精神保健福祉士 過去問
第27回(令和6年度)
問131 (精神保健福祉制度論 問5)

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問題

精神保健福祉士試験 第27回(令和6年度) 問131(精神保健福祉制度論 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、(※2)の時にE精神保健福祉士が担っている役割として、正しいものを1つ選びなさい。

〔事例〕
Aさん(40歳、男性)はB県C市に在住し、5年前に父親の会社を継ぎ、Aさんを含む社員5名で製造業を営んでいた。Aさんは独身できょうだいはおらず、両親は既に亡くなっていて交流のある親戚もいない。Aさんは真面目な性格で朝から晩まで仕事をするも、不況のあおりを受けて近年は赤字続きで、自分のせいで会社が潰れてしまうと悩んでいた。最近では食事量が減って、見るからにやつれたAさんの状況を見て社員はとても心配していた。さらに「死んでしまいたい」という発言も多くみられるようになり、社員は精神科受診を勧めた。Aさんは当初受診を拒否していたが、社員らに連れられて渋々D精神科病院を受診した。精神保健指定医である医師は入院治療の必要性を認めたが、Aさんは頑なに入院を拒否した。身寄りもないことからC市長同意による入院の手続が行われた。(※1)
「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士はAさんに自己紹介をして、今後のことなどについて丁寧な説明を行った。(※2)
その後もE精神保健福祉士はAさんとの面談を定期的に行うなど支援を継続した。Aさんの経過は良好で3か月後には症状は安定していた。主治医からも退院可能であると判断がなされたため、E精神保健福祉士はAさんの退院支援委員会開催の準備を行った。落ち着いてきたAさんは「会社の経営が厳しいので、医療費の負担を少しでも軽くしたい」と面談の中で話した。そこでE精神保健福祉士は、Aさんの退院後の精神科の通院医療費の負担軽減のために、「障害者総合支援法」に規定されているサービス利用を提案したところ、Aさんも是非利用したいと述べた。(※3)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
  • 精神保健福祉相談員
  • 退院支援相談員
  • 相談支援員
  • 退院後生活環境相談員
  • 生活支援員

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この過去問の解説 (2件)

01

事例を整理しながら各選択肢を検討していきましょう。

 

・Aさん 40歳 男性 社員5人の製造業の社長 独身 交流のある親戚なし

・真面目な性格

・仕事の不安やストレスからやつれ、「死んでしまいたい」などの言葉を口にする

・社員のすすめもあり精神科受診(当初は受診を拒否)

・指定医は入院の必要性を認める、Aさん自身はかたくなに拒否

・C市長の同意による入院

「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士と面接

選択肢1. 精神保健福祉相談員

正しくありません。

 

精神保健福祉相談員は、精神保健福祉法に規定はされていますが、保健所に配置される相談員です。

 

病院に勤務するE精神保健福祉士の役割ではありません。

選択肢2. 退院支援相談員

正しくありません。

 

「退院支援相談員」との名称は

「精神保健福祉法」にもとづくものではありません。

 

選択肢3. 相談支援員

正しくありません。

 

「退院支援相談員」との名称は

「精神保健福祉法」にもとづくものではありません。

 

選択肢4. 退院後生活環境相談員

正しいです。

 

精神保健福祉法33条の4に規定されています。

 

選択肢5. 生活支援員

正しくありません。

 

「生活支援員」との名称は

「精神保健福祉法」にもとづくものではありません。

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02

Aさんは、C市長同意による医療保護入院という形でD精神科病院に入院しました。

そのAさんに対して、「精神保健福祉法に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士がAさんに自己紹介をして、今後のことなどについて丁寧な説明を行った」と記述されています。

この状況から、E精神保健福祉士が病院内で担う特定の専門的役割を割り出すこととなります。

選択肢1. 精神保健福祉相談員

精神保健福祉相談員は、主に精神保健福祉センターや保健所などに配置され、精神保健福祉に関する専門相談業務を行います。

病院の管理者から選任される病院内の役割とは異なります。

選択肢2. 退院支援相談員

退院支援相談員は、退院に向けた相談支援業務を行う精神保健福祉士のほか、保健師や看護師が担います。

精神療養病棟へ入院となった入院患者1人につき1人以上指定し、当該保険医療機関内に配置することとされています。

ただし、医療保護入院となった患者に対しては、「退院後生活環境相談員」が選任されることとなっているため、設問の回答としては不適切です。

選択肢3. 相談支援員

相談支援員は、障害のある人が地域社会で暮らしていく中での困りごとや悩みの相談に応じ、必要な福祉サービスや支援につなぐ役割を担います。

病院内で入院患者の支援のために管理者から選任されるものではないため、不適切です。

選択肢4. 退院後生活環境相談員

精神保健福祉法に基づいて医療保護入院となった患者には、退院後生活環境相談員が選任されます。

入院後から入院に至った背景を知り、退院後の生活を見据えた相談支援が行われ、医療保護入院から7日以内の選任が義務付けられています。

医療保護入院のAさんに合致する選択肢であるため、これが正答となります。

選択肢5. 生活支援員

生活支援員は、主に障害者支援施設やグループホームなどで、利用者の日常生活の支援を行う職員を指します。

病院内で「今後のことなどについて説明」するE精神保健福祉士の専門的な役割とは異なるため、不適切です。

まとめ

精神保健福祉法に基づいて、精神科病院の管理者から選任され、医療保護入院中の精神障害者の退院後の生活環境に関する相談・助言を行う専門職の役割は、退院後生活環境相談員です。

Aさんが医療保護入院中であるとの条件にもあてはまるため、E精神保健福祉士はAさんの退院後の生活を見据えた支援を今後行うこととなります。

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