社会福祉士の過去問
第32回(令和元年度)
現代社会と福祉 問26
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問題
社会福祉士試験 第32回(令和元年度) 現代社会と福祉 問26 (訂正依頼・報告はこちら)
1973年(昭和48年)の「福祉元年」に実施した福祉政策に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 年金の給付水準を調整するために物価スライド制を導入した。
- 標準報酬の再評価を行い、厚生年金では「9万円年金」を実現した。
- 被用者保険における家族療養費制度を導入した。
- 老人医療費支給制度を実施して、60歳以上の医療費を無料にした。
- 老人家庭奉仕員派遣事業が法制化された。
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この過去問の解説 (4件)
01
福祉元年は、好景気を背景に田中内閣が社会保障の充実化を図った年です。
この年には年金給付水準の引き上げや、物価や賃金により年金の給付金額が変動する物価スライド制・賃金スライド制の導入、医療費負担額の改定などが行なわれました。
その他の選択肢の解説は以下のとおりです。
2→9万円年金が実現したのは、1976年のことです。
3→家族療養費は、1942年の時点で法定化されています。
4→福祉元年には、70歳以上あるいは65歳以上の寝たきりの方を対象に医療費が無料化されました。
5→ホームヘルプサービスの前身とも言える、老人家庭奉仕員派遣事業。
1962年より国庫補助の対象となり、翌年老人福祉法の制定とともに規定されました。
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02
1973年は高度経済成長のピークやオイルショックといった社会背景があった年です。
年金給付水準の物価スライド制とは、年金給付金額の水準を物価に応じて変動させていくというものです。
その他の選択肢については、以下の通りです。
2.標準報酬の再評価により、年金の金額は9万円ではなく、「5万円」に引き上げられました。
3.家族療養費制度ではなく、「高額療養費支給制度」が導入されました。
4.60歳以上ではなく、正しくは「70歳以上及び65歳以上の寝たきり老人」の医療費が無償化されました。
ちなみにこの後不景気となったことや、老人医療費が増大したこと、病院のサロン化など多くの課題が多発し、1982年制定の「老人保健法」により老人医療費の無償化は廃止されました。
5.老人家庭奉仕員派遣事業(ホームヘルパー)が法制化されたのは、1963年です。
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03
「福祉元年」といわれる1973年(昭和48年)は、老人福祉法改正(老人医療費無料化)、健康保険法改正(家族7割給付、高額療養費)、年金制度改正(給付水準引上げ、物価・賃金スライドの導入)の政策が行われました。
1.正答
福祉元年の公的年金制度は、給付水準の改善が図られ、物価の変動に合わせて年金額を改定する物価スライド制が導入されています。
2.誤答
厚生年金では、標準報酬の再評価を行ったことで「5万円年金」が実現されています。
3.誤答
医療保険制度では、老人医療費無料制度の創設(70歳以上の高齢者の自己負担無料化)健康保険の被扶養者給付率の引き上げ(5割から7割へ)や高額療養費制度などが導入されました。
4.誤答
前述したとおり、老人医療費支給制度は、1972(昭和47)年の老人福祉法の一部改正にをうけ、「70歳以上及び寝たきり老人」の高齢者の医療費を無料にしました。
5.誤答
老人家庭奉仕派遣事業(現在の訪問介護事業)が法制化されたのは、1963年(昭和38年)の老人福祉法です。
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04
「物価が上昇」していた背景があった事をおさえておきましょう。
1○ 正しいです。
当時、年金額の見直しは5年に1度行われていました。
しかし、高度経済成長による急激な物価上昇により、
年金支給額も上がらなければ受給者は生活苦になるため、
5年に1度の改定では間に合わなくなっていきました。
ですので、前年度の消費者物価指数の変動に応じて、年金額を調整する
「物価スライド」を導入することになりました。
2× 9万円ではなく、正しくは「5万円」です。
3× 家族療養費制度ではなく、正しくは「高額療養費制度」です。
4× 60歳以上ではなく、正しくは「70歳以上」です。
5× 老人家庭奉仕員派遣事業が法制化されたのは
老人福祉法の制定があった「1963年」です。
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