社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問2
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 選択式 労働基準法及び労働安全衛生法 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文中の[ B ]の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 労働基準法第20条により、いわゆる解雇予告手当を支払うことなく9月30日の終了をもって労働者を解雇しようとする使用者は、その解雇の予告は、少なくとも[ A ]までに行わなければならない。
2 最高裁判所は、全国的規模の会社の神戸営業所勤務の大学卒営業担当従業員に対する名古屋営業所への転勤命令が権利の濫用に当たるということができるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することの許されないことはいうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であつても、当該転勤命令が[ B ]なされたものであるとき若しくは労働者に対し通常[ C ]とき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。右の業務上の必要性についても、当該転勤先への異動が余人をもつては容易に替え難いといつた高度の必要性に限定することは相当でなく、労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を肯定すべきである。」
3 労働安全衛生法第59条において、事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければならないが、この教育は、[ D ]についても行わなければならないとされている。
4 労働安全衛生法第3条において、「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、[ E ]と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。」と規定されている。
1 労働基準法第20条により、いわゆる解雇予告手当を支払うことなく9月30日の終了をもって労働者を解雇しようとする使用者は、その解雇の予告は、少なくとも[ A ]までに行わなければならない。
2 最高裁判所は、全国的規模の会社の神戸営業所勤務の大学卒営業担当従業員に対する名古屋営業所への転勤命令が権利の濫用に当たるということができるか否かが問題となった事件において、次のように判示した。
「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することの許されないことはいうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であつても、当該転勤命令が[ B ]なされたものであるとき若しくは労働者に対し通常[ C ]とき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。右の業務上の必要性についても、当該転勤先への異動が余人をもつては容易に替え難いといつた高度の必要性に限定することは相当でなく、労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を肯定すべきである。」
3 労働安全衛生法第59条において、事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければならないが、この教育は、[ D ]についても行わなければならないとされている。
4 労働安全衛生法第3条において、「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、[ E ]と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。」と規定されている。
- 8月30日
- 8月31日
- 9月1日
- 9月16日
- 行うべき転居先の環境の整備をすることなくなされたものである
- 快適な職場環境の実現
- 甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである
- 現在の業務に就いてから十分な期間をおくことなく
- 他の不当な動機・目的をもつて
- 当該転勤先への異動を希望する他の労働者がいるにもかかわらず
- 配慮すべき労働条件に関する措置が講じられていない
- 予想し得ない転勤命令がなされたものである
- より高度な基準の自主設定
- 労働災害の絶滅に向けた活動
- 労働災害の防止に関する新たな情報の活用
- 労働者が90日以上欠勤等により業務を休み、その業務に復帰したとき
- 労働者が再教育を希望したとき
- 労働者が労働災害により30日以上休業し、元の業務に復帰したとき
- 労働者に対する事前の説明を経ることなく
- 労働者の作業内容を変更したとき
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題で覚えておくポイントは「転勤命令」についてになります。
転勤、特に転居を伴う転勤は、⼀般に、労働者の生活関係に少なからず影響を与えるので、濫用することは許されません。
そして、業務上の必要性が存しない場合や業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が[ 他の不当な動機・目的をもって ]なされたものであるとき等、特段の事情がない場合には転勤命令は権利の濫用に該当しません。
判例では、「否定の否定」が使われることがあります。問題文の意味を理解しながら選択肢から選びましょう。
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02
Aは解雇予告制度に関する問です。B,Cは転勤命令が使用者の権利濫用に当たるかを問うもので、最高裁判例(東亜ペイント事件)からの出題です。D,Eは安全衛生法の安全衛生教育及び事業者等の責務の条文ベースの出題で基本的な内容です。
転勤命令が使用者の権利濫用に当たるかを問うもので、東亜ペイント事件の最高裁判例からの出題です。
・・・当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であつても、当該転勤命令が[ B ]なされたものであるとき若しくは労働者に対し通常[ C ]とき等、特段の事情の存する場合でない限りは・・・
特段の事情の存する場合でない限り、転勤命令は有効であると述べています。
従って、Bには特段の事情の存する場合に相当する選択肢がふさわしいです。
転勤命令の有効性に当たっては、以下のキーワードがあります。
・業務上の必要性が存在しない。
・業務上の必要性が存在しても他の不当な動機・目的を持っている。
・労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる。
労働条件に関する総合情報サイト:確かめよう労働条件も参考になります。
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/haichi/haiten.html
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03
転勤については、労働者の立場で学習をしている方にとっては、とても身近なテーマになるかと思います。
どのような場合に権力の乱用となるかについては、いわゆる常識的な判断で正誤の見極めができるものと筆者は考えています。
「他の不当な動機・目的をもつて」が正しい選択肢です。
本空欄にそもそも意味の通じる日本語として入りうる選択肢は、
「現在の業務に就いてから十分な期間をおくことなく」
「他の不当な動機・目的をもつて」
「当該転勤先への異動を希望する他の労働者がいるにもかかわらず」
「労働者に対する事前の説明を経ることなく」
の4つに絞られます。
このうち、「権利の濫用」といいうる条件は、「他の不当な動機・目的をもつて」が最も該当するであろう点は、容易に判断が可能と筆者は考えています。
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