精神保健福祉士 過去問
第27回(令和6年度)
問132 (精神保健福祉制度論 問6)
問題文
〔事例〕
Aさん(40歳、男性)はB県C市に在住し、5年前に父親の会社を継ぎ、Aさんを含む社員5名で製造業を営んでいた。Aさんは独身できょうだいはおらず、両親は既に亡くなっていて交流のある親戚もいない。Aさんは真面目な性格で朝から晩まで仕事をするも、不況のあおりを受けて近年は赤字続きで、自分のせいで会社が潰れてしまうと悩んでいた。最近では食事量が減って、見るからにやつれたAさんの状況を見て社員はとても心配していた。さらに「死んでしまいたい」という発言も多くみられるようになり、社員は精神科受診を勧めた。Aさんは当初受診を拒否していたが、社員らに連れられて渋々D精神科病院を受診した。精神保健指定医である医師は入院治療の必要性を認めたが、Aさんは頑なに入院を拒否した。身寄りもないことからC市長同意による入院の手続が行われた。(※1)
「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士はAさんに自己紹介をして、今後のことなどについて丁寧な説明を行った。(※2)
その後もE精神保健福祉士はAさんとの面談を定期的に行うなど支援を継続した。Aさんの経過は良好で3か月後には症状は安定していた。主治医からも退院可能であると判断がなされたため、E精神保健福祉士はAさんの退院支援委員会開催の準備を行った。落ち着いてきたAさんは「会社の経営が厳しいので、医療費の負担を少しでも軽くしたい」と面談の中で話した。そこでE精神保健福祉士は、Aさんの退院後の精神科の通院医療費の負担軽減のために、「障害者総合支援法」に規定されているサービス利用を提案したところ、Aさんも是非利用したいと述べた。(※3)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
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問題
精神保健福祉士試験 第27回(令和6年度) 問132(精神保健福祉制度論 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
〔事例〕
Aさん(40歳、男性)はB県C市に在住し、5年前に父親の会社を継ぎ、Aさんを含む社員5名で製造業を営んでいた。Aさんは独身できょうだいはおらず、両親は既に亡くなっていて交流のある親戚もいない。Aさんは真面目な性格で朝から晩まで仕事をするも、不況のあおりを受けて近年は赤字続きで、自分のせいで会社が潰れてしまうと悩んでいた。最近では食事量が減って、見るからにやつれたAさんの状況を見て社員はとても心配していた。さらに「死んでしまいたい」という発言も多くみられるようになり、社員は精神科受診を勧めた。Aさんは当初受診を拒否していたが、社員らに連れられて渋々D精神科病院を受診した。精神保健指定医である医師は入院治療の必要性を認めたが、Aさんは頑なに入院を拒否した。身寄りもないことからC市長同意による入院の手続が行われた。(※1)
「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士はAさんに自己紹介をして、今後のことなどについて丁寧な説明を行った。(※2)
その後もE精神保健福祉士はAさんとの面談を定期的に行うなど支援を継続した。Aさんの経過は良好で3か月後には症状は安定していた。主治医からも退院可能であると判断がなされたため、E精神保健福祉士はAさんの退院支援委員会開催の準備を行った。落ち着いてきたAさんは「会社の経営が厳しいので、医療費の負担を少しでも軽くしたい」と面談の中で話した。そこでE精神保健福祉士は、Aさんの退院後の精神科の通院医療費の負担軽減のために、「障害者総合支援法」に規定されているサービス利用を提案したところ、Aさんも是非利用したいと述べた。(※3)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
- 障害支援区分の認定を必要とする。
- 申請窓口は市町村である。
- 入院医療費も適用の対象となる。
- 利用は6か月が限度である。
- 所得にかかわらず、自己負担額は同じである。
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この過去問の解説 (2件)
01
病状の安定したAさんの「医療費の負担を少しでも軽くしたい」という要望に対し、E精神保健福祉士が提案したのは、「障害者総合支援法」に規定があり退院後の精神科通院医療費の負担軽減サービスである自立支援医療(精神通院医療)が該当すると考えられます。
選択肢から、これに関する適切な説明を選びます。
✕
自立支援医療の対象者は、一定以上の症状を有する精神疾患の治療のために医療機関に通院している人です。
医師の診断書による審査が必要ですが、障害支援区分の認定は必要ありません。
◯
選択肢の通り。
自立支援医療の申請窓口は住んでいる市町村の障害福祉担当窓口です。
✕
自立支援医療は精神科の通院医療費に限定して医療費の自己負担を軽減する制度です。
✕
有効期間は6か月ではなく1年以内となっており、毎年の更新が必要です。
✕
自立支援医療の自己負担額は、原則1割負担ですが、世帯の所得に応じて月ごとの自己負担上限額が設定されています。
所得が高い世帯ほど自己負担上限額も高くなり、所得が低い世帯や一定以上の医療費負担がある世帯には、さらに軽減措置が設けられています。
所得によって自己負担額が変わる仕組みであるため、不適切です。
Aさんが精神科通院医療費の負担軽減のために利用を提案されたサービスは自立支援医療(精神通院医療)であり、申請窓口が市町村であることが正しい選択肢になります。
経済の困窮から、医療費の支払いを負担に感じる障害者は少なくないため、生活保護制度や自立支援医療制度、高額療養費制度などの医療費負担を軽減させる制度の理解は精神保健福祉士に必須です。
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02
事例を整理しながら各選択肢を検討していきましょう。
・Aさん 40歳 男性 社員5人の製造業の社長 独身 交流のある親戚なし
・真面目な性格
・仕事の不安やストレスからやつれ、「死んでしまいたい」などの言葉を口にする
・社員のすすめもあり精神科受診(当初は受診を拒否)
・指定医は入院の必要性を認める、Aさん自身はかたくなに拒否
・C市長の同意による入院
・「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士と面接
・入院後3か月で症状は安定
・E精神保健福祉士との面談の中で退院後の医療費の負担軽減について相談
・E精神保健福祉士は「障害者総合支援法」に規定されているサービス利用を提案
などの記述から
E精神保健福祉士が利用を勧めたのは、自立支援医療の制度であることがわかります。
正しくありません。
自立支援医療の利用には、障害支援区分の認定を必要としません。
正しいです。
障害者総合支援法52条に規定されています。
正しくありません。
自立支援医療費は、入院医療費が適用対象となっていません。
正しくありません。
有効期間は、原則として1年で、1年ごとの更新が必要になります。
正しくありません。
自己負担額は、原則として1割ですが、所得等に応じ1か月あたりの上限額が定められています。
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