精神保健福祉士 過去問
第26回(令和5年度)
問83 (権利擁護と成年後見制度 問8)

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問題

精神保健福祉士国家試験 第26回(令和5年度) 問83(権利擁護と成年後見制度 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

成年被後見人Jさんへの成年後見人による意思決定支援に関する次の記述のうち、「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」に沿った支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」とは、2020年(令和2年)に、最高裁判所、厚生労働省等により構成される意思決定支援ワーキング・グループが策定したものである。
  • Jさんには意思決定能力がないものとして支援を行う。
  • Jさんが自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を行う。
  • 一見して不合理にみえる意思決定をJさんが行っていた場合には、意思決定能力がないものとみなして支援を行う。
  • 本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合にも、Jさんにより表明された意思があればそのとおり行動する。
  • やむを得ずJさんの代行決定を行う場合には、成年後見人にとっての最善の利益に基づく方針を採る。

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この過去問の解説 (3件)

01

「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」は、

 

<対象>

①専門職後見人はもとより、親族後見人や市民後見人を含めて、後見人、保佐人、補助人に就任した者

②中核機関や自治体の職員等

<目的>

①意思決定支援を踏まえた後見事務、保佐事務、補助事務を適切に行うことができるようになる

②執務の参考となる

 

のために、

 

後見人等に求められている役割の具体的なイメージ

・通常行うことが期待されること

・行うことが望ましいこと

 

を示すものとして、最高裁判所、厚生労働省等により構成される意思決定支援ワーキング・グループが策定したものです。

 

ガイドラインにおける意思決定のあり方について大まかに把握しておきましょう。

選択肢1. Jさんには意思決定能力がないものとして支援を行う。

適切ではありません。

 

意思決定支援における後見人の役割として

第1 全ての人は意思決定能力があることが推定される。 
第2 本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさなければ、代行決定に移ってはならない。 
第3 一見すると不合理にみえる意思決定でも、それだけで本人に意思決定能力がないと判断してはならない。

ことを基本原則に掲げています。

選択肢2. Jさんが自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を行う。

適切です。

 

意思決定支援における後見人の役割として

第1 全ての人は意思決定能力があることが推定される。 
第2 本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさなければ、代行決定に移ってはならない。 
第3 一見すると不合理にみえる意思決定でも、それだけで本人に意思決定能力がないと判断してはならない。

ことを基本原則に掲げています。

選択肢3. 一見して不合理にみえる意思決定をJさんが行っていた場合には、意思決定能力がないものとみなして支援を行う。

適切ではありません。

 

意思決定支援における後見人の役割として

第1 全ての人は意思決定能力があることが推定される。 
第2 本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさなければ、代行決定に移ってはならない。 
第3 一見すると不合理にみえる意思決定でも、それだけで本人に意思決定能力がないと判断してはならない。

ことを基本原則に掲げています。

選択肢4. 本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合にも、Jさんにより表明された意思があればそのとおり行動する。

適切ではありません。

 

代行決定への移行場面・代行決定の基本原則の第5には

 

①本人の意思推定すら困難な場合

②本人により表明された意思等が本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合には、後見人等は本人の信条・価値観・選好を最大限尊重した、本人にとっての最善の利益に基づく方針を採らなければならない。

 

と規定されています。

 

Jさんが表明された意思通りに行動することを基本原則としているわけではありません。

選択肢5. やむを得ずJさんの代行決定を行う場合には、成年後見人にとっての最善の利益に基づく方針を採る。

適切ではありません。

 

代行決定への移行場面・代行決定の基本原則の第5には

 

①本人の意思推定すら困難な場合

②本人により表明された意思等が本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合には、後見人等は本人の信条・価値観・選好を最大限尊重した、本人にとっての最善の利益に基づく方針を採らなければならない。

 

と規定されています。

 

成年後見人にとっての最善の利益ではなく、本人にとっての最善の利益に基づく方針が採られます。

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02

意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインは、成年後見制度利用促進基本計画に基づき作成されました。

選択肢1. Jさんには意思決定能力がないものとして支援を行う。

✕ ガイドラインには「全ての人は意思決定能力がある事が推定される」と明記されています。Jさんに意思決定能力がないものとして支援を行う事は、ガイドラインに沿った支援ではありません。

選択肢2. Jさんが自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を行う。

〇 ガイドラインには「本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさなければ、代行決定に移ってはならない」と明記されています。口頭による意思確認だけではなく、本人が意思決定できるようなアプローチを可能な限り行う必要があります。

選択肢3. 一見して不合理にみえる意思決定をJさんが行っていた場合には、意思決定能力がないものとみなして支援を行う。

✕ ガイドラインには「一見すると不合理にみえる意思決定でも、それだけで本人に意思決定能力がないと判断してはならない」と明記されています。

選択肢4. 本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合にも、Jさんにより表明された意思があればそのとおり行動する。

✕ 本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合は、それをそのまま実行する事は適切とは言えないとされ、本人にとって最善の利益に基づく支援を行う事も出来るとされています。

選択肢5. やむを得ずJさんの代行決定を行う場合には、成年後見人にとっての最善の利益に基づく方針を採る。

✕ Jさんの代行決定を行う場合は、Jさんの最善の利益に基づく方針を採る事が必要です。

参考になった数3

03

成年後見人への意思決定支援について、「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」を踏まえた支援、決定になるよう整理しておきましょう。

選択肢1. Jさんには意思決定能力がないものとして支援を行う。

意思決定支援の基本原則の一つに、「すべての人は意思決定能力があると推定される」というものがあります。

選択肢2. Jさんが自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を行う。

意思決定支援の基本原則には、「本人が自ら意思決定できるよう、実行可能な支援を尽くすべきであり、代行決定に移るのはそれが不可能な場合のみ」とあります。

選択肢3. 一見して不合理にみえる意思決定をJさんが行っていた場合には、意思決定能力がないものとみなして支援を行う。

意思決定支援の基本原則の一つに、「一見不合理に見える意思決定でも、単にそれだけで本人に意思決定能力がないとは限らない」というものがあります。

選択肢4. 本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合にも、Jさんにより表明された意思があればそのとおり行動する。

代行決定の場面では、「重大な影響を及ぼす場合に、後見人等は本人の信条・価値観・選好を最大限尊重した最善の利益に基づく方針を採るべき」となります。

選択肢5. やむを得ずJさんの代行決定を行う場合には、成年後見人にとっての最善の利益に基づく方針を採る。

代行決定を行う際には、本人にとっての最善の利益に基づく方針を採ることが求められます。

参考になった数3