精神保健福祉士 過去問
第26回(令和5年度)
問107 (精神保健福祉相談援助の基盤 問4)

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問題

精神保健福祉士試験 第26回(令和5年度) 問107(精神保健福祉相談援助の基盤 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

6月のある日、大学のキャンパスソーシャルワーカーであるG精神保健福祉士のところに、留学生のHさん(1年生)が留学生支援センターの職員に付き添われやって来て、面接することとなった。生気のない様子のHさんはぽろぽろ涙をこぼしながら、「日本の大学に憧れて留学したが、同級生との会話は早すぎてついて行くことができない。授業の内容があまり理解できずに困っている。アパートの隣人からはゴミの分別について強い口調で注意され悲しい気持ちになった。母国にいる家族の期待を考えると苦しくて、もうどうしたらよいか分からない」と訴えた。
次の記述のうち、この面接場面においてG精神保健福祉士が優先すべき対応として、適切なものを1つ選びなさい。
  • 同級生への話しかけ方の練習を提案する。
  • 授業について行けるかが心配なので一緒に考えましょうと伝える。
  • 留学生に慣れた家主や近隣の人々がいる物件を探して転居することを勧める。
  • うつ気味であることを心配し、精神科クリニックへの受診を促す。
  • ゆっくり話を聞きつつ、Hさんとともに状況の整理を行う。

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この過去問の解説 (2件)

01

本設問では、留学生のHさんが複数の課題を抱えており「どうしたらよいか分からない」と、心が押しつぶされそうになっている状況で相談に来ています。Hさんの気持ちを受け止め状況を確認した上で、まずは課題の整理を行う事が必要と考えられます。

選択肢1. 同級生への話しかけ方の練習を提案する。

✕ Hさんから「同級生との会話が早すぎてついていけない」という言葉は聞かれていますが、Hさんにとってそれは問題の一角にすぎません。

まずはHさんが混乱している気持ちを受け止め、課題の整理をした上で解決方法を検討する必要があると考えられます。

選択肢2. 授業について行けるかが心配なので一緒に考えましょうと伝える。

✕ Hさんから「授業の内容があまり理解できずに困っている」という言葉が聞かれていますが、それも問題の一角にすぎず、その問題だけに対処するような声掛けは、適切とは言えません。

Hさんの抱える問題について話を聞き、課題の整理を行った上で解決方法を検討する必要があると考えられます。

選択肢3. 留学生に慣れた家主や近隣の人々がいる物件を探して転居することを勧める。

✕ Hさんから「アパートの隣人からはゴミの分別について強い口調で注意され悲しい気持ちになった」という言葉が聞かれていますが、転居したいという希望が聞かれている訳ではありません。Hさんの気持ちに沿った支援を行っている訳ではなく、不適切です。

選択肢4. うつ気味であることを心配し、精神科クリニックへの受診を促す。

✕ Hさんは様々な不安を抱え相談に来ています。Hさんの話を詳しく聞かないまま精神科クリニックへの受診を促す事は、適切な支援とは言えません。

Hさんが抱える思いを受け止め、その課題の整理を行いながら、Hさんと信頼関係を築けるよう働きかける事が必要と考えられます。

選択肢5. ゆっくり話を聞きつつ、Hさんとともに状況の整理を行う。

〇 Hさんは様々な思いや課題を抱えており、それによって混乱している状況が読み取れます。Hさんが抱える不安な思いを受け止め、一つひとつ状況を整理する事で、Hさんが自分自身の課題を把握する事にも繋がるため、適切な支援と言えます。

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02

キャンパスソーシャルワーカーであるG精神保健福祉士の留学生のHさんへの対応が問われている問題です。

 

キャンパスソーシャルワーカーとしての役割や、文化・アイデンティティ・国籍の異なる学生への配慮など意識しながら解答するようにしましょう。

選択肢1. 同級生への話しかけ方の練習を提案する。

適切ではありません。

 

留学生Hさんのアセスメントが十分にとれていない段階ですし、また、キャンパスソーシャルワーカーは、学生の問題を「単に解決する」ことがその役割ではありません。

 

学生ともに課題を整理し、必要なサポートを考えながら、学生自身の対処能力の向上を促す存在です。

選択肢2. 授業について行けるかが心配なので一緒に考えましょうと伝える。

適切ではありません。

 

授業について行けるかが心配」と課題の一つのみに焦点化している点が不適切であると考えます。

選択肢3. 留学生に慣れた家主や近隣の人々がいる物件を探して転居することを勧める。

適切ではありません。

 

留学生Hさんのアセスメントが十分にとれていない段階です。

 

転居を薦めるには時期尚早だと考えます。

選択肢4. うつ気味であることを心配し、精神科クリニックへの受診を促す。

適切ではありません。

 

留学生Hさんのアセスメントが十分にとれていない段階です。

 

また、事例からはHさんの不安や苦悩は推察されるものの、強い精神症状を示す記述はありません。

 

精神科クリニックの受診を促すのは時期尚早だと考えます。

選択肢5. ゆっくり話を聞きつつ、Hさんとともに状況の整理を行う。

適切です。

 

Hさんの心情に十分配慮しながら、アセスメントをとる必要があると考えます。

 

また、キャンパスソーシャルワーカーは、学生の問題を「単に解決する」ことがその役割ではありません。

 

学生とともに課題を整理し、必要なサポートを考えながら、学生自身の対処能力の向上を促す存在であるという点からの適切な選択肢と考えます。

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