社会保険労務士の過去問
第52回(令和2年度)
厚生年金保険法 問3

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問題

社労士試験 第52回(令和2年度) 択一式 厚生年金保険法 問3 (訂正依頼・報告はこちら)

厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。

ア  厚生年金保険の保険料は、被保険者の資格を取得した月についてはその期間が1日でもあれば徴収されるが、資格を喪失した月については徴収されない。よって月末日で退職したときは退職した日が属する月の保険料は徴収されない。

イ  特定被保険者が死亡した日から起算して1か月以内に被扶養配偶者(当該死亡前に当該特定被保険者と3号分割標準報酬改定請求の事由である離婚又は婚姻の取消しその他厚生年金保険法施行令第3条の12の10に規定する厚生労働省令で定めるこれらに準ずるものをした被扶養配偶者に限る。)から3号分割標準報酬改定請求があったときは、当該特定被保険者が死亡した日に3号分割標準報酬改定請求があったものとみなす。

ウ  厚生労働大臣は、滞納処分等その他の処分に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情があるため、保険料その他厚生年金保険法の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。

エ  日本年金機構は、滞納処分等を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けるとともに、厚生年金保険法第100条の7第1項に規定する滞納処分等実施規程に従い、徴収職員に行わせなければならない。

オ  障害等級3級の障害厚生年金の受給権者の障害の状態が障害等級に該当しなくなったため、当該障害厚生年金の支給が停止され、その状態のまま3年が経過した。その後、65歳に達する日の前日までに当該障害厚生年金に係る傷病により障害等級3級に該当する程度の障害の状態になったとしても、当該障害厚生年金は支給されない。
  • A(アとイ)
  • B(アとオ)
  • C(イとウ)
  • D(ウとエ)
  • E(エとオ)

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この過去問の解説 (3件)

01

ア.誤
月末日で退職したときは、翌月の1日が資格喪失日となるため、退職日の属する月(すなわち資格喪失した月の前月)の保険料は徴収されます。

イ.誤
「死亡した日」ではなく、「死亡した日の前日」に3号分割標準報酬改定請求があったものとみなします。

ウ.正
設問のとおりです。
なお、厚生労働大臣から財務大臣への滞納処分等に係る権限の委任に関し、財務大臣にその権限を委任する場合の要件として、
①納付義務者が24か月以上の保険料等を滞納していること
②納付義務者が、滞納している保険料等の額が5千万円以上あること
等があります。

エ.正
設問のとおりです。
なお、日本年金機構は、滞納処分等をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、速やかに、その結果を厚生労働大臣に報告しなければなりません。

オ.誤
設問の場合には、障害厚生年金の支給停止が解除されます。

ウとエが正しいので「4」が正解となります。

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02

ア 翌日喪失となるため退職した日が属する月の保険料は徴収されるので誤りとなります。

 被保険者期間は、資格取得した日の属する月から喪失した日の属する月の前月まで参入されるため、本肢は1月分徴収されます。

イ 「死亡した日」ではなく、「死亡した日の前日」に3号分割標準報酬改定請求があったものとみなされますので誤りです。

 死亡したその日だと遅いので、死亡の日の前日に請求したものとされると覚えることができます。

ウ 設問の通り正しいです。

 なお、財務大臣は滞納処分等その他の処分の執行の状況及びその結果を厚生労働大臣に報告するものとされています。

エ 設問の通り正しいです。

 なお、「日本年金機構が滞納処分等を行う場合」「日本年金機構の理事長が徴収職員を任命する場合」「日本年金機構が滞納処分等実施規定を定める場合」にも厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。

オ 「65歳に達する日の前日までに当該障害厚生年金に係る傷病により障害等級3級に該当する程度の障害の状態になったとしても、当該障害厚生年金は支給されない」ではなく、65歳に達する日の前日までに当該障害厚生年金に係る傷病により障害等級3級に該当する程度の障害の状態になれば、支給停止解除され障害厚生年金は支給が再開される」ので誤りです。

 

以上より正しい選択肢はウとエなので、選択肢4・Dが正解です。

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03

正解:4

ア:「月末日で退職したときは退職した日が属する月の保険料は徴収されない」ではなく、「末末日で退職したとき、資格喪失日は翌月1日となるため、退職した日が属する月の保険料は徴収される」となります(厚生年金保険法第14条、第19条第1項)。

 もっとも、 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、例外的に月末退職でなくても、その月の保険料が徴収されます(ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金の第2号被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りではありません。)(同法第19条第2項)。 

イ:「死亡した日」ではなく、「死亡した日の前日」に3号分割標準報酬改定請求があったものとみなされます(厚生年金保険法施行令第3条の12の14第1項)。

ウ:設問の通りです(厚生年金保険法第100条の5第1項)。

 なお、設問の場合に、財務大臣が滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を行ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、滞納処分等その他の処分の執行の状況及びその結果を厚生労働大臣に報告するものとされています(同条第2項)。

エ:設問の通りです(厚生年金保険法第100条の6第1項)。

なお、設問の場合の徴収職員は、滞納処分等に係る法令に関する知識並びに実務に必要な知識及び能力を有する機構の職員のうちから、厚生労働大臣の認可を受けて、日本年金機構の理事長が任命し(同条第2項)、日本年金機構は、滞納処分等をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、速やかに、その結果を厚生労働大臣に報告するものとされています(同条第3項)。

オ:設問の場合、障害厚生年金の支給停止が解除されます(厚生年金保険法第54条第2項)。

 障害厚生年金が支給停止されるのは、あくまで「受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったとき、その障害の状態に該当しない間」です。また、一度、障害の状態が障害等級に該当しなくなったため支給停止となったが、新たな障害を負った場合には、過去の障害と新たな障害を併合した障害の程度が障害等級の「1級又は2級」に該当すれば再び支給されます(同項但し書)。

以上より正しい選択肢はウとエなので、Dが回答で、選択肢4が正解になります。

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