精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問21

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問題

第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問21 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
人口7万人のQ市は、人口減少や世帯の小規模化が進み、地域のつながりの希薄化が課題となっている。X障害者基幹相談支援センターのE相談支援専門員(精神保健福祉士)(以下「E専門員」という。)はピアサポーターから、「地域の事業所は、精神障害への偏見の修正や生活のしづらさの改善のために、地域にどう関わり、支援に活かしているのか」と聞かれた。E専門員は地域内の取組を伝えながら、幾つかの課題が頭に浮かび、それを整理する必要があると考えた。そこでE専門員は、翌月開催されたQ市「協議会」の部会で、「各事業所及び事業所がある地区の強みと弱みなどを可視化して、現状や課題を探ってみませんか」と参加者に提案した。
その後、8事業所から参加協力を得て学習会を開催し、市内各地区のマトリックス表を作成した。実施後に参加者から、「地区別の各事業所の課題と役割が分かった」「市全域と各地区との関係が分かった」「現状を各地区の実践にどう活かすかが今後の課題だ」と報告があった。(※1)
E専門員は報告を取りまとめ、「この結果を実践に活かすために、各事業所が個々の支援で工夫していることや課題と、今回地区ごとに可視化できたこととを結び付けてみてはどうでしょう。それらを精査して、地区やQ市の戦略的方策を考えていきませんか」と学習会において新たに提案した。(※2)
その後、学習会で検討した結果、「取組はあるが、その実践スキルやノウハウが集約できていない」「取組成果が地域に発信されていない」「住民からフィードバックを受ける仕組みが整っていない」ことが整理された。そこで「協議会」ではそれらを戦略的方策として、地域住民や当事者、その家族と事業所の協働で、地域実践を蓄積する方法を開発し、外部評価の仕組み作りを進めていった。この活動が継続していくと、参加する住民や団体も増え、Q市各地区での信頼感や結束力の高まりがみられるようになった。(※3)
(注)「協議会」は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき、障害者等への支援体制の整備を図るため、保健医療関係者、福祉関係者等で構成される。

次のうち、(※2)の時点でE専門員が活用を意図したコミュニティソーシャルワークの機能として、適切なものを1つ選びなさい。
  • 精神障害当事者家族の問題解決能力の向上
  • 地域における新しいニーズの発見
  • 新しい社会資源の創造
  • 個と地域の一体的支援の展開
  • 住民による地域福祉問題の早期発見機能の強化

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この過去問の解説 (3件)

01

現状と課題がわかってきたので、それを次に繋げようとする場面です。現在がソーシャルワークのどの段階かを常に意識した提案が必要です。

選択肢1. 精神障害当事者家族の問題解決能力の向上

不適切です。具体的に「精神障害当事者家族」に焦点をあてて話している記述は読み取れません。

選択肢2. 地域における新しいニーズの発見

不適切です。まずは、現状と課題についての結び付けを検討している段階ですので、「新しいニーズの発見」について話していません。

選択肢3. 新しい社会資源の創造

不適切です。まずは、現状と課題について戦略的方策を考えようとしている段階であり、「新しい社会資源」については触れられていません。

選択肢4. 個と地域の一体的支援の展開

適切です。各事業所の個々の支援と地区という地域で可視化できたことについて話し合おうとしています。

選択肢5. 住民による地域福祉問題の早期発見機能の強化

不適切です。まだ現状と課題について方策を考えていこうとしている段階であり、具体的な強化内容につれては触れられていません。

参考になった数10

02

精神保健福祉士は地域社会の中で「潤滑油」として活動を行う場合があります。コミュニティソーシャルワークの機能を正しく理解し、E専門員の意図を推測していく必要があります。

選択肢1. 精神障害当事者家族の問題解決能力の向上

適切ではありません。「精神障害当事者家族の問題解決能力の向上」はソーシャルワーカーとして関わる重要な仕事の一つですが、E専門員の発言の趣旨は「事業所個別の支援と可視化した課題を結び付け、さらに地区やQ市の戦略的方策を練る」ことであるため、解答としては不適切です。

選択肢2. 地域における新しいニーズの発見

適切ではありません。「地域における新しいニーズの発見」はソーシャルワーカーとして重要な仕事の一つですが、E専門員の発言の趣旨は「事業所個別の支援と可視化した課題を結び付け、さらに地区やQ市の戦略的方策を練る」ことであるため、解答としては不適切です。

選択肢3. 新しい社会資源の創造

適切ではありません。「新しい社会資源の創造」はソーシャルワーカーとして重要な仕事の一つですが、E専門員の発言の趣旨は「事業所個別の支援と可視化した課題を結び付け、さらに地区やQ市の戦略的方策を練る」ことであるため、解答としては不適切です。

選択肢4. 個と地域の一体的支援の展開

適切です。E専門員の発言の趣旨は「事業所個別の支援と可視化した課題を結び付け、さらに地区やQ市の戦略的方策を練る」です。

選択肢5. 住民による地域福祉問題の早期発見機能の強化

適切ではありません。「住民による地域福祉問題の早期発見機能の強化」はソーシャルワーカーとして関わる重要な仕事の一つですが、E専門員の発言の趣旨は「事業所個別の支援と可視化した課題を結び付け、さらに地区やQ市の戦略的方策を練る」ことであるため、解答としては不適切です。

参考になった数6

03

現時点で明らかとなった地域の現状や課題を、どのようにして実践に活かすかを検討する段階となっています。E専門員がどのような視点で参加者に働きかけているかを考える必要があります。

選択肢1. 精神障害当事者家族の問題解決能力の向上

✕ 現時点ではQ市にある事業所の役割や関係性が見え、課題分析等も行う事が出来ていますが、精神障害当事者家族の問題解決能力の向上にまで話は至っていません。

選択肢2. 地域における新しいニーズの発見

✕ 今回の活動では、既存の事業所等の役割などを可視化した事から、地区やQ市の今後の戦略的方策を考えていくよう働きかけています。地域における新しいニーズの発見を意識した実践とはなっていません。

選択肢3. 新しい社会資源の創造

✕ 今回の活動では既存の事業所等の役割を可視化し、地区やQ市の今後の戦略的方策を考えていくよう働きかけており、新しい社会資源の創造の話は出ておりません。

選択肢4. 個と地域の一体的支援の展開

〇 地域における事業所の役割を可視化した事と、個々の課題を結びつけていけるよう働きかけています。

選択肢5. 住民による地域福祉問題の早期発見機能の強化

✕ 現時点では地域住民の参加はされておらず、住民による地域福祉問題の早期発見機能の強化を意図したものとは言えません。

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