社会保険労務士の過去問
第45回(平成25年度)
社労士 | 社会保険労務士試験 択一式 問7
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問題
社労士試験 第45回(平成25年度) 択一式 問7 (訂正依頼・報告はこちら)
通勤災害及び業務災害の範囲に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 転任等のやむを得ない事情のために同居していた配偶者と別居して単身で生活する者や家庭生活の維持という観点から自宅を本人の生活の本拠地とみなし得る合理的な理由のある独身者にとっての家族の住む家屋については、当該家屋と就業の場所との間を往復する行為に反復・継続性が認められるときは住居と認めて差し支えないが、「反復・継続性」とは、おおむね2か月に1回以上の往復行為又は移動がある場合に認められる。
- 出張の機会を利用して当該出張期間内において、出張先に赴く前後に自宅に立ち寄る行為(自宅から次の目的地に赴く行為を含む。)については、当該立ち寄る行為が、出張経路を著しく逸脱していないと認められる限り、原則として、通常の出張の場合と同様、業務として取り扱われる。
- 通勤の途中において、歩行中にビルの建設現場から落下してきた物体により負傷した場合、通勤による災害と認めらない。
- 自殺の場合も、通勤の途中において行われたのであれば、通勤災害と認められる。
- 通勤の途中で怨恨をもってけんかをしかけて負傷した場合、通勤災害と認められる。
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この過去問の解説 (3件)
01
※厚生労働省からの通達(下記の「平成18年03月31日基労管発第331001号」等)で略語の意味は下記の通りです。
基発・・・労働基準局長名で発する通達
基労管発・・・労働基準局労災補償部労災管理課長名で発する通達
基労補発・・・労働基準局労災補償部労災補償課長名で発する通達
1.誤「2か月に1回以上」
正「1か月に1回以上」
平成18年03月31日基労管発第331001号・基労補発第331003号 において、おおむね毎月1回以上の往復行為又は移動がある場合に反復・継続性が認められるという基準を出していますね。
2.平成18年03月31日基労管発第331001号・基労補発第331003号 において、選択肢の通り認めておりますね。
3.誤「認められない」
正「認められる」
平成18年3月31日基発第331042号 により、選択肢のようなことは、通勤途中に通常考えられる危険性により発生した災害として、通勤による災害と認められていることに注意しましょう。
4・5.とも 誤「認められる」
正「認められない」
平成18年3月31日基発第331042号では、自殺やけんかは通勤途中に通常考えられる危険性により発生した災害とは認められないとされているので気をつけましょう。
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02
1は間違っています。
「おおむね2か月に1回」ではなく、「毎月1回以上」となっています。
平成17年の労働者災害補償保険法の改正(第7条2項)により、通勤経路が拡大されています。その解釈について、「「労働者災害補償保険法の一部を改正する法律等の施行について」別紙「通勤災害の範囲について」の改正に係る留意事項について」(平成18年3月31日、基労管発第0331001号・基労補発第0331003号)が以下のように通達しています。
「(1) 「反復・継続性」とは、おおむね毎月1回以上の往復行為又は移動がある場合に認められるものであること。
また、②(労災保険法第7条第2項第3号の場合)における「反復・継続性」の判断に当たっては、赴任先住居・帰省先住居間の移動とともに、赴任先住居・就業の場所間の移動を総合して判断するものであること。
(2) 「おおむね毎月1回以上」とは、原則として、被災日を含む月(1日から月末日までの暦月をいう。以下同じ。)以前3か月間について、毎月1回以上の往復行為又は移動を行っている場合をいうものとするが、特定の月について往復行為又は移動が行われなかった場合であっても、就労上の理由、交通事情、自然現象等の事情等が認められる場合には、当該特定の月を1回以上の往復行為又は移動が行われたものとして取り扱うこと。
また、赴任日を含む月から3か月に満たない期間内において家族の住む家屋と就業の場所又は赴任先住居と帰省先住居との間の移動の途上で被災した場合には、家庭環境その他の事情により、おおむね毎月1回以上の移動が行われると推測し得るか否かにより判断すること。」
2 正しい内容です。
前記1の通達でも,以下のように確認されています。
「出張の機会を利用して当該出張期間内において、出張先に赴く前後に自宅に立ち寄る行為(自宅から次の目的地に赴く行為を含む。)については、従来どおり、当該立ち寄る行為が、出張経路を著しく逸脱していないと認められる限り、原則として、通常の出張の場合と同様、業務として取り扱うこと。」
3 間違っています。
通勤災害の要件たる「通勤」について、通達(労働者災害補償保険法の一部改正の施行及び労働者災害補償保険法施行規則及び労働者災害補償保険特別支給金支給規則の一部を改正する省令の施行について(平成18年3月31日基発第0331042号)の(別紙)「通勤災害の範囲について」は以下のように例示しています。
「「通勤による」とは通勤と相当因果関係のあること、つまり、通勤に通常伴う危険が具体化したことをいう。
① 具体的には、通勤の途中において、自動車にひかれた場合、電車が急停車したため転倒して受傷した場合、駅の階段から転落した場合、歩行中にビルの建設現場から落下してきた物体により負傷した場合、転倒したタンクローリーから流れ出す有害物質により急性中毒にかかった場合等、一般に通勤中に発生した災害は通勤によるものと認められる。
② しかし、自殺の場合、その他被災者の故意によって生じた災害、通勤の途中で怨恨をもってけんかをしかけて負傷した場合などは、通勤をしていることが原因となって災害が発生したものではないので、通勤災害とは認められない。」
したがって、設問の事例は、通勤災害と認められます。
4、5 間違っています。
前記3の通達では、設問のような自殺やけんかの事例を、通勤災害と認められないとしています。
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03
1.誤り
「2か月に1回」ではなく「1か月に1回」が正しいです。
2.正しい
設問の場合は、業務の一部とみなされます。
3.誤り
設問の場合は「認められる」となります。合理的な通勤経路の途上に発生した事故で負傷した場合については、通勤災害に認定されます。
4.誤り
自殺は通勤途上については基本的には認められません。自殺という行為そのものが通勤の途上で起きる災害に関連性があるとは言えないためです。
5.誤り
喧嘩についても4と同様に、通勤の途上において発生する直接の原因とはいえないため、通勤災害には認められません。
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