精神保健福祉士 過去問
第26回(令和5年度)
問28 (現代社会と福祉 問7)

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問題

精神保健福祉士試験 第26回(令和5年度) 問28(現代社会と福祉 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、エスピン-アンデルセン(Esping−Andersen,G.)の福祉レジーム論に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 福祉レジームは、残余的モデルと制度的モデルの2つの類型からなる。
  • 市場や家族の有する福祉機能は、福祉レジームの分析対象とはされない。
  • スウェーデンとドイツは同一の福祉レジームに属する。
  • 各国の社会保障支出の大小といった量的差異に限定した分析を行っている。
  • 福祉レジームの分析に当たり、脱商品化という概念を用いる。

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この過去問の解説 (3件)

01

エスピン−アンデルセン(Esping−Andersen, G.)の福祉レジーム論の分類について、具体的な国家名と結び付けて整理しておきましょう。

選択肢1. 福祉レジームは、残余的モデルと制度的モデルの2つの類型からなる。

福祉レジームは、自由主義レジーム、保守主義レジーム、社会民主主義レジームの3つに分類されます。

選択肢2. 市場や家族の有する福祉機能は、福祉レジームの分析対象とはされない。

市場や家族の機能が強調されるのは自由主義レジームです。社会民主主義レジームでは、これらの機能は小さくなります。

選択肢3. スウェーデンとドイツは同一の福祉レジームに属する。

スウェーデンやデンマークなどの北欧諸国は社会民主主義レジームに、ドイツやフランスなどの大陸諸国は保守主義レジームに分類されます。自由主義レジームには、イギリスやアメリカが該当します。

選択肢4. 各国の社会保障支出の大小といった量的差異に限定した分析を行っている。

福祉レジームにおいては、社会保障支出の規模だけでなく、雇用政策の役割も分析されています。

選択肢5. 福祉レジームの分析に当たり、脱商品化という概念を用いる。

福祉レジームの分析では、脱商品化(労働力が商品として扱われないこと)や社会的階層化(職種などに応じて異なるサービスが提供されること)を指標にしています。その後、脱家族化(家族の役割を社会が担うこと)も加えられました。

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02

福祉レジーム論に関する「自由主義レジーム」「保守主義レジーム」「社会民主主義レジーム」について、具体的に確認しておきましょう。

選択肢1. 福祉レジームは、残余的モデルと制度的モデルの2つの類型からなる。

不適切です。自由主義レジーム、保守主義レジーム、社会民主主義レジームの3つの類型からなります。

選択肢2. 市場や家族の有する福祉機能は、福祉レジームの分析対象とはされない。

不適切です。市場や家族の有する福祉機能は、福祉レジームの分析対象とされています。

選択肢3. スウェーデンとドイツは同一の福祉レジームに属する。

不適切です。スウェーデンは社会民主主義レジームに属し、ドイツは保守主義レジームに属します。

選択肢4. 各国の社会保障支出の大小といった量的差異に限定した分析を行っている。

不適切です。社会保障支出の大小といった、量的差異に限定しているわけではありません。

選択肢5. 福祉レジームの分析に当たり、脱商品化という概念を用いる。

適切です。記述の通りです。

参考になった数3

03

エスピン=アンデルセンの福祉レジーム論は、「脱商品化(decommodification)」をキーワードに、市場・家族・国家の関係性に着目し、福祉国家を3類型で比較分析した理論です。

選択肢1. 福祉レジームは、残余的モデルと制度的モデルの2つの類型からなる。

×

これはティトマス(Titmuss, R.)による福祉モデルの分類(残余的・制度的・産業業績モデルなど)です。

エスピン=アンデルセンは3類型(自由主義型・保守主義型・社会民主主義型)で分析します。

選択肢2. 市場や家族の有する福祉機能は、福祉レジームの分析対象とはされない。

×

福祉レジーム論はまさに、「国家・市場・家族」の相互関係に注目する理論です。

特に「脱商品化」や「家族主義(familialism)」といった視点で家族の役割も分析します。

選択肢3. スウェーデンとドイツは同一の福祉レジームに属する。

×

スウェーデン「社会民主主義型」…普遍主義、脱商品化が高く、性別平等も重視

ドイツ「保守主義(大陸)型」…社会保険中心、家族単位の扶養、伝統的性別役割が強い

異なる類型に分類されます。

選択肢4. 各国の社会保障支出の大小といった量的差異に限定した分析を行っている。

×

福祉レジーム論は「支出の量」ではなく、制度の質的な構造・理念・脱商品化レベルを重視した分析です。

定量分析ではなく定性的な福祉国家の類型論です

選択肢5. 福祉レジームの分析に当たり、脱商品化という概念を用いる。

「脱商品化(decommodification)」とは、労働力が市場に依存せずに生存可能な状態です(例:生活保障が強ければ、働かなくても最低限の生活ができる)。

これが福祉レジーム論の分析軸の一つであり、自由主義型ほど脱商品化が低く、社会民主主義型ほど高いです。

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