社会保険労務士の過去問
第52回(令和2年度)
厚生年金保険法 問10
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問題
社労士試験 第52回(令和2年度) 択一式 厚生年金保険法 問10 (訂正依頼・報告はこちら)
厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
ア 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したときは、死亡した者が遺族厚生年金の保険料納付要件を満たしていれば、死亡の当時、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。
イ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている60歳以上65歳未満の者であって、特別支給の老齢厚生年金の生年月日に係る要件を満たす者が、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に到達した日において第1号厚生年金被保険者期間が9か月しかなかったため特別支給の老齢厚生年金を受給することができなかった。この者が、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢到達後に第3号厚生年金被保険者の資格を取得し、当該第3号厚生年金被保険者期間が3か月になった場合は、特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。なお、この者は上記期間以外に被保険者期間はないものとする。
ウ 令和2年8月において、総報酬月額相当額が220,000円の64歳の被保険者が、特別支給の老齢厚生年金の受給権を有し、当該老齢厚生年金における基本月額が120,000円の場合、在職老齢年金の仕組みにより月60,000円の当該老齢厚生年金が支給停止される。
エ 障害厚生年金は、その傷病が治らなくても、初診日において被保険者であり、初診日から1年6か月を経過した日において障害等級に該当する程度の状態であって、保険料納付要件を満たしていれば支給対象となるが、障害手当金は、初診日において被保険者であり、保険料納付要件を満たしていたとしても、初診日から起算して5年を経過する日までの間に、その傷病が治っていなければ支給対象にならない。
オ 遺族厚生年金は、被保険者の死亡当時、当該被保険者によって生計維持されていた55歳以上の夫が受給権者になることはあるが、子がいない場合は夫が受給権者になることはない。
ア 被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したときは、死亡した者が遺族厚生年金の保険料納付要件を満たしていれば、死亡の当時、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。
イ 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている60歳以上65歳未満の者であって、特別支給の老齢厚生年金の生年月日に係る要件を満たす者が、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に到達した日において第1号厚生年金被保険者期間が9か月しかなかったため特別支給の老齢厚生年金を受給することができなかった。この者が、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢到達後に第3号厚生年金被保険者の資格を取得し、当該第3号厚生年金被保険者期間が3か月になった場合は、特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。なお、この者は上記期間以外に被保険者期間はないものとする。
ウ 令和2年8月において、総報酬月額相当額が220,000円の64歳の被保険者が、特別支給の老齢厚生年金の受給権を有し、当該老齢厚生年金における基本月額が120,000円の場合、在職老齢年金の仕組みにより月60,000円の当該老齢厚生年金が支給停止される。
エ 障害厚生年金は、その傷病が治らなくても、初診日において被保険者であり、初診日から1年6か月を経過した日において障害等級に該当する程度の状態であって、保険料納付要件を満たしていれば支給対象となるが、障害手当金は、初診日において被保険者であり、保険料納付要件を満たしていたとしても、初診日から起算して5年を経過する日までの間に、その傷病が治っていなければ支給対象にならない。
オ 遺族厚生年金は、被保険者の死亡当時、当該被保険者によって生計維持されていた55歳以上の夫が受給権者になることはあるが、子がいない場合は夫が受給権者になることはない。
- A(アとウ)
- B(アとエ)
- C(イとエ)
- D(イとオ)
- E(ウとオ)
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この過去問の解説 (4件)
01
ア:設問の通りです(厚生年金保険法第58条第1項第2号)。
また、①障害等級の1級又は2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、死亡したときや②老齢厚生年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)又は保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したときなどにも遺族厚生年金が支給されます(同項第3号、第4号)。
イ:設問の通りです(厚生年金保険法附則第8条)。
特別支給の老齢厚生年金の受給のためには、通常の受給要件に加えて、1年以上の被保険者期間を有することが必要となります。この要件さえ満たせばその時から特別支給の老齢厚生年金が受給できます。
ウ:「月60,000円の当該老齢厚生年金が支給停止される」ではなく「支給停止はされない」ことになります。
設問の場合、(220,000円十120,000円-470,000円)× 1/2=「-11万円」>0より、支給停止はされません。この「47万円」という金額は、令和4年度から改正された数字なので、特に注意が必要になります。
エ:設問の通りです(厚生年金保険法第55条)。
なお、年金たる保険給付の受給権者(最後に障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この条において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく三年を経過した障害厚生年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)を除く。)は障害手当金を受給することはできません(同法第56条第1号)。
オ:設問の場合、子の有無は遺族厚生年金支給の要件ではありません(第59条第1項第1号)
遺族厚生年金は、①妻、②55歳以上である夫、父母又は祖父母、③18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか、又は20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていない子又は孫が受給することができます。
以上より、誤っている選択肢はウとオです。
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02
ア.正
設問のとおりです。
なお、被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であった者を含む。)が死亡したときも、保険料納付要件が問われます。
イ.正
設問のとおりです。
特別支給の老齢厚生年金の資格要件である、被保険者期間が「1年」以上については、2以上の種別の被保険者期間を有する者については合算して判断します。
ウ.誤
設問の場合、(220,000円十120,000円-280,000円)× 1/2=「3万円」(月額)が支給停止されます。
エ.正
設問のとおりです。
障害厚生年金の支給に係る障害認定日は、初診日から起算して1年6か月以内であっても、その傷病が治ったときは、その傷病が治った日が障害認定日となり、傷病が治らないときは初診日から起算して1年6か月を経過した日が障害認定日となります。
オ.誤
55歳以上の夫が遺族厚生年金の受給権を得るにあたっては、子がいることが要件にはなっていません。
ウとオが誤っているので、「E(ウとオ)」が正解となります。
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03
ア.設問のとおり正しいです。
被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該初診日から起算して5年を経過する日前に死亡したときは、死亡した者が遺族厚生年金の保険料納付要件を満たしていれば、死亡の当時、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給されます。
イ.設問のとおり正しいです。
2以上の種別の被保険者期間を有する者については合算して一年以上被保険者期間があるかを判断します。
ウ.誤
出題当時は(220,000円十120,000円-280,000円)× 1/2=「3万円」(月額)が支給停止でした。
エ.設問のとおり正しいです。
障害厚生年金は、その傷病が治らなくても、初診日において被保険者であり、初診日から1年6か月を経過した日において障害等級に該当する程度の状態であって、保険料納付要件を満たしていれば支給対象となるが、障害手当金は、初診日において被保険者であり、保険料納付要件を満たしていたとしても、初診日から起算して5年を経過する日までの間に、その傷病が治っていなければ支給対象になりません。
オ.誤
夫は55歳以上で生計を維持していれば受給権者となります。
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04
厚生年金保険に関しては、企業等に勤務している被保険者の立場にいる人としては、実生活でも身近な部分があるので、当該身近な部分から知識を固めていくとともに、保険者側・事業主側の立場にかかる規定についても、経験と想像から知識を増やすようにしていくことで、机上での学習の他に理解を深められるようにするとよいでしょう。
ア.正しい記述です。
このまま理解しておきましょう。
簡単に言うと、初診日から起算して5年以内に当該傷病で死亡した場合に、いわゆる短期要件としての保険料納付要件を満たしていれば、被保険者期間死亡した時点で被保険者でなくなっていても、本設問文の条件にある遺族に遺族厚生年金が支給される点を理解しておくとよいでしょう。
ウ.誤った記述です。
本設問文の場合、該当の被保険者の老齢厚生年金は、支給停止されません。
令和4年の法改正により、60歳以上65歳未満を対象とする在職老齢年金制度の支給停止基準額「28万円」が引き上げられ、65歳以上を対象とする在職老齢年金制度と同じ基準額「47万円」となりました。
このため、本設問文の場合、総報酬月額相当額(220,000円)と老齢厚生年金における基本月額(120,000円)の合計が340,000円となり、老齢厚生年金は支給停止されないことになります。
ア.正しい記述です。
このまま理解しておきましょう。
簡単に言うと、初診日から起算して5年以内に当該傷病で死亡した場合に、いわゆる短期要件としての保険料納付要件を満たしていれば、被保険者期間死亡した時点で被保険者でなくなっていても、本設問文の条件にある遺族に遺族厚生年金が支給される点を理解しておくとよいでしょう。
エ.正しい記述です。
障害手当金(一時金です)は、障害厚生年金と異なり、初診日から5年以内に治っていること(症状が固定していること)が支給要件となっている点を、理解しておくとよいでしょう。
イ.正しい記述です。
特別支給の老齢厚生年金は、老齢厚生年金の受給開始年齢を60歳から65歳に引き上げた際の受給開始年齢を段階的に、スムーズに引き上げるために設けられた制度であることをふまえ、本設問文のような基本的な規定がある点を理解しておくとよいでしょう。
なお、生年月日要件の詳細については、暗記まではしなくてもよいと筆者は考えています。
エ.正しい記述です。
障害手当金(一時金です)は、障害厚生年金と異なり、初診日から5年以内に治っていること(症状が固定していること)が支給要件となっている点を、理解しておくとよいでしょう。
イ.正しい記述です。
特別支給の老齢厚生年金は、老齢厚生年金の受給開始年齢を60歳から65歳に引き上げた際の受給開始年齢を段階的に、スムーズに引き上げるために設けられた制度であることをふまえ、本設問文のような基本的な規定がある点を理解しておくとよいでしょう。
なお、生年月日要件の詳細については、暗記まではしなくてもよいと筆者は考えています。
オ.誤った記述です。
子の有無が支給要件になるのは、遺族基礎年金である点を理解しておきましょう。
ウ.誤った記述です。
本設問文の場合、該当の被保険者の老齢厚生年金は、支給停止されません。
令和4年の法改正により、60歳以上65歳未満を対象とする在職老齢年金制度の支給停止基準額「28万円」が引き上げられ、65歳以上を対象とする在職老齢年金制度と同じ基準額「47万円」となりました。
このため、本設問文の場合、総報酬月額相当額(220,000円)と老齢厚生年金における基本月額(120,000円)の合計が340,000円となり、老齢厚生年金は支給停止されないことになります。
オ.誤った記述です。
子の有無が支給要件になるのは、遺族基礎年金である点を理解しておきましょう。
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