精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問22
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問22 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
人口7万人のQ市は、人口減少や世帯の小規模化が進み、地域のつながりの希薄化が課題となっている。X障害者基幹相談支援センターのE相談支援専門員(精神保健福祉士)(以下「E専門員」という。)はピアサポーターから、「地域の事業所は、精神障害への偏見の修正や生活のしづらさの改善のために、地域にどう関わり、支援に活かしているのか」と聞かれた。E専門員は地域内の取組を伝えながら、幾つかの課題が頭に浮かび、それを整理する必要があると考えた。そこでE専門員は、翌月開催されたQ市「協議会」の部会で、「各事業所及び事業所がある地区の強みと弱みなどを可視化して、現状や課題を探ってみませんか」と参加者に提案した。
その後、8事業所から参加協力を得て学習会を開催し、市内各地区のマトリックス表を作成した。実施後に参加者から、「地区別の各事業所の課題と役割が分かった」「市全域と各地区との関係が分かった」「現状を各地区の実践にどう活かすかが今後の課題だ」と報告があった。(※1)
E専門員は報告を取りまとめ、「この結果を実践に活かすために、各事業所が個々の支援で工夫していることや課題と、今回地区ごとに可視化できたこととを結び付けてみてはどうでしょう。それらを精査して、地区やQ市の戦略的方策を考えていきませんか」と学習会において新たに提案した。(※2)
その後、学習会で検討した結果、「取組はあるが、その実践スキルやノウハウが集約できていない」「取組成果が地域に発信されていない」「住民からフィードバックを受ける仕組みが整っていない」ことが整理された。そこで「協議会」ではそれらを戦略的方策として、地域住民や当事者、その家族と事業所の協働で、地域実践を蓄積する方法を開発し、外部評価の仕組み作りを進めていった。この活動が継続していくと、参加する住民や団体も増え、Q市各地区での信頼感や結束力の高まりがみられるようになった。(※3)
(注)「協議会」は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき、障害者等への支援体制の整備を図るため、保健医療関係者、福祉関係者等で構成される。
次のうち、この活動を通して地域に形成されたものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
人口7万人のQ市は、人口減少や世帯の小規模化が進み、地域のつながりの希薄化が課題となっている。X障害者基幹相談支援センターのE相談支援専門員(精神保健福祉士)(以下「E専門員」という。)はピアサポーターから、「地域の事業所は、精神障害への偏見の修正や生活のしづらさの改善のために、地域にどう関わり、支援に活かしているのか」と聞かれた。E専門員は地域内の取組を伝えながら、幾つかの課題が頭に浮かび、それを整理する必要があると考えた。そこでE専門員は、翌月開催されたQ市「協議会」の部会で、「各事業所及び事業所がある地区の強みと弱みなどを可視化して、現状や課題を探ってみませんか」と参加者に提案した。
その後、8事業所から参加協力を得て学習会を開催し、市内各地区のマトリックス表を作成した。実施後に参加者から、「地区別の各事業所の課題と役割が分かった」「市全域と各地区との関係が分かった」「現状を各地区の実践にどう活かすかが今後の課題だ」と報告があった。(※1)
E専門員は報告を取りまとめ、「この結果を実践に活かすために、各事業所が個々の支援で工夫していることや課題と、今回地区ごとに可視化できたこととを結び付けてみてはどうでしょう。それらを精査して、地区やQ市の戦略的方策を考えていきませんか」と学習会において新たに提案した。(※2)
その後、学習会で検討した結果、「取組はあるが、その実践スキルやノウハウが集約できていない」「取組成果が地域に発信されていない」「住民からフィードバックを受ける仕組みが整っていない」ことが整理された。そこで「協議会」ではそれらを戦略的方策として、地域住民や当事者、その家族と事業所の協働で、地域実践を蓄積する方法を開発し、外部評価の仕組み作りを進めていった。この活動が継続していくと、参加する住民や団体も増え、Q市各地区での信頼感や結束力の高まりがみられるようになった。(※3)
(注)「協議会」は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき、障害者等への支援体制の整備を図るため、保健医療関係者、福祉関係者等で構成される。
次のうち、この活動を通して地域に形成されたものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ソーシャルベンチャー
- ソーシャルファーム
- コミュニティビジネス
- コミュニティチェスト
- ソーシャルキャピタル
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
「協議会」における「地区の強み・弱みを把握・可視化し課題を探る」学習会から「地区やQ市の戦略的方策」が具現化していく場面です。現在の状況がどのような段階であるか意識するとともに、それぞれの選択肢の意味を吟味し、解答しましょう。
適切ではありません。ソーシャルベンチャーとは、一般に、社会的価値の実現や社会問題の解消に向けて取り組む「進取の気質」を持つ組織とされ、起業家的なアプローチを志向するものを指します。事例の「この活動を通して地域に形成されたもの」としては不適切です。
適切ではありません。ソーシャルファームとは、一般にソーシャルインクルージョンの考えに基づき、障害者など一般企業で働くことが難しい人々を雇用し、他の雇用者と一緒に働く場を提供している企業・団体のことです。社会的企業と訳されることもあります。事例の「この活動を通して地域に形成されたもの」としては不適切です。
適切ではありません。コミュニティビジネスとは、一般に、コミュニティ(地域)におけるニーズ・課題に対応するための事業をいいます。地域資源活用、まちづくり、農業、就業支援など多岐に渡ります。単なるボランティア活動は含まない概念でもあります。事例の「この活動を通して地域に形成されたもの」としては不適切です。
適切ではありません。コミュニティチェストとは、一般にコミュニティから慈善目的で集められる寄付、またはその活動・運営団体を指すとされます。事例の「この活動を通して地域に形成されたもの」としては不適切です。
適切です。ソーシャルキャピタルとは、一般に人々が持つ信頼関係や人間関係・社会的ネットワークのことを指し、社会学、政治学、経済学、経営学などにおいて用いられる概念です。社会関係資本とも訳されます。人々の協調行動により社会の効率性が高まるという考え方が根底にあります。事例にある「各地区での信頼感や結束力の高まり」はこれに該当すると考えられます。
参考になった数14
この解説の修正を提案する
02
協議会の学習会から地域づくりに発展していく場面です。それぞれの用語の意味を理解し、適切な選択肢を選びましょう。
不適切です。ここではビジネスではなく、地域住民や当事者の活動について話されています。
不適切です。ここでは地域内での活動について話されています。
不適切です。地域づくりをビジネスとして捉えようとしている話は出てきておりません。
不適切です。募金や寄付を集めるという話は出てきておりません。
適切です。「Q市各地区での信頼感や結束力の高まりがみられるようになった」とあります。
参考になった数5
この解説の修正を提案する
03
本設問では、選択肢に挙げられている単語の意味を正確に理解しておく必要があります。
✕ ソーシャルベンチャーとは、社会的な問題を、ビジネスの手法を取り入れて解決する事を目的とした企業の事を言います。今回の活動を通して企業が形成された訳ではないため、不適切です。
✕ ソーシャルファームとは、自律的な経済活動を行いながら、就労に困難を抱える方が、必要なサポートを受けながら他の従業員とともに働いている企業の事を言います。ソーシャルベンチャーと同様、この地域に企業は形成されていないため、不適切な選択肢です。
✕ コミュニティビジネスとは、住民が主体となって、その地域に存在する課題をビジネスの手法で解決する事を言います。本設問において、ビジネスの手法は用いられていませんので、不適切な選択肢です。
✕ コミュニティチェストは「共同募金」を意味します。本事例で取り上げられている事業内容は、共同募金による事業内容に位置づけられておらず、適切な選択肢とは言えません。
〇 ソーシャルキャピタルとは、人同士の繋がりや、人間関係の結びつきなどによって社会の効率性が向上した状態の事を言います。
参考になった数1
この解説の修正を提案する
前の問題(問21)へ
第25回(令和4年度)問題一覧
次の問題(問23)へ