

適切ではありません。B精神保健福祉士の促しは、参加者Dさんの不安な気持ちを受け止め、参加者Cさんの気持ちの前向きな変化についてたずねるものです。「社会的に必要なスキルを身に付ける」ための発言とはとらえられません。

選択肢3. 他者の乗り越えた体験を知り希望を抱く。

適切です。B精神保健福祉士の促しは、参加者Dさんの不安な気持ちを受け止め、参加者Cさんの気持ちの前向きな変化についてたずねるものです。CさんがDさん同様、不安な気持ちを持ちつつも前回の学習会での発言者のふるまいを見て希望を抱き、Dさんも今回のCさんのように堂々生きたいと希望を述べられています。

選択肢4. 自分だけの問題ではないという安心感を得る。

適切です。B精神保健福祉士の促しは、参加者Dさんの不安な気持ちを受け止め、参加者Cさんの気持ちの前向きな変化についてたずねるものです。Cさんも当初はDさんと同じく不安な気持ちをもっており、問題の普遍性(「悩みで苦しんでいるのは自分だけじゃない」という気付き)を理解し、Dさんの前向きな発言を引き出しています。

選択肢5. 他者への関わりの結果から対人関係について学ぶ。

適切です。B精神保健福祉士の促しは、参加者Dさんの不安な気持ちを受け止め、参加者Cさんの気持ちの前向きな変化についてたずねるものです。「他者への関わりの結果から対人関係について学ぶ」ための発言とはとらえられません。

まとめ

今回の設定では、適切ではありませんでしたが、「生活に必要な生きた情報が共有される(情報の伝達)」「社会的に必要なスキルを身に付ける」「他者への関わりの結果から対人関係について学ぶ(対人学習)」もグループセラピーの目的・効果となることがあります。

参考になった数1

03

本設問で行われているグループセラピーでは、同じ背景を持つ人同士が同じ立場でお互いの話を聞き合う事で、仲間づくりが出来たり、問題の解決方法などを一緒に考えたりする事に繋がります。

選択肢1. 生活に必要な生きた情報が共有される。

✕ このグループの参加者が生活を送る中で困っている行為は具体的に挙がっておらず、参加者同士やワーカーから助言しているような描写はありません。

選択肢2. 社会的に必要なスキルを身に付ける。

✕ DさんがCさんの話している姿を見て「Cさんのようになりたい」という希望を得ていますが、具体的なスキルを獲得しようとする考えに繋がっている様子はありません。

選択肢3. 他者の乗り越えた体験を知り希望を抱く。

〇 自分と同じ立場にある人の体験談を聞いたことで、Cさんは自分自身の考えが変化しています。その考えの変化がどのようにして起きたのかをB精神保健福祉士が尋ねる事で、考えが変化した理由を言語化して伝える事で、参加者が希望を抱けるように働きかけていると言えます。

選択肢4. 自分だけの問題ではないという安心感を得る。

〇 B精神保健福祉士がCさんに発言を促す事で、前回の参加者やCさんも同じような問題を抱えていたけれども考えを変化させる事が出来た事を参加者に伝えられるよう働きかけています。これは参加者一人ひとりに対して自分だけが抱えている問題ではない事を伝える効果があり、グループの参加者の安心感を得る効果に繋げています。

選択肢5. 他者への関わりの結果から対人関係について学ぶ。

✕ 他者への関わりや対人関係について学んでいる様子は本事例には書かれていません。

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