社会保険労務士の過去問
第52回(令和2年度)
社会保険に関する一般常識 問10
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問題
社労士試験 第52回(令和2年度) 択一式 社会保険に関する一般常識 問10 (訂正依頼・報告はこちら)
社会保険制度の費用の負担及び保険料等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 介護保険の第1号被保険者である要介護被保険者が、介護保険料の納期限から1年が経過するまでの間に、当該保険料を納付しない場合は、特別の事情等があると認められる場合を除き、市町村は、被保険者に被保険者証の返還を求め、被保険者が被保険者証を返還したときは、被保険者資格証明書を交付する。
- 国民健康保険の保険給付を受けることができる世帯主であって、市町村から被保険者資格証明書の交付を受けている者が、国民健康保険料を滞納しており、当該保険料の納期限から1年6か月が経過するまでの間に当該保険料を納付しないことにより、当該保険給付の全部又は一部の支払いを一時差し止めされている。当該世帯主が、この場合においても、なお滞納している保険料を納付しないときは、市町村は、あらかじめ、当該世帯主に通知して、当該一時差し止めに係る保険給付の額から当該世帯主が滞納している保険料額を控除することができる。
- 船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用されている後期高齢者医療制度の被保険者である船員保険の被保険者に対する船員保険の保険料額は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ疾病保険料率と災害保健福祉保険料率とを合算した率を乗じて算定される。
- 単身世帯である後期高齢者医療制度の80歳の被保険者(昭和15年4月2日生まれ)は、対象となる市町村課税標準額が145万円以上であり、本来であれば、保険医療機関等で療養の給付を受けるごとに自己負担として3割相当を支払う一定以上の所得者に該当するところであるが、対象となる年間収入が380万円であったことから、この場合、被保険者による申請を要することなく、後期高齢者医療広域連合の職権により一定以上の所得者には該当せず、自己負担は1割相当となる。
- 10歳と11歳の子を監護し、かつ、この2人の子と生計を同じくしている父と母のそれぞれの所得は、児童手当法に規定する所得制限額を下回っているものの、父と母の所得を合算すると所得制限額を超えている。この場合の児童手当は、特例給付に該当し、月額1万円(10歳の子の分として月額5千円、11歳の子の分として月額5千円)が支給されることになる。
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この過去問の解説 (3件)
01
要介護(支援)認定を受けた第 1 号被保険者が、納期限から 1 年間介護保険料を納付しない場合は、省令などで定める公費負担医療を受けることができる者及び災害など政令で定める特別な事情がある場合を除き、現物給付から償還払いによる給付に切り替え、その旨を被保険者証に記載されることになります。
市町村が被保険者に被保険者証の返還を求めるわけではありません。
2.正
設問の通りです。
市町村から被保険者資格証明書の交付を受けている者が、保険給付の支払の一時差止を行っても、なお保険料を納付しない場合は、差し止めた保険給付から滞納している保険料を控除することができます。
3.誤
後期高齢者医療制度の被保険者である船員保険の被保険者には、災害保健福祉保険料率のみ適用され、疾病保険料率は保険料額に反映されません。
なお、後期高齢者医療制度の被保険者とは、下記のいずれかに該当する者です。
①日本国内に住所を有する75歳以上の方
②65歳以上75歳未満で一定の障害の状態にあることにつき後期高齢者医療広域連合の認定を受けた方
4.誤
設問の場合には、被保険者の申請によって自己負担が1割相当となります。「被保険者による申請を要することなく、後期高齢者医療広域連合の職権により一定以上の所得者には該当せず、」という部分が誤りです。
市町村課税標準額が145万円以上の場合には、原則、自己負担額は3割となりますが、年間収入が383万円未満の場合には、申請によって自己負担額が1割相当となる場合があります。
5.誤
児童手当の支給基準となる所得の判定は、請求者(受給者)のみの所得で判定します。
請求者(受給者)と配偶者との所得を合算して判定するものではありません。
よって、設問の場合には、特例給付には該当せず、通常の児童手当が支給されます。
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02
社会保険制度における費用負担・保険料については、なかなか全員が公平感を持てる規定にしづらい点がありますが、それでも「支払わない人が結局得をしてしまう」ことは回避するような規定が多々ある点については、理解しておくとよいでしょう。
誤った記述です。
本設問文の場合、被保険者証の返還を求めるのではなく、被保険者証に「支払方法変更の記載」を行うことになります。
支払方法の変更とはつまり、「自己負担○割」ではなくなり「全額自己負担」となると理解しておくとよいでしょう。
正しい記述です。
国民健康保険においては、本設問文のように給付と保険料を相殺するような処置がなされる場合がある点(そのような規定がある点)を、理解しておくとよいでしょう。
誤った記述です。
本設問文の場合、災害保健福祉保険料率(のみ)を乗じて算定されます。
後期高齢者医療制度の被保険者については、一般の被保険者と比較して、負担を軽くするねらいがあるものと理解しておくとよいでしょう。
誤った記述と判断します。
本設問文の場合、本稿執筆時点(令和5年4月時点)では、被保険者の自己負担は「2割相当」となります。
また自己負担の割合を判断する年間収入の金額自体は、今後とも変動がある可能性が高く、数値自体は都度確認することでよいと筆者は考えます。
誤った記述です。
本設問文の場合、特例給付には該当せず、月額2万円(10歳の子の分として月額1万円、11歳の子の分として月額1万円)が支給されます。
所得制限については、父・母それぞれの(1個人の)所得で判断され、父母の所得を合算した額で判断されることはない点を、理解しておくとよいでしょう。
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03
保険料の納期限から1年間が経過するまでの間に当該保険料を納付しない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認める場合を除き、当該要介護被保険者等に対し被保険者証の提出を求め、当該被保険者証に、「支払方法変更の記載」をするものとされています。
2.正
設問のとおりです。
なお、高齢者医療確保法においても同様の規定があります。
3.誤
後期高齢者医療の被保険者等である被保険者及び独立行政法人等職員被保険者」の一般保険料率は、「災害保健福祉保険料率」のみとされているため、後期高齢者医療制度の被保険者である船員保険の被保険者の保険料額は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ「災害保健福祉保険料率」を乗じて算定されます。
4.誤
設問の者が申請した場合に一部負担金の割合が1割となります。
5.誤
父と母の2人児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするときは、当該児童は、当該父と母のうちいずれか当該児童の生計を維持する程度の高い者によって監護され、かつ、これと生計を同じくするものとみなすので、父と母のそれぞれの所得が所得制限額を下回っているのであれば、「特例給付」ではなく「本来の児童手当」(設問の場合、月額2万円(10歳の子の分として月額1万円、11歳の子の分として月額1万円))が支給されます。
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