精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問18
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問題
第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Cさん(25歳、男性)は、19歳の時に友人に勧められて覚醒剤を使用し、警察に逮捕され、その後、保護観察処分を受けた。保護観察期間が終わってからは、その友人とも距離を置き、就職して23歳の時に結婚して子どもも生まれた。ところが新しい上司との相性が悪く、ミスを叱責されたことから口論となって仕事を辞め、再び覚醒剤を勧めた友人と会うようになった。働かずブラブラしているCさんをみた妻は、子どもを連れて家を出てしまった。Cさんは、失意と孤独から抑うつ状態に陥り、覚醒剤を再使用したいという欲求にかられ、精神科クリニックを訪れた。診察した医師はクリニックで実施しているSMARPP(せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム)への参加を勧め、担当のD精神保健福祉士がプログラム導入のための面接を行った。Cさんは、面接室に座るなり、「保護観察の時にも更生プログラムを受けた。本当に効果があるんですか」と疑心暗鬼な様子で尋ねた。D精神保健福祉士はCさんがクリニックに来たことをねぎらい、面接を始めた。(※1)
Cさんは、D精神保健福祉士との面接を経て、プログラムに参加することになった。プログラムを始めたばかりのCさんは、身体もつらそうで緊張した面持ちだったが、
「妻からは、『覚醒剤を勧めた友人と縁を切って、働くようになったらまた一緒に暮らしても良い』と言われた。頑張って妻と子どもに回復した姿を見せたい」と週1回の参加を続けた。4週目には、薬物の再使用の「引き金」について考えるプログラムに参加した。Cさんは自分の「引き金」が対人関係のつまずきと考え、D精神保健福祉士やほかのメンバーと一緒にその対処方法について確認した。(※2)
その後、順調にみえていたCさんだったが、プログラムが始まって2か月が過ぎた頃からイライラしてプログラムのメンバーと何度か言い争う姿がみられた。心配したD精神保健福祉士が、Cさんと面談すると、「妻と子どものことを考えると、もう絶対覚醒剤はやってはいけないと思うが、ふとした時にまた無性に覚醒剤を使いたいと思うことがある」「妻と子どもに会いたい」と訴えた。(※3)
次の記述のうち、(※2)において、Cさんと確認した対処方法として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Cさん(25歳、男性)は、19歳の時に友人に勧められて覚醒剤を使用し、警察に逮捕され、その後、保護観察処分を受けた。保護観察期間が終わってからは、その友人とも距離を置き、就職して23歳の時に結婚して子どもも生まれた。ところが新しい上司との相性が悪く、ミスを叱責されたことから口論となって仕事を辞め、再び覚醒剤を勧めた友人と会うようになった。働かずブラブラしているCさんをみた妻は、子どもを連れて家を出てしまった。Cさんは、失意と孤独から抑うつ状態に陥り、覚醒剤を再使用したいという欲求にかられ、精神科クリニックを訪れた。診察した医師はクリニックで実施しているSMARPP(せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム)への参加を勧め、担当のD精神保健福祉士がプログラム導入のための面接を行った。Cさんは、面接室に座るなり、「保護観察の時にも更生プログラムを受けた。本当に効果があるんですか」と疑心暗鬼な様子で尋ねた。D精神保健福祉士はCさんがクリニックに来たことをねぎらい、面接を始めた。(※1)
Cさんは、D精神保健福祉士との面接を経て、プログラムに参加することになった。プログラムを始めたばかりのCさんは、身体もつらそうで緊張した面持ちだったが、
「妻からは、『覚醒剤を勧めた友人と縁を切って、働くようになったらまた一緒に暮らしても良い』と言われた。頑張って妻と子どもに回復した姿を見せたい」と週1回の参加を続けた。4週目には、薬物の再使用の「引き金」について考えるプログラムに参加した。Cさんは自分の「引き金」が対人関係のつまずきと考え、D精神保健福祉士やほかのメンバーと一緒にその対処方法について確認した。(※2)
その後、順調にみえていたCさんだったが、プログラムが始まって2か月が過ぎた頃からイライラしてプログラムのメンバーと何度か言い争う姿がみられた。心配したD精神保健福祉士が、Cさんと面談すると、「妻と子どものことを考えると、もう絶対覚醒剤はやってはいけないと思うが、ふとした時にまた無性に覚醒剤を使いたいと思うことがある」「妻と子どもに会いたい」と訴えた。(※3)
次の記述のうち、(※2)において、Cさんと確認した対処方法として、適切なものを1つ選びなさい。
- 特に予定を入れずに毎日を気ままに過ごす。
- 覚醒剤を使用したくなる場面を徐々に増やす。
- お酒を飲んでリラックスする。
- 誰とも連絡を取らず、一人で過ごす。
- 深呼吸して気分を変え、妻と子どもの写真を見る。
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この過去問の解説 (3件)
01
プログラムに参加することになったCさんが、「頑張って妻と子どもに回復した姿を見せたい」と前向きになって来たところです。なぜ薬物を再使用してしまうのか原因も事例からわかっていますので、それに対する適切な方法を選びましょう。
不適切です。気ままに過ごすことも時に必要なことかもしれませんが、ここでは具体的な対処方法を考えることが重要です。
不適切です。薬物再使用の「引き金」の対処方法について問われていますので、逆効果と考えることができます。
不適切です。リラックスすることは良いのですが、お酒を飲むことによって症状の悪化が考えられます。
不適切です。「引き金」が対人関係のつまずきとありますので、少しずつ人と接する機会を持つことも大切です。
適切です。事例に「頑張って妻と子どもに回復した姿を見せたい」とあることから、Cさんの生きがいの一つが妻と子どもであることが伺えます。
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02
薬物使用歴があり、再使用の欲求を感じる患者(Cさん)がSMARPP(せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム)に参加している場面です。
SMARPP(せりがや覚せい剤依存再発防止プログラム)とは、2006年に旧せりがや病院で開発され、その後全国に普及した薬物再使用防止プログラムです。依存症からの回復を目指すプログラムは一般的に、①依存のメカニズムを学ぶ、②回復への道のりを学ぶ、③「使用したい」という気持ちにどう対応するか、具体的なスキルを身に着ける、④欲望・渇望への対処法を身に着ける、という内容構成が多いです。
Cさんの置かれている状況をよく考えながら解答するとともに、薬物再使用防止プログラムの内容も理解しておきましょう。
適切ではありません。対人関係につまずき、薬物したいと感じたときの具体的対処法としては、十分な回答とはいえません。対人関係の改善や心理面での具体的な変化をもたらす具体性に欠けます。
適切ではありません。対人関係につまずき、薬物したいと感じたときの具体的対処法としては、不適当です。対人関係のストレスをさらに増す結果になり得ます。
適切ではありません。プログラムでは、薬物のみならず、アルコールの乱用についてもその内容になっていることが多いです。リラックスするためとはいえ、依存先が薬物からアルコールに代わるだけという可能性もあり、適切な対処方法とはいえません。
適切ではありません。対人関係につまずき、薬物したいと感じたときの具体的対処法としては、十分な回答とはいえません。対人関係の改善や心理面での具体的な変化をもたらす具体性に欠けます。また、孤立感・孤独感を深める結果にもつながる可能性があります。
適切です。Cさんは回復後の姿を妻子に見せることを目標に掲げていることから、薬物の再使用の「引き金」があり、使用したいとう気持ちが生じたときの対処法として、具体性のある行動と評することができます。
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03
プログラムが進み、Cさんが薬物を再使用する「引き金」とその対処方法を学ぶ段階となっています。引き金となる内容は人それぞれ異なり、対処方法もそれぞれ異なるため、Cさんの現在の思いや過去の経緯などを聞く事で、Cさんの気持ちに沿った対処方法を考える事が必要となります。
✕ 予定を入れず気ままに過ごしてしまうと、手持ち無沙汰になってしまい、時間を持て余してしまいます。それにより、再び覚醒剤に手を出してしまう可能性もあるため、適切な対処方法とは言えません。
✕ 覚醒剤を使用したくなるような場面が増えれば、覚醒剤の誘惑に負けて覚醒剤の使用を再開してしまう可能性が高まるため、適切な対処法ではありません。
✕ 薬物の使用に繋がる事は無くなるかもしれませんが、Cさんがお酒を飲みすぎ、アルコール依存症など他の病気に繋がる可能性が高まり、適切な対処方法とは言えません。
✕ Cさんは以前、子どもや妻がいなくなった事をきっかけに孤独や失意を感じ、結果として薬物の再使用に繋がってしまった経緯があります。人と離れて過ごす事でCさんが再び孤独を感じるようになれば、薬物の再使用に繋がる可能性が高いと考えられ、適切な対処方法とは言えません。
〇 Cさんが覚醒剤から離れたいと考えたきっかけは、妻と子どもとの離別です。覚醒剤を止める事が家族との再会や以前のような生活の再開に繋がるため、妻や子どもの写真を見る事でその思いを想起できると思われ、有効な対処方法と言えます。
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