社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
社会保険に関する一般常識 問10

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問題

社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 社会保険に関する一般常識 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、本問は、「令和2年版厚生労働白書(厚生労働省)」を参照しており、当該白書又は当該白書が引用している調査による用語及び統計等を利用している。
  • 公的年金制度の被保険者数の増減について見ると、第1号被保険者は、対前年比70万人増で近年増加傾向にある一方、第2号被保険者等(65歳以上70歳未満の厚生年金被保険者を含む。)や第3号被保険者は、それぞれ対前年比34万人減、23万人減で、近年減少傾向にある。これらの要因として、新型コロナウイルス感染症の影響による生活に困窮する人の増加、失業率の上昇等があげられる。
  • 年金を受給しながら生活をしている高齢者や障害者などの中で、年金を含めても所得が低い方々を支援するため、年金に上乗せして支給する「年金生活者支援給付金制度」がある。老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当している場合は、本人による請求手続きは一切不要であり、日本年金機構が職権で認定手続きを行う。
  • 2008(平成20)年度の後期高齢者医療制度発足時における75歳以上の保険料の激変緩和措置として、政令で定めた軽減割合を超えて、予算措置により軽減を行っていたが、段階的に見直しを実施し、保険料の所得割を5割軽減する特例について、2019(令和元)年度から本則(軽減なし)とし、元被扶養者の保険料の均等割を9割軽減する特例について、2020(令和2)年度から本則(資格取得後3年間に限り7割軽減とする。)とするといった見直しを行っている。
  • 社会保障給付費の部門別構成割合の推移を見ると、1989(平成元)年度においては医療が49.5%、介護、福祉その他が39.4% を占めていたが、医療は1990年台半ばから、介護、福祉その他は2004(平成16)年度からその割合が減少に転じ、年金の割合が増加してきている。2017(平成29)年度には、年金が21.6% と1989年度の約2倍となっている。
  • 保険医療機関等で療養の給付等を受ける場合の被保険者資格の確認について、確実な本人確認と保険資格確認を可能とし、医療保険事務の効率化や患者の利便性の向上等を図るため、オンライン資格確認の導入を進める。オンライン資格確認に当たっては、既存の健康保険証による資格確認に加えて、個人番号カード(マイナンバーカード)による資格確認を可能とする。

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この過去問の解説 (3件)

01

解説は以下の通りです。

選択肢1. 公的年金制度の被保険者数の増減について見ると、第1号被保険者は、対前年比70万人増で近年増加傾向にある一方、第2号被保険者等(65歳以上70歳未満の厚生年金被保険者を含む。)や第3号被保険者は、それぞれ対前年比34万人減、23万人減で、近年減少傾向にある。これらの要因として、新型コロナウイルス感染症の影響による生活に困窮する人の増加、失業率の上昇等があげられる。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】令和2年版厚生労働白書P296

【ポイント・考え方】

 増減傾向については、第2号被保険者が増加傾向、第1号被保険者が減少傾向にあります。

 第2号被保険者については、短時間労働者の被保険者適用条件の緩和(拡大)、高齢者の就労促進等により、増加傾向にある点を指摘できるとよいでしょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者のおおよその数と増減傾向は、毎年簡単にでも確認・把握しておくとよいでしょう。

選択肢2. 年金を受給しながら生活をしている高齢者や障害者などの中で、年金を含めても所得が低い方々を支援するため、年金に上乗せして支給する「年金生活者支援給付金制度」がある。老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当している場合は、本人による請求手続きは一切不要であり、日本年金機構が職権で認定手続きを行う。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】令和2年版厚生労働白書P304

【ポイント・考え方】

 該当の給付金は、要件に該当していることを本人に確認した上で支給すべきであることから、請求手続きの形をとっていると理解しておくとよいでしょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 実際には、目的に照らして該当者に確実に支給するために、請求書は日本年金機構から送付する形をとっている点も、あわせて知っておくとよいでしょう。

 なお、本筋ではない考え方ですが、設問文中に「一切」等の限定的な記述があった場合は、その例外が1つでも思いつく場合は、当該設問文をいったん「誤り」がある(可能性が高い)と判断してよいでしょう。

選択肢3. 2008(平成20)年度の後期高齢者医療制度発足時における75歳以上の保険料の激変緩和措置として、政令で定めた軽減割合を超えて、予算措置により軽減を行っていたが、段階的に見直しを実施し、保険料の所得割を5割軽減する特例について、2019(令和元)年度から本則(軽減なし)とし、元被扶養者の保険料の均等割を9割軽減する特例について、2020(令和2)年度から本則(資格取得後3年間に限り7割軽減とする。)とするといった見直しを行っている。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】令和2年版厚生労働白書P359

【ポイント・考え方】

 設問文のうち、「2019(令和元)年度から本則(軽減なし)とし、元被扶養者の保険料の均等割を9割軽減する特例について、2020(令和2)年度から本則(資格取得後3年間に限り7割軽減とする。)」の箇所は、「2018(平成30)年度から本則(軽減なし)とし、元被扶養者の保険料の均等割を9割軽減する特例について、2019(令和元)年度から本則(資格取得後2年間に限り5割軽減とする。)」が正しいです。

【学習・実務でのワンポイント】

 本設問文の学習は、実務でもあまり触れる機会が多くない分野であり、優先度を下げてもよいと筆者は考えています。

選択肢4. 社会保障給付費の部門別構成割合の推移を見ると、1989(平成元)年度においては医療が49.5%、介護、福祉その他が39.4% を占めていたが、医療は1990年台半ばから、介護、福祉その他は2004(平成16)年度からその割合が減少に転じ、年金の割合が増加してきている。2017(平成29)年度には、年金が21.6% と1989年度の約2倍となっている。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】令和2年版厚生労働白書P120

【ポイント・考え方】

 本設問文においては、医療・介護・福祉にかかる給付の割合が減少に転じている旨の記述があることで、誤りであると判断できることが望ましいと考えます。

【学習・実務でのワンポイント】

 本設問文は、一般的・常識的な判断・推察から正誤を判断することが可能だと考えます。

選択肢5. 保険医療機関等で療養の給付等を受ける場合の被保険者資格の確認について、確実な本人確認と保険資格確認を可能とし、医療保険事務の効率化や患者の利便性の向上等を図るため、オンライン資格確認の導入を進める。オンライン資格確認に当たっては、既存の健康保険証による資格確認に加えて、個人番号カード(マイナンバーカード)による資格確認を可能とする。

【正誤】正しい記述です。

【根拠条文等】令和2年版厚生労働白書P355

【ポイント・考え方】

 設問文のとおりです。

 マイナンバーの利用目的は「税と社会保険と防災」に関することに限定されており、本設問文はこのうち医療保険事務の効率化や患者の利便性の向上等を図るねらいによっているものであることを理解しておくとよいでしょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 実際に、個人番号カード(マイナンバーカード)を健康保険証として利用が可能となる(令和3年10月より)点は、認識している方もいるでしょう。

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02

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 公的年金制度の被保険者数の増減について見ると、第1号被保険者は、対前年比70万人増で近年増加傾向にある一方、第2号被保険者等(65歳以上70歳未満の厚生年金被保険者を含む。)や第3号被保険者は、それぞれ対前年比34万人減、23万人減で、近年減少傾向にある。これらの要因として、新型コロナウイルス感染症の影響による生活に困窮する人の増加、失業率の上昇等があげられる。

第1号、3号は減少傾向、第2号は厚生年金の加入者拡大などにより増加傾向です。

令和2年版厚生労働白書p296

被保険者数の増減について見てみると、第2号被保険者等は対前年比70万人増で、近年増加傾向にある一方、第1号被保険者や第3号被保険者はそれぞれ対前年比34万人、23万人減で、近年減少傾向にある。

公的年金制度の被保険者数の増減について見ると、第1号被保険者は、対前年比70万人増で近年増加傾向にある一方、第2号被保険者等(65歳以上70歳未満の厚生年金被保険者を含む。)や第3号被保険者は、それぞれ対前年比34万人減、23万人減で、近年減少傾向にある。これらの要因として、新型コロナウイルス感染症の影響による生活に困窮する人の増加、失業率の上昇等があげられる。

選択肢2. 年金を受給しながら生活をしている高齢者や障害者などの中で、年金を含めても所得が低い方々を支援するため、年金に上乗せして支給する「年金生活者支援給付金制度」がある。老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当している場合は、本人による請求手続きは一切不要であり、日本年金機構が職権で認定手続きを行う。

請求を行う必要があります。年金をもらえる場合に自動で手続きを行ってくれることがないかと推測もできるかもしれません。

https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/

  • 年金生活者支援給付金を受け取るには、年金生活者支援給付金請求書の提出が必要です。原則、お手続きいただいた翌月分から支給の対象となりますので、速やかな請求手続きをお願いします。

年金を受給しながら生活をしている高齢者や障害者などの中で、年金を含めても所得が低い方々を支援するため、年金に上乗せして支給する「年金生活者支援給付金制度」がある。老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当している場合は、本人による請求手続きは一切不要であり、日本年金機構が職権で認定手続きを行う。

選択肢3. 2008(平成20)年度の後期高齢者医療制度発足時における75歳以上の保険料の激変緩和措置として、政令で定めた軽減割合を超えて、予算措置により軽減を行っていたが、段階的に見直しを実施し、保険料の所得割を5割軽減する特例について、2019(令和元)年度から本則(軽減なし)とし、元被扶養者の保険料の均等割を9割軽減する特例について、2020(令和2)年度から本則(資格取得後3年間に限り7割軽減とする。)とするといった見直しを行っている。

令和2年版厚生労働白書p359

75歳以上の保険料軽減特例については、2008(平成20)年度の後期高齢者医療制度発足時における激変緩和措置として、政令で定めた軽減割合を超えて、予算措置により軽減を行っていたが、世代間・世代内の負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求める観点から、段階的に見直しを実施し、保険料の所得割を5割軽減する特例について、2018(平成30)年度から本則(軽減なし)とし、元被扶養者の保険料の均等割を9割軽減する特例について、2019(令和元)年度から本則(資格取得後2年間に限り5割軽減とする)とするといった見直しを行っている。

2008(平成20)年度の後期高齢者医療制度発足時における75歳以上の保険料の激変緩和措置として、政令で定めた軽減割合を超えて、予算措置により軽減を行っていたが、段階的に見直しを実施し、保険料の所得割を5割軽減する特例について、2019(令和元)年度から本則(軽減なし)とし、元被扶養者の保険料の均等割を9割軽減する特例について、2020(令和2)年度から本則(資格取得後3年間に限り7割軽減とする。)とするといった見直しを行っている。

選択肢4. 社会保障給付費の部門別構成割合の推移を見ると、1989(平成元)年度においては医療が49.5%、介護、福祉その他が39.4% を占めていたが、医療は1990年台半ばから、介護、福祉その他は2004(平成16)年度からその割合が減少に転じ、年金の割合が増加してきている。2017(平成29)年度には、年金が21.6% と1989年度の約2倍となっている。

令和2年版厚生労働白書p120

(部門ごとのウェートを見ると、「年金」「医療」が減少、「介護」「福祉その他」が増加)

社会保障給付費の部門別構成割合の推移を見ると、1989(平成元)年度においては年金が49.5%、医療が39.4%を占めていたが、医療は1990 年代半ばから、年金は2004(平成16)年度からその割合が減少に転じ、介護、福祉その他の割合が増加してきている。2017年度には、介護と福祉その他を合わせて21.6%と、1989年度の約2倍となっている。

社会保障給付費の部門別構成割合の推移を見ると、1989(平成元)年度においては医療が49.5%、介護、福祉その他が39.4% を占めていたが、医療は1990年台半ばから、介護、福祉その他は2004(平成16)年度からその割合が減少に転じ、年金の割合が増加してきている。2017(平成29)年度には、年金が21.6% と1989年度の約2倍となっている。

選択肢5. 保険医療機関等で療養の給付等を受ける場合の被保険者資格の確認について、確実な本人確認と保険資格確認を可能とし、医療保険事務の効率化や患者の利便性の向上等を図るため、オンライン資格確認の導入を進める。オンライン資格確認に当たっては、既存の健康保険証による資格確認に加えて、個人番号カード(マイナンバーカード)による資格確認を可能とする。

令和2年版厚生労働白書p355

(1)オンライン資格確認の導入

保険医療機関等で療養の給付等を受ける場合の被保険者資格の確認について、確実な本人確認と保険資格確認を可能とし、医療保険事務の効率化や患者の利便性の向上等を図るため、オンライン資格確認の導入を進める。また、オンライン資格確認に当たっては、既存の健康保険証による資格確認に加えて、個人番号カード(マイナンバーカード)による資格確認を可能とする。

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03

解答:「保険医療機関等で療養の給付等を受ける場合の被保険者資格の確認について・・・」が正解です。

選択肢1. 公的年金制度の被保険者数の増減について見ると、第1号被保険者は、対前年比70万人増で近年増加傾向にある一方、第2号被保険者等(65歳以上70歳未満の厚生年金被保険者を含む。)や第3号被保険者は、それぞれ対前年比34万人減、23万人減で、近年減少傾向にある。これらの要因として、新型コロナウイルス感染症の影響による生活に困窮する人の増加、失業率の上昇等があげられる。

×

第2号被保険者は、短時間労働者の被保険者適用条件の拡大や厚生年金の加入促進策の実施、高齢者等の就労促進によって増加しています。

一方で、第1号被保険者と第3号被保険者は減少傾向にあります。

選択肢2. 年金を受給しながら生活をしている高齢者や障害者などの中で、年金を含めても所得が低い方々を支援するため、年金に上乗せして支給する「年金生活者支援給付金制度」がある。老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当している場合は、本人による請求手続きは一切不要であり、日本年金機構が職権で認定手続きを行う。

×

本人による請求手続きは「一切不要であり」ではなく「本人の請求が必要」です。

選択肢3. 2008(平成20)年度の後期高齢者医療制度発足時における75歳以上の保険料の激変緩和措置として、政令で定めた軽減割合を超えて、予算措置により軽減を行っていたが、段階的に見直しを実施し、保険料の所得割を5割軽減する特例について、2019(令和元)年度から本則(軽減なし)とし、元被扶養者の保険料の均等割を9割軽減する特例について、2020(令和2)年度から本則(資格取得後3年間に限り7割軽減とする。)とするといった見直しを行っている。

× 

「2019(令和元)年度から本則(軽減なし)」は「2018(平成30)年度から本則(軽減なし)」が正しいです。

また、「2020(令和2)年度から本則(資格取得後3年間に限り7割軽減とする。)」は「2019(令和元)年度から本則(資格取得後2年間に限り5割軽減とする。)」が正しいです。

選択肢4. 社会保障給付費の部門別構成割合の推移を見ると、1989(平成元)年度においては医療が49.5%、介護、福祉その他が39.4% を占めていたが、医療は1990年台半ばから、介護、福祉その他は2004(平成16)年度からその割合が減少に転じ、年金の割合が増加してきている。2017(平成29)年度には、年金が21.6% と1989年度の約2倍となっている。

×

社会保障給付費を「医療」、「年金」、「介護、福祉その他」に分類して部門別にみると、2017年度は「医療」が総額に占める割合は32.8%、「年金」が45.6%、「介護、福祉その他」が21.6%になります。

選択肢5. 保険医療機関等で療養の給付等を受ける場合の被保険者資格の確認について、確実な本人確認と保険資格確認を可能とし、医療保険事務の効率化や患者の利便性の向上等を図るため、オンライン資格確認の導入を進める。オンライン資格確認に当たっては、既存の健康保険証による資格確認に加えて、個人番号カード(マイナンバーカード)による資格確認を可能とする。

保険医療機関等で療養の給付等を受ける場合、既存の健康保険証による資格確認に加えて、個人番号カード(マイナンバーカード)による資格確認が可能です。

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