社会保険労務士(社労士) 過去問
第56回(令和6年度)
問1 (労働基準法及び労働安全衛生法 問1)
問題文
労働基準法の総則(第1条~第12条)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
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問題
社労士試験 第56回(令和6年度) 問1(労働基準法及び労働安全衛生法 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
労働基準法の総則(第1条~第12条)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 労働基準法第1条にいう、「人たるに値する生活」とは、社会の一般常識によって決まるものであるとされ、具体的には、「賃金の最低額を保障することによる最低限度の生活」をいう。
- 「労働基準法3条は労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、特定の信条を有することを、雇入れを拒む理由として定めることも、右にいう労働条件に関する差別取扱として、右規定に違反するものと解される。」とするのが、最高裁判所の判例である。
- 事業場において女性労働者が平均的に能率が悪いこと、勤続年数が短いことが認められたため、男女間で異なる昇格基準を定めていることにより男女間で賃金格差が生じた場合には、労働基準法第4条違反とはならない。
- 在籍型出向(出向元及び出向先双方と出向労働者との間に労働契約関係がある場合)の出向労働者については、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が、出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負う。
- 労働者に支給される物又は利益にして、所定の貨幣賃金の代わりに支給するもの、即ち、その支給により貨幣賃金の減額を伴うものは労働基準法第11条にいう「賃金」とみなさない。
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この過去問の解説 (3件)
01
総則からの出題です。
労働基準法をしっかりと勉強していれば、
解きやすい問題だったと思われます。
この選択肢は誤りです。
社会の一般常識ではなく、
「一般の社会通念」であれば、
正しい内容でした。
【1条】
この選択肢は誤りです。
賃金その他労働条件についての、
差別取扱は雇入れ後に適用されます。
設問中の特定の信条を有することで、
雇入れ自体を拒むことは問題ありません。
労働基準法では解雇制限が厳しいため、
雇入れに関しては企業にある程度の裁量権を持たせています。
【3条、三菱樹脂事件】
この選択肢は誤りです。
設問の理由で女性に賃金格差が生じた場合には、
4条違反となります。
【4条、平成9年基発648号】
参考URL【厚生労働省 男女間賃金格差解消のために】
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/chinginkakusa/01.html
正しい内容です。
対して移籍型出向の場合は、
出向先の使用者が責任を負います。
【昭和61年6月6日基発333号】
この選択肢は誤りです。
現物支給に関しても「賃金」とみなします。
【11条、昭和22年9月13日発基17号】
通達からの出題が目立ちました。
この問題ではピンポイントで正しい選択肢を見つけるのではなく、
誤りを4つ見つけた方が確実に正解に近づけるような問題でした。
正解していただきたい問題でした。
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02
労働基準法の総則に関する基本論点です。労働基準法の基本事項の言葉の定義や法律の定義を問うものでしっかり理解する必要があります。
誤りです。
「人たるに値する生活」を労働者が営むためには、その標準家族の生活をも含めて考えることとされており、標準家族の範囲はその時その社会の一般通念によって理解されるべきであるとされています。
誤りです。
労働基準法3条では、信条による労働条件の差別的取扱いを禁止していますが、企業における労働者の雇い入れについては、特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、直ちに違法とすることはできないとされています。雇い入れ後の労働条件全般を指すと理解してよいです。
誤りです。
例えば、就業規則などで男女間で異なる昇格基準を定めるだけでは法4条違反となりませんが(就業規則そのものは無効)、男女間で賃金格差が生じているのであれば法4条違反となります。
正しいです。
在籍型出向の場合は、労働者派遣のように明確な区別がない点について留意が必要です。
誤りです。
法11条の賃金の定義は「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」とあります。現物支給を行うことで、貨幣賃金が減額されるものも含みます。
過去に多くの類似の問題が出題されており、多くの受験生が短時間で正解できる内容です。試験開始直後の労働基準法の択一問1として緊張する中、確実に正解をしたい問題です。
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03
労働基準法の「総則」に関する問題です。
誤りです。
「人たるに値する生活」とは、具体的には、「一般の社会通念」によって決まります。
誤りです。
労働基準法3条は、雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではありません。
したがって、特定の信条を有することを、雇入れを拒む理由として定めることは、労働条件に関する差別取扱にはなりません。
誤りです。
本肢のケースは、女性であることを理由とした差別的取扱いに該当し、労働基準法4条違反となります。
正しいです。
三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が、出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負うこととなります。
誤りです。
「所定貨幣賃金の代わりに支給するもの、すなわち、その支給により貨幣賃金の減額を伴うもの」は、賃金とみなされます。
合格のためには正解しておきたいところです。
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