社会保険労務士の過去問
第54回(令和4年度)
労働者災害補償保険法 問5
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問題
社労士試験 第54回(令和4年度) 選択式 労働者災害補償保険法 問5 (訂正依頼・報告はこちら)
次の文中の[ E ]の部分を選択肢の中の最も適切な語句で埋め、完全な文章とせよ。
1 業務災害により既に1下肢を1センチメートル短縮していた(13級の8)者が、業務災害により新たに同一下肢を3センチメートル短縮(10級の7)し、かつ1手の小指を失った(12級の8の2)場合の障害等級は[ A ]級であり、新たな障害につき給付される障害補償の額は給付基礎日額の[ B ]日分である。
なお、8級の障害補償の額は給付基礎日額の503日分、9級は391日分、10級は302日分、11級は223日分、12級は156日分、13級は101日分である。
2 最高裁判所は、中小事業主が労災保険に特別加入する際に成立する保険関係について、次のように判示している(作題に当たり一部改変)。
労災保険法(以下「法」という。)が定める中小事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険の保険関係(以下「保険関係」という。)を前提として、当該保険関係上、中小事業主又はその代表者を[ C ]とみなすことにより、当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度である。そして、法第3条第1項、労働保険徴収法第3条によれば、保険関係は、労働者を使用する事業について成立するものであり、その成否は当該事業ごとに判断すべきものであるところ、同法第4条の2第1項において、保険関係が成立した事業の事業主による政府への届出事項の中に「事業の行われる場所」が含まれており、また、労働保険徴収法施行規則第16条第1項に基づき労災保険率の適用区分である同施行規則別表第1所定の事業の種類の細目を定める労災保険率適用事業細目表において、同じ建設事業に附帯して行われる事業の中でも当該建設事業の現場内において行われる事業とそうでない事業とで適用される労災保険率の区別がされているものがあることなどに鑑みると、保険関係の成立する事業は、主として場所的な独立性を基準とし、当該一定の場所において一定の組織の下に相関連して行われる作業の一体を単位として区分されるものと解される。そうすると、土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(以下「建設の事業」という。)を行う事業主については、個々の建設等の現場における建築工事等の業務活動と本店等の事務所を拠点とする営業、経営管理その他の業務活動とがそれぞれ別個の事業であって、それぞれその業務の中に[ D ]を前提に、各別に保険関係が成立するものと解される。
したがって、建設の事業を行う事業主が、その使用する労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店等の事務所を拠点とする営業等の事業に従事させていないときは、営業等の事業につき保険関係の成立する余地はないから、営業等の事業について、当該事業主が特別加入の承認を受けることはできず、[ E ]に起因する事業主又はその代表者の死亡等に関し、その遺族等が法に基づく保険給付を受けることはできないものというべきである。
1 業務災害により既に1下肢を1センチメートル短縮していた(13級の8)者が、業務災害により新たに同一下肢を3センチメートル短縮(10級の7)し、かつ1手の小指を失った(12級の8の2)場合の障害等級は[ A ]級であり、新たな障害につき給付される障害補償の額は給付基礎日額の[ B ]日分である。
なお、8級の障害補償の額は給付基礎日額の503日分、9級は391日分、10級は302日分、11級は223日分、12級は156日分、13級は101日分である。
2 最高裁判所は、中小事業主が労災保険に特別加入する際に成立する保険関係について、次のように判示している(作題に当たり一部改変)。
労災保険法(以下「法」という。)が定める中小事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険の保険関係(以下「保険関係」という。)を前提として、当該保険関係上、中小事業主又はその代表者を[ C ]とみなすことにより、当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度である。そして、法第3条第1項、労働保険徴収法第3条によれば、保険関係は、労働者を使用する事業について成立するものであり、その成否は当該事業ごとに判断すべきものであるところ、同法第4条の2第1項において、保険関係が成立した事業の事業主による政府への届出事項の中に「事業の行われる場所」が含まれており、また、労働保険徴収法施行規則第16条第1項に基づき労災保険率の適用区分である同施行規則別表第1所定の事業の種類の細目を定める労災保険率適用事業細目表において、同じ建設事業に附帯して行われる事業の中でも当該建設事業の現場内において行われる事業とそうでない事業とで適用される労災保険率の区別がされているものがあることなどに鑑みると、保険関係の成立する事業は、主として場所的な独立性を基準とし、当該一定の場所において一定の組織の下に相関連して行われる作業の一体を単位として区分されるものと解される。そうすると、土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(以下「建設の事業」という。)を行う事業主については、個々の建設等の現場における建築工事等の業務活動と本店等の事務所を拠点とする営業、経営管理その他の業務活動とがそれぞれ別個の事業であって、それぞれその業務の中に[ D ]を前提に、各別に保険関係が成立するものと解される。
したがって、建設の事業を行う事業主が、その使用する労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店等の事務所を拠点とする営業等の事業に従事させていないときは、営業等の事業につき保険関係の成立する余地はないから、営業等の事業について、当該事業主が特別加入の承認を受けることはできず、[ E ]に起因する事業主又はその代表者の死亡等に関し、その遺族等が法に基づく保険給付を受けることはできないものというべきである。
- 8
- 9
- 10
- 11
- 122
- 201
- 290
- 402
- 営業等の事業に係る業務
- 建設及び営業等以外の事業に係る業務
- 建設及び営業等の事業に係る業務
- 建設の事業に係る業務
- 事業主が自ら行うものがあること
- 事業主が自ら行うものがないこと
- 使用者
- 特別加入者
- 一人親方
- 労働者
- 労働者を使用するものがあること
- 労働者を使用するものがないこと
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この過去問の解説 (3件)
01
労災保険法にかかる特別加入については、当該制度を規定した背景を押さえた上で適用範囲・条件の学習を進めていくと、理解が確実になると考えます。
基本的な考え方・理解すべきポイントを簡単に言うと「使用者・代表者等について、どのような条件であれば労働者とみなすことができるか」においておくことで、本設問をはじめ正答/正誤の判断が容易になると考えます。
「営業等の事業に係る業務」が正しい選択肢です。
本設問の最終段落(したがって、~の部分)を読み解いていくと、「営業等の事業につき保険関係の成立する余地はない」とあります。
空欄[ E ]は、端的に言うと「法に基づく保険給付を受けることはできない」ものが何かを問うているので、選択肢の中では「営業等の事業に係る業務」が適切であると判断が可能だと考えます。
本設問は、一般的な読解力でぜひ正答してほしい問題であると筆者は考えています。
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02
この問題で覚えておくポイントは「中小事業主の特別加入」についてになります。
労働者を営業等の事業に従事していない場合、営業等の事業につき保険関係の成立する余地はないから、営業等の事業について、当該事業主が特別加入の承認を受けることはできず、[ 営業等の事業に係る業務 ]に起因する事業主又はその代表者の死亡等に関し、その遺族等が法に基づく保険給付を受けることはできないものというべきである。
営業等の事業に【労働者を】従事させていないのであれば、事業主が特別加入の承認を受けることはできないので、保険給付を受ける事も出来ないと考えます。
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03
Aは解雇予告制度に関する問です。
B,Cは転勤命令が使用者の権利濫用に当たるかを問うもので、最高裁判例(東亜ペイント事件)からの出題です。
D,Eは安全衛生法の安全衛生教育及び事業者等の責務の条文ベースの出題で基本的な内容です。
労働災害補償金不支給決定処分取消請求事件(平成24年2月24日)からの出題です。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=82025
文脈から営業などにかかる業務は労働者が使用されていないことがわかり、「営業等の事業に係る業務」については保険給付を受けることができないと理解できます。
・・・建設の事業を行う事業主が、その使用する労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店等の事務所を拠点とする営業等の事業に従事させていないときは、営業等の事業につき保険関係の成立する余地はないから、営業等の事業について、当該事業主が特別加入の承認を受けることはできず・・・
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