精神保健福祉士 過去問
第26回(令和5年度)
問79 (権利擁護と成年後見制度 問4)
問題文
遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
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問題
精神保健福祉士国家試験 第26回(令和5年度) 問79(権利擁護と成年後見制度 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 成年被後見人は、事理弁識能力が一時回復した時であっても遺言をすることができない。
- 自筆証書遺言を発見した相続人は、家庭裁判所の検認を請求しなければならない。
- 公正証書によって遺言をするには、遺言者がその全文を自書しなければならない。
- 自筆証書によって遺言をするには、証人2人以上の立会いがなければならない。
- 遺言に相続人の遺留分を侵害する内容がある場合は、その相続人の請求によって遺言自体が無効となる。
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この過去問の解説 (3件)
01
遺言における公正証書遺言と自筆証書遺言の違いや、遺留分について整理しておきましょう。
成年被後見人も遺言をすることができます。成年後見人がその遺言を取り消す権利はありません。
検認とは、遺言内容が改変されないようにその内容を記録することを指します。自筆証書遺言と秘密証書遺言の保管者や発見者は、家庭裁判所に届けて検認手続きを行う必要があります。
公正証書遺言には検認手続きが不要なのは、内容改変の可能性がないためです。また、自筆証書遺言保管制度を利用した場合も検認は必要ありません。
公正証書遺言は、遺言者が公証人に口頭で伝え、それを文書化します。自書できない者でも遺言することができ、内容が改変される可能性もありません。
証人が2人以上の立会いが必要なのは、公正証書遺言の場合です。自筆証書遺言には証人は不要です。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人が一定割合の財産を相続する権利です。
遺留分を侵害する遺言は請求によって無効とはならず、遺留分を侵害した額の支払いを相続を受けた者に請求することができます。
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02
遺言に関する知識について問う問題です。
過去に問われた論点を中心に、民法の条文などを確認しておきましょう。
適切ではありません。
成年被後見人であっても、事理を弁識する能力を一時回復した場合において、医師2人以上の立ち合いがあれば、有効な遺言をすることができます(民法973条1項)。
適切です。
民法1004条1項に「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。」と定められています。
適切ではありません。
公正証書遺言は、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述することによってされます(民法969条2号)。
適切ではありません。
証人2人以上の立ち合いが求められるのは公正証書遺言です(民法967条・968条)。
適切ではありません。
遺言に相続人の遺留分を侵害する内容がある場合でも、遺言自体が無効となるわけではありません。
遺留分権利者が受遺者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することになります(民法1046条)。
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03
遺言書の種類は「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があり、それぞれ作成方法や作成上の留意点が異なります。
✕ 事理弁識能力とは、物事の良し悪しを判断したり、その価値基準に基づいて自分で行動する事が出来る能力の事を言います。成年被後見人は「事理弁識能力を欠く常況にあるもの」とされていますが、一時的にその能力が回復した場合に書かれた遺言は有効な物となります。ただし、その遺言を残す際には医師2人以上の立会が必要となります。
〇 自筆証書遺言とは、遺言者が自分自身が手書きで遺言を書き残す方法で作成された遺言書の事を言います。遺言書の保管者または相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出し、検認を請求しなければなりません。
✕ 公正証書によって遺言する場合は、遺言者が公述した内容を公証人が筆記し、その内容を遺言者と証人に読み上げ、間違いが無ければ遺言者と証人が署名、押印する形で作成されます。遺言者がその全文を自書する必要はありません。
✕ 遺言をする際に承認が2人以上必要となるのは、公正証書遺言の場合であり、自筆証書遺言の際は必要ありません。
✕ 遺言に相続人の遺留分を侵害する内容があり、その相続人の請求があったとしても、遺言自体が無効となる訳ではありません。ただし、相続人が遺留分を請求した場合はその分を相続人に渡さなければなりません。
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