精神保健福祉士 過去問
第26回(令和5年度)
問85 (精神疾患とその治療 問2)
問題文
アルコール依存症の治療に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
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問題
精神保健福祉士国家試験 第26回(令和5年度) 問85(精神疾患とその治療 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
アルコール依存症の治療に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 向精神薬の使用は禁忌である。
- 本人の抱える問題は家族が代わって対処することが望ましい。
- 断酒会は、匿名で参加する自助グループである。
- 抗酒剤は、服用後に飲酒すると頭痛や嘔吐(おうと)などを起こすことで飲酒を抑止する。
- 合併症のウェルニッケ脳症は断酒をすれば改善する。
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この過去問の解説 (2件)
01
アルコール依存は、大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒がないといられなくなる状態をいいます。
アルコール依存症は、精神疾患のひとつです。
従来のアルコール依存症治療の原則として
・断酒の継続
・底つき体験
・直面化と否認の打破
・集団精神療法
・抵酒剤の服用
があげられます。
なお、近年、断酒のみの対応では、多様な患者の治療戦略として対応できないとの考えから、(断酒ではなく)飲酒量の低減が治療として導入されるケースもあります。
また、「直面化と否認の打破」のため、治療者が患者を突き放すように対応するのではなく、認知行動療法・動機づけ面接を通じて、断酒のための方法を教育するのが治療者の役割とされる場合もあります。
正しくありません。
アルコール依存症では、断酒を目的とした向精神薬が使用される場合があります。
正しくありません。
本人の抱える問題を家族が代わって対処してしまうと、アルコール依存という問題に本人が向き合う機会が失われ、その結果として過度な飲酒を継続できる状態になる場合があります。
正しくありません。
断酒会は姓名を名乗ることが原則としている場合が多いです。
正しいです。
抗酒剤(例 シアナミドやジスルフィラム)は、薬を飲んでアルコールを摂取すると、悪心・嘔吐、頭痛、動悸、顔面紅潮、呼吸困難を引き起こします。
なお、頭痛や嘔吐(おうと)などを起こす可能性が少ない断酒補助薬・飲酒量低減薬もあります。
正しくありません。
ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1の欠乏によって意識障害・失調性歩行・眼球運動障害などが引き起こされる脳の病気です。
アルコール依存症の人にもよく見られる病気でもあります。
断酒を行うのはもちろんですが、点滴によるビタミンB1の補給など適切な治療を行う必要があります。
また、健忘症候群(コルサコフ症候群)という後遺症が残る場合もあります。
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02
令和3年3月のアルコール健康障害対策推進基本計画では、アルコール依存症の患者数は4.6万人(平成29年)と推計されていますが、アルコール依存症の生涯経験者は54万人とも言われています。この結果から、アルコール依存症の患者が適切に治療を受けられていない事も推察されており、対応を検討していく必要があります。
✕ 向精神薬とは中枢神経系に作用し、生物の精神活動に何らかの影響を与える薬物の事を言います。アルコール依存症の治療にはベンゾジアゼピン系薬剤を使用する場合があるため、向精神薬の使用は禁忌ではありません。
ただし、副作用などには十分注意して治療を行う必要があります。
✕ 本人の抱える問題を家族が代わって対処すると、本人はその問題を実感する事が出来ないため、立ち直りの機会を失ってしまいます。そのような行為を「イネイブリング」といいます。
✕ 匿名で参加する自助グループは「アルコホーリクス・アノニマス」です。断酒会は匿名ではなく実名での参加が多いです。
〇 選択肢の通りです。抗酒剤は服用後に飲酒した際の不快感から、飲酒を抑制する効果に繋げる薬です。ただし、服用する事によって飲酒欲求を抑えられる訳ではありません。
✕ ウェルニッケ脳症とは、ビタミンB1の欠乏により脳に障害を与え、意識障害や運動失調などを起こす病気です。飲酒をやめても改善はせず治療が必要となり、治療を行ったとしても後遺症が残る場合もあります。
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