精神保健福祉士 過去問
第27回(令和6年度)
問130 (精神保健福祉制度論 問4)
問題文
次の事例を読んで、(※1)の入院形態として、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(40歳、男性)はB県C市に在住し、5年前に父親の会社を継ぎ、Aさんを含む社員5名で製造業を営んでいた。Aさんは独身できょうだいはおらず、両親は既に亡くなっていて交流のある親戚もいない。Aさんは真面目な性格で朝から晩まで仕事をするも、不況のあおりを受けて近年は赤字続きで、自分のせいで会社が潰れてしまうと悩んでいた。最近では食事量が減って、見るからにやつれたAさんの状況を見て社員はとても心配していた。さらに「死んでしまいたい」という発言も多くみられるようになり、社員は精神科受診を勧めた。Aさんは当初受診を拒否していたが、社員らに連れられて渋々D精神科病院を受診した。精神保健指定医である医師は入院治療の必要性を認めたが、Aさんは頑なに入院を拒否した。身寄りもないことからC市長同意による入院の手続が行われた。(※1)
「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士はAさんに自己紹介をして、今後のことなどについて丁寧な説明を行った。(※2)
その後もE精神保健福祉士はAさんとの面談を定期的に行うなど支援を継続した。Aさんの経過は良好で3か月後には症状は安定していた。主治医からも退院可能であると判断がなされたため、E精神保健福祉士はAさんの退院支援委員会開催の準備を行った。落ち着いてきたAさんは「会社の経営が厳しいので、医療費の負担を少しでも軽くしたい」と面談の中で話した。そこでE精神保健福祉士は、Aさんの退院後の精神科の通院医療費の負担軽減のために、「障害者総合支援法」に規定されているサービス利用を提案したところ、Aさんも是非利用したいと述べた。(※3)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
〔事例〕
Aさん(40歳、男性)はB県C市に在住し、5年前に父親の会社を継ぎ、Aさんを含む社員5名で製造業を営んでいた。Aさんは独身できょうだいはおらず、両親は既に亡くなっていて交流のある親戚もいない。Aさんは真面目な性格で朝から晩まで仕事をするも、不況のあおりを受けて近年は赤字続きで、自分のせいで会社が潰れてしまうと悩んでいた。最近では食事量が減って、見るからにやつれたAさんの状況を見て社員はとても心配していた。さらに「死んでしまいたい」という発言も多くみられるようになり、社員は精神科受診を勧めた。Aさんは当初受診を拒否していたが、社員らに連れられて渋々D精神科病院を受診した。精神保健指定医である医師は入院治療の必要性を認めたが、Aさんは頑なに入院を拒否した。身寄りもないことからC市長同意による入院の手続が行われた。(※1)
「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士はAさんに自己紹介をして、今後のことなどについて丁寧な説明を行った。(※2)
その後もE精神保健福祉士はAさんとの面談を定期的に行うなど支援を継続した。Aさんの経過は良好で3か月後には症状は安定していた。主治医からも退院可能であると判断がなされたため、E精神保健福祉士はAさんの退院支援委員会開催の準備を行った。落ち着いてきたAさんは「会社の経営が厳しいので、医療費の負担を少しでも軽くしたい」と面談の中で話した。そこでE精神保健福祉士は、Aさんの退院後の精神科の通院医療費の負担軽減のために、「障害者総合支援法」に規定されているサービス利用を提案したところ、Aさんも是非利用したいと述べた。(※3)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
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問題
精神保健福祉士試験 第27回(令和6年度) 問130(精神保健福祉制度論 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、(※1)の入院形態として、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(40歳、男性)はB県C市に在住し、5年前に父親の会社を継ぎ、Aさんを含む社員5名で製造業を営んでいた。Aさんは独身できょうだいはおらず、両親は既に亡くなっていて交流のある親戚もいない。Aさんは真面目な性格で朝から晩まで仕事をするも、不況のあおりを受けて近年は赤字続きで、自分のせいで会社が潰れてしまうと悩んでいた。最近では食事量が減って、見るからにやつれたAさんの状況を見て社員はとても心配していた。さらに「死んでしまいたい」という発言も多くみられるようになり、社員は精神科受診を勧めた。Aさんは当初受診を拒否していたが、社員らに連れられて渋々D精神科病院を受診した。精神保健指定医である医師は入院治療の必要性を認めたが、Aさんは頑なに入院を拒否した。身寄りもないことからC市長同意による入院の手続が行われた。(※1)
「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士はAさんに自己紹介をして、今後のことなどについて丁寧な説明を行った。(※2)
その後もE精神保健福祉士はAさんとの面談を定期的に行うなど支援を継続した。Aさんの経過は良好で3か月後には症状は安定していた。主治医からも退院可能であると判断がなされたため、E精神保健福祉士はAさんの退院支援委員会開催の準備を行った。落ち着いてきたAさんは「会社の経営が厳しいので、医療費の負担を少しでも軽くしたい」と面談の中で話した。そこでE精神保健福祉士は、Aさんの退院後の精神科の通院医療費の負担軽減のために、「障害者総合支援法」に規定されているサービス利用を提案したところ、Aさんも是非利用したいと述べた。(※3)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
〔事例〕
Aさん(40歳、男性)はB県C市に在住し、5年前に父親の会社を継ぎ、Aさんを含む社員5名で製造業を営んでいた。Aさんは独身できょうだいはおらず、両親は既に亡くなっていて交流のある親戚もいない。Aさんは真面目な性格で朝から晩まで仕事をするも、不況のあおりを受けて近年は赤字続きで、自分のせいで会社が潰れてしまうと悩んでいた。最近では食事量が減って、見るからにやつれたAさんの状況を見て社員はとても心配していた。さらに「死んでしまいたい」という発言も多くみられるようになり、社員は精神科受診を勧めた。Aさんは当初受診を拒否していたが、社員らに連れられて渋々D精神科病院を受診した。精神保健指定医である医師は入院治療の必要性を認めたが、Aさんは頑なに入院を拒否した。身寄りもないことからC市長同意による入院の手続が行われた。(※1)
「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士はAさんに自己紹介をして、今後のことなどについて丁寧な説明を行った。(※2)
その後もE精神保健福祉士はAさんとの面談を定期的に行うなど支援を継続した。Aさんの経過は良好で3か月後には症状は安定していた。主治医からも退院可能であると判断がなされたため、E精神保健福祉士はAさんの退院支援委員会開催の準備を行った。落ち着いてきたAさんは「会社の経営が厳しいので、医療費の負担を少しでも軽くしたい」と面談の中で話した。そこでE精神保健福祉士は、Aさんの退院後の精神科の通院医療費の負担軽減のために、「障害者総合支援法」に規定されているサービス利用を提案したところ、Aさんも是非利用したいと述べた。(※3)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
- 任意入院
- 医療保護入院
- 緊急措置入院
- 措置入院
- 応急入院
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この過去問の解説 (2件)
01
事例を整理しながら各選択肢を検討していきましょう。
・Aさん 40歳 男性 社員5人の製造業の社長 独身 交流のある親戚なし
・真面目な性格
・仕事の不安やストレスからやつれ、「死んでしまいたい」などの言葉を口にする
・社員のすすめもあり精神科受診(当初は受診を拒否)
・指定医は入院の必要性を認める、Aさん自身はかたくなに拒否
・C市長の同意による入院
正しくありません。
「本人はかたくなに入院を拒否」しているので、任意入院には該当しません。
正しいです。
医療保護入院では、原則として家族等の同意を必要としますが、
・家族等がない場合
・家族等の全員がその意思を表示することができない場合
において、その者の居住地を管轄する市町村長の同意があるとき
に本人の同意がなくても入院させることができます(精神保健福祉法33条)。
正しくありません。
事例中に「自傷他害のおそれがある」などの記述が見当たりません(精神保健福祉29条の2)。
正しくありません。
事例中に「自傷他害のおそれがある」などの記述が見当たりません(精神保健福祉29条)。
正しくありません。
事例中には、家族等の同意がない場合における市町村長の同意があるので、応急入院には該当しません(精神保健福祉法33条の7)。
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02
Aさんは入院を拒否していますが、「死んでしまいたい」といった発言があり、見るからにやつれているという状態であるため、このまま放置することは危険と考えられます。
精神保健指定医は入院治療の必要を認め、かつAさんには身寄りがないために、精神保健福祉法に基づいて市町村長の同意による入院が行われました。
この場合の入院の形態を選択肢から選ぶことになります。
✕
任意入院は、本人の同意に基づいた入院です。
Aさんは「頑なに入院を拒否した」とあるため、任意入院ではありません。
◯
精神保健福祉法において、精神障害のために医療が必要であり、かつ本人の同意が得られない場合は、保護者(親権者、配偶者、扶養義務者など)の同意または市町村長の同意によって入院が行われます。
これは医療保護入院と呼ばれ、事例でのAさんも、身寄りがなく(保護者がいなく)、入院を拒否しているものの、精神保健指定医が入院の必要性を認めているため、C市長の同意による入院が行われました。
✕
緊急措置入院は、精神障害のために自傷他害のおそれがあると認められる場合で、急速を要し、措置入院の要件を満たすが手続きに時間を要する場合に、72時間に限って精神保健指定医1名の判断で行われる入院です。
診察が1名のみの場合や、自傷他害のおそれが明確でない場合は適用されません。
事例では「死んでしまいたい」という発言はありますが、これが直ちに「自傷他害のおそれ」が緊急を要するレベルであると断定できる記述がなく、また、市長同意という点でも異なります。
✕
措置入院は、精神障害のために自傷他害のおそれがあると認められる場合に、精神保健指定医2名以上の診察に基づき、都道府県知事が命じる強制入院です。
事例では「死んでしまいたい」という発言はありますが、直ちに「自傷他害のおそれ」が措置入院のレベルと断定できる記述がなく、また、市長同意という点で違うと判断できます。
✕
応急入院とは、精神障害のために直ちに医療および保護が必要で、かつ本人の同意が得られず、保護者の同意も得られない(または保護者がいない)場合に、精神保健指定医1名の診察を経て72時間に限り応急入院指定病院への入院を行うことを指します。
Aさんのケースは保護者がおらず同意が得られないという点で類似していますが、「市長同意による入院」と明記されているため、応急入院とは異なります。
Aさんの入院形態は、本人の同意が得られない状況で、身寄りがなく市町村長の同意を得て行われたため、医療保護入院が適切です。
これは、精神保健福祉法における強制入院の一種であり、本人の権利と治療の必要性のバランスを考慮した制度です。
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