社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
健康保険法 問1
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問題
社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 健康保険法 問1 (訂正依頼・報告はこちら)
健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも低額な休業手当が支払われることとなり、その状態が継続して3か月を超える場合には、固定的賃金の変動とみなされ、標準報酬月額の随時改定の対象となる。
- 賃金が月末締め月末払いの事業所において、2月19日から一時帰休で低額な休業手当等の支払いが行われ、5月1日に一時帰休の状況が解消した場合には、2月、3月、4月の報酬を平均して2等級以上の差が生じていれば、5月以降の標準報酬月額から随時改定を行う。
- その年の1月から6月までのいずれかの月に随時改定された標準報酬月額は、再度随時改定、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定又は産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定を受けない限り、その年の8月までの標準報酬月額となり、7月から12月までのいずれかの月に改定された標準報酬月額は、再度随時改定、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定又は産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定を受けない限り、翌年の8月までの標準報酬月額となる。
- 前月から引き続き被保険者であり、12月10日に賞与を50万円支給された者が、同月20日に退職した場合、事業主は当該賞与に係る保険料を納付する義務はないが、標準賞与額として決定され、その年度における標準賞与額の累計額に含まれる。
- 訪問看護事業とは、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)に対し、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助(保険医療機関等又は介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設若しくは同条第29項に規定する介護医療院によるものを除く。)を行う事業のことである。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は以下のとおりです。
正
令3.4.1事務連絡
低額な休業手当等に関する扱いについて、一時帰休に伴い低額な休業手当等が支払われる場合、固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象とします。固定的賃金が減額して支給され、且つ、その状態が継続して3か月を超える場合に限ります。3か月は暦日ではなく、月単位で計算します。
誤
本肢では5月1日に一時帰休が解消と記載があるため、3か月を超えないため随時改定は行われません。
令3.4.1事務連絡
(2) 随時改定について 問2
3か月は暦日ではなく、月単位で計算する。例えば、月末締め月末払いの事 業所において一時帰休の開始日を2月10日とした場合は、5月1日をもって 「3か月を超える場合」に該当し、2・3・4月の報酬を平均して2等級以上 の差が生じていれば、5月以降の標準報酬月額から随時改定する。 なお、5月1日時点で一時帰休の状況が解消している場合には、3か月を超えないため、随時改定は行わない。
賃金が月末締め月末払いの事業所において、2月19日から一時帰休で低額な休業手当等の支払いが行われ、5月1日に一時帰休の状況が解消した場合には、2月、3月、4月の報酬を平均して2等級以上の差が生じていれば、5月以降の標準報酬月額から随時改定を行う。
正
第四十三条
保険者等は、被保険者が現に使用される事業所において継続した三月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、十七日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を三で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。
2 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、その年の八月(七月から十二月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。
正
給料、賞与を問わず前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合はその月分の保険料は算定されませんが、標準賞与額の累計額に算定されます。
(被保険者の保険料額)
第百五十六条 被保険者に関する保険料額は、各月につき、次の各号に掲げる被保険者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
(中略)
3 前二項の規定にかかわらず、前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない。
正
訪問看護療養費とは何かに関する、条文表現のままの出題です。
(訪問看護療養費)
第八十八条 被保険者が、厚生労働大臣が指定する者(以下「指定訪問看護事業者」という。)から当該指定に係る訪問看護事業(疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)に対し、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助(保険医療機関等又は介護保険法第八条第二十八項に規定する介護老人保健施設若しくは同条第二十九項に規定する介護医療院によるものを除く。以下「訪問看護」という。)を行う事業をいう。
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02
解説は以下の通りです。
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】昭和50年3月29日庁保険発8号保険発25号
【ポイント・考え方】
一時帰休に伴う報酬額の低下については、通常の随時改定(3か月継続して2段階以上の低下が発生する)と異なる柔軟な規定が適用され、当該労働者の金銭負担を軽減させるねらいがあると理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
標準報酬月額の定時改定以外のパターンとして、通常の随時改定の他、「育児休業によるもの」「介護休業によるもの」「一時帰休によるもの」等に区分けして、それぞれの条件を整理しておくとよいでしょう。
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集(令和3年4月1日事務連絡)
【ポイント・考え方】
一時帰休に伴う随時改定は、低額な休業手当等の支払いが継続して3か月「を超える」場合に行うこととなる点、この3か月は暦日ではなく(カレンダー上の日数をカウントして30日や31日となったところで1か月とするのではなく)、月単位(設問文の場合は2月・3月・4月)でカウントする点、がポイントです。
設問文の場合は、5月1日に一時帰休の状況が解消しているので、低額な休業手当等の支払期間が2月・3月・4月の3か月であり、3か月「を超える」という要件に該当しないため、随時改定は行いません。
【学習・実務でのワンポイント】
期間のカウント方法(「暦日」か「月単位」か)及び条件(「以上」か「超える」か、また「以下」か「未満」か など)については、学習の都度注意するようにしましょう。
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】健康保険法43条2項
【ポイント・考え方】
標準報酬月額の基本的な考え方であり、ぜひ理解しておきましょう。
【学習・実務でのワンポイント】
標準報酬月額の定時改定を実施しない要件を理解しておくとよいでしょう。
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】健康保険法45条1項,156条3項
【ポイント・考え方】
前月から引き続いて被保険者である人が、月末より前に退職した場合(被保険者資格を喪失した場合)には、その月の保険料は納付する必要がない点を、理解しておきましょう。
【学習・実務でのワンポイント】
実務上でも、月末に退職するか、月中に退職するかで条件が異なるので、考慮する人がいたりします。
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】健康保険法88条1項
【ポイント・考え方】
設問文のとおり、理解しておきましょう。
【学習・実務でのワンポイント】
本設問文のように、カッコ書きが長かったり、カッコ書きが2重になっているようなものもありますが、主旨を的確に捉えられるよう読解力をつけておくことも、正誤の判断がより的確になる場合が少なくないです。
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03
解答:「賃金が月末締め月末払いの事業所において・・・」が正解です。
〇
一時帰休に伴い、低額な休業手当が支払われた場合で、その状態が継続して3か月を超えると、固定的賃金の変動とみなされ、標準報酬月額の随時改定の対象となります。
×
一時帰休に伴い、低額な休業手当等の支払いが継続して3か月を超える場合に随時改定を行うこととなりますが、この「3か月」は暦日ではなく月単位で計算します。
2月19日から一時帰休し、「5月1日に一時帰休の状況が解消」した場合、一時帰休は「2月」「3月」「4月30日」までとなり「3か月を超える場合」に該当しません。
〇
1月から6月までのいずれかの月に随時改定された標準報酬月額は、「その年の8月までの標準報酬月額」となります。
7月から12月までのいずれかの月に随時改定された標準報酬月額は、「翌年の8月までの標準報酬月額」となります。
〇
賞与を支給された同月に「資格喪失」した場合は、賞与に係る保険料を納付する義務はありませんが、その年度における標準賞与額の累計額には含まれます。
〇
訪問看護事業とは、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助を行う事業のことを指します。
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