社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
現代社会と福祉 問5

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 現代社会と福祉 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

福祉六法の制定時点の対象に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 児童福祉法(1947年(昭和22年))は、戦災によって保護者等を失った満18歳未満の者(戦災孤児)にその対象を限定していた。
  • 身体障害者福祉法(1949年(昭和24年))は、障害の種別を問わず全ての障害者を対象とし、その福祉の施策の基本となる事項を規定する法律と位置づけられていた。
  • (新)生活保護法(1950年(昭和25年))は、素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していた。
  • 老人福祉法(1963年(昭和38年))は、介護を必要とする老人にその対象を限定していた。
  • 母子福祉法(1964年(昭和39年))は、妻と離死別した夫が児童を扶養している家庭(父子家庭)を、その対象外としていた。

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この過去問の解説 (6件)

01

福祉六法は、児童福祉法、身体障害者福祉法、生活保護法、知的障害者者福祉法、老人福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法の6つです、それぞれの法律制定時の時代背景を理解しながら法律の理念を記憶しましょう。

選択肢1. 児童福祉法(1947年(昭和22年))は、戦災によって保護者等を失った満18歳未満の者(戦災孤児)にその対象を限定していた。

我が国は対象を全児童の福祉向上を理念として児童福祉法を成立させました。

選択肢2. 身体障害者福祉法(1949年(昭和24年))は、障害の種別を問わず全ての障害者を対象とし、その福祉の施策の基本となる事項を規定する法律と位置づけられていた。

身体障害者福祉法は、身体障害者を対象として制定しました。障害の種別を問わずすべての障害者を対象として、その福祉の施策の基本となる法律は障害者基本法です。

選択肢3. (新)生活保護法(1950年(昭和25年))は、素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していた。

素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していたのは、旧生活保護法です。新生活保護法は、日本国憲法第 25 条の生存権を保障するため、無差別平等に基づいています。

選択肢4. 老人福祉法(1963年(昭和38年))は、介護を必要とする老人にその対象を限定していた。

老人福祉法が対象とするのは、すべての高齢者です。法では年齢の定義はありません。

選択肢5. 母子福祉法(1964年(昭和39年))は、妻と離死別した夫が児童を扶養している家庭(父子家庭)を、その対象外としていた。

1964(昭和 39)年に成立した母子福祉法は、1980 年代に寡婦が加わり、さらに2000 年代に父子が加わりました

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02

本設問で登場する福祉六法については、頻出問題と言えます。それぞれ何度か改正もされているため、改正内容やその改正が行われた背景なども併せて覚えておくと良いです。

選択肢1. 児童福祉法(1947年(昭和22年))は、戦災によって保護者等を失った満18歳未満の者(戦災孤児)にその対象を限定していた。

✕ 第二次世界大戦の終戦後、戦災によって保護者等を失った戦災孤児は増えましたが、児童福祉法の対象者として戦災孤児のみを限定していたわけではありません。児童福祉法の対象となるのは児童全体です。

選択肢2. 身体障害者福祉法(1949年(昭和24年))は、障害の種別を問わず全ての障害者を対象とし、その福祉の施策の基本となる事項を規定する法律と位置づけられていた。

✕ 身体障害者福祉法においては、知的障害や精神障害などを持つ人は対象から外れています。

選択肢3. (新)生活保護法(1950年(昭和25年))は、素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していた。

✕ 素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していたのは「旧生活保護法」です。その他にも欠格条項として「能力があるにも関わらず勤労の意思がない者」や「生計の維持に努めない者」などが挙げられています。

選択肢4. 老人福祉法(1963年(昭和38年))は、介護を必要とする老人にその対象を限定していた。

✕ 老人福祉法の対象となる人は、高齢者全員です。

選択肢5. 母子福祉法(1964年(昭和39年))は、妻と離死別した夫が児童を扶養している家庭(父子家庭)を、その対象外としていた。

〇 母子福祉法は制定当初、対象から父子家庭を除外していました。平成26年に母子及び父子並びに寡婦福祉法と名称が改正され、父子家庭も対象とされる事になりました。

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03

日本における社会福祉の歴史の流れを理解することによって、知識を深めることができるため、日本の社会福祉がどのように発展してきたかを簡単に把握しましょう。

選択肢1. 児童福祉法(1947年(昭和22年))は、戦災によって保護者等を失った満18歳未満の者(戦災孤児)にその対象を限定していた。

解答:

児童福祉法は、戦争孤児のみならず、すべての18歳未満の者を対象としました。

選択肢2. 身体障害者福祉法(1949年(昭和24年))は、障害の種別を問わず全ての障害者を対象とし、その福祉の施策の基本となる事項を規定する法律と位置づけられていた。

解答:

身体障害者福祉法は、身体上の障害がある者を対象としています。

選択肢3. (新)生活保護法(1950年(昭和25年))は、素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していた。

解答:

(新)生活保護法では、無差別平等の原理に基づき、すべての国民は要件を満たす限り、受けることができます。

選択肢の説明は(旧)生活保護法です。

選択肢4. 老人福祉法(1963年(昭和38年))は、介護を必要とする老人にその対象を限定していた。

解答:

老人福祉法の対象は、すべての老人です。

 

選択肢5. 母子福祉法(1964年(昭和39年))は、妻と離死別した夫が児童を扶養している家庭(父子家庭)を、その対象外としていた。

解答:

母子福祉法の制定当初は、父子家庭を対象外としていました

2014年に母子および父子並びに寡婦福祉法となり、父子家庭も対象となりました。

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04

福祉に関する法律は多くありますが、福祉六法は非常に重要ですので、制定からその変遷をおさえておくようにしましょう。

選択肢1. 児童福祉法(1947年(昭和22年))は、戦災によって保護者等を失った満18歳未満の者(戦災孤児)にその対象を限定していた。

不適切です。「戦災によって保護者等を失った」と限定はしておらず、18歳未満の者が対象でした。

選択肢2. 身体障害者福祉法(1949年(昭和24年))は、障害の種別を問わず全ての障害者を対象とし、その福祉の施策の基本となる事項を規定する法律と位置づけられていた。

不適切です。「障害の種別を問わず全ての障害者を対象」としてはおらず、身体に障害がある者が対象でした。

選択肢3. (新)生活保護法(1950年(昭和25年))は、素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していた。

不適切です。記述内容のような欠格条項は1946年制定の「旧」生活保護法には存在していましたが、1950年の「新」生活保護法からはなくなりました。

選択肢4. 老人福祉法(1963年(昭和38年))は、介護を必要とする老人にその対象を限定していた。

不適切です。「介護を必要とする」と限定はしておらず、65歳以上の方が対象です。

選択肢5. 母子福祉法(1964年(昭和39年))は、妻と離死別した夫が児童を扶養している家庭(父子家庭)を、その対象外としていた。

適切です。1964年の時点では、父子家庭は対象外でした。

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05

福祉六法の制定時点における対象について、各選択肢を確認していきます。

選択肢1. 児童福祉法(1947年(昭和22年))は、戦災によって保護者等を失った満18歳未満の者(戦災孤児)にその対象を限定していた。

不正解です。

児童福祉法は、18歳未満の戦災孤児だけではなく、全ての児童を

対象としていました。

選択肢2. 身体障害者福祉法(1949年(昭和24年))は、障害の種別を問わず全ての障害者を対象とし、その福祉の施策の基本となる事項を規定する法律と位置づけられていた。

不正解です。

身体障害者福祉法は、身体上の障害がある者を対象としており精神障害等は対象外でした。

選択肢3. (新)生活保護法(1950年(昭和25年))は、素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していた。

不正解です。

素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していたのは旧生活保護法です。

選択肢4. 老人福祉法(1963年(昭和38年))は、介護を必要とする老人にその対象を限定していた。

不正解です。

老人福祉法は、全ての老人を対象としています。

選択肢5. 母子福祉法(1964年(昭和39年))は、妻と離死別した夫が児童を扶養している家庭(父子家庭)を、その対象外としていた。

正解です。

母子福祉法(1964年(昭和39年))は、妻と離死別した夫が児童を扶養している家庭(父子家庭)を、その対象外としていました。

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06

正答:⑤

福祉六法の設立目的について問われている問題です。選択に迷ったときは、設立当時の時代背景を思い浮かべながら消去法で臨むと正答が見えてくるでしょう。

選択肢1. 児童福祉法(1947年(昭和22年))は、戦災によって保護者等を失った満18歳未満の者(戦災孤児)にその対象を限定していた。

解答:✕

児童福祉法は、その名の通り全ての児童を対象とした法律です。

選択肢2. 身体障害者福祉法(1949年(昭和24年))は、障害の種別を問わず全ての障害者を対象とし、その福祉の施策の基本となる事項を規定する法律と位置づけられていた。

解答:✕

身体障害者福祉法は、その名の通り身体障がい者を対象とした法律です。

選択肢3. (新)生活保護法(1950年(昭和25年))は、素行不良な者等を保護の対象から除外する欠格条項を有していた。

解答:✕

(新)生活保護法は、日本国憲法第25条に基づきすべての国民の生存権を担保することを目的に作られた法律です。よって、欠格事由はありません。ただし、旧生活保護法には欠格事由が設けられていました。

選択肢4. 老人福祉法(1963年(昭和38年))は、介護を必要とする老人にその対象を限定していた。

解答:✕

老人福祉法は、その名の通りすべての老人を対象とした法律です。

選択肢5. 母子福祉法(1964年(昭和39年))は、妻と離死別した夫が児童を扶養している家庭(父子家庭)を、その対象外としていた。

解答:◯

設問のとおりです。現在では2014年に「母子及び父子並びに寡婦福祉法」へと改称されたことにもわかるように、父子家庭も対象となっています。

まとめ

福祉六法とは、「生活保護法」「児童福祉法」「身体障害者福祉法」「知的障害者福祉法」「老人福祉法」「母子および寡婦福祉法(母子福祉法)」を指しています。設立の背景や対象者をしっかり覚えておきましょう。

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