通関士 過去問
第56回(令和4年)
問105 (通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問15)

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問題

通関士試験 第56回(令和4年) 問105(通関書類の作成要領その他通関手続の実務 問15) (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定(以下「オーストラリア協定」という。)における関税についての特別の規定による便益に係る税率(以下「オーストラリア税率」という。)の適用に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選びなさい。なお、正しいものがない場合には、「該当なし」を選びなさい。
  • オーストラリア税率の適用を受けるために税関長に提出するオーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書は、輸入貨物に係る輸出者及び生産者が自ら作成することができない。
  • オーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書を自ら作成した輸入者は、当該締約国原産品申告書を輸入申告に際して税関に提出した場合であっても、その写しをその輸入の許可の日の翌日から5年間保存しなければならない。
  • 輸入しようとする貨物についてオーストラリア税率の適用を受けようとする輸入者は、当該輸入者が自ら作成した締約国原産品申告書を税関長に提出することによって、当該貨物がオーストラリア協定の締約国の原産品とされるものであることを申告することができる。
  • オーストラリア税率の適用を受けるためにオーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書を税関長に提出する場合は、輸入貨物がオーストラリア協定の締約国の原産品であることを明らかにする書類を提出することを要しない。
  • オーストラリア税率の適用を受けて輸入しようとする貨物がオーストラリア協定の締約国以外の地域を経由して本邦に運送されたものである場合において、当該貨物の課税価格の総額が30万円以下であるときは、当該貨物に係る輸入申告の際にオーストラリア協定に基づく運送要件証明書を提出することを要しない。
  • 該当なし

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この過去問の解説 (3件)

01

オーストラリア協定に関する問題です。

では問題にすすみましょう。

選択肢1. オーストラリア税率の適用を受けるために税関長に提出するオーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書は、輸入貨物に係る輸出者及び生産者が自ら作成することができない。

誤った内容です。

オーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書は、日本商工会議所が発行する「第三者証明制度」もしくは、輸出者が自らが協定で定められた原産品である旨の申告書を作成する「自己証明制度」のどちらでも発行が可能です。

選択肢2. オーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書を自ら作成した輸入者は、当該締約国原産品申告書を輸入申告に際して税関に提出した場合であっても、その写しをその輸入の許可の日の翌日から5年間保存しなければならない。

誤った内容です。

輸入者は、原産品に関する書類を輸入の許可の日の翌日から起算して 5 年間保存する必要があります。ただし、輸入申告の際に税関に提出した書類については、保存義務の対象とはなりません。

選択肢3. 輸入しようとする貨物についてオーストラリア税率の適用を受けようとする輸入者は、当該輸入者が自ら作成した締約国原産品申告書を税関長に提出することによって、当該貨物がオーストラリア協定の締約国の原産品とされるものであることを申告することができる。

正しい内容です。

選択肢4. オーストラリア税率の適用を受けるためにオーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書を税関長に提出する場合は、輸入貨物がオーストラリア協定の締約国の原産品であることを明らかにする書類を提出することを要しない。

誤った内容です。

EPA 税率の適用を求める場合には、通常の輸入申告書類に加え、原則として、原産品申告書

および原産品であることを明らかにする書類の提出が必要です。

選択肢5. オーストラリア税率の適用を受けて輸入しようとする貨物がオーストラリア協定の締約国以外の地域を経由して本邦に運送されたものである場合において、当該貨物の課税価格の総額が30万円以下であるときは、当該貨物に係る輸入申告の際にオーストラリア協定に基づく運送要件証明書を提出することを要しない。

誤った内容です。

課税価格の総額が20万円以下の場合は、原産品申告書、原産品申告明細書および関係書類の提出が省略できるとされております。

まとめ

本問の問題自体はオーソドックスな内容ですので、基本的な内容をしっかりと押さえておけば問題無いかと思います。

余裕があれば、各協定ごとに相違がある部分、独自に規定されている事柄を勉強しておくと良いかと思います。

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02

オーストラリア協定に関する問題です。

選択肢1. オーストラリア税率の適用を受けるために税関長に提出するオーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書は、輸入貨物に係る輸出者及び生産者が自ら作成することができない。

輸入貨物に係る輸出者及び生産者が自ら作成することができない。」という内容が誤っています。

オーストラリア協定には、「自己申告制度」が導入されています。つまり、輸入者等が自ら作成した輸入貨物が原産品である旨の申告書を作成することができます。

選択肢2. オーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書を自ら作成した輸入者は、当該締約国原産品申告書を輸入申告に際して税関に提出した場合であっても、その写しをその輸入の許可の日の翌日から5年間保存しなければならない。

原則として、関係書類の輸入許可の日から5年間、保存義務が発生します。しかし、締約国原産品申告書を輸入申告に際して税関に提出した場合は、保存義務の対象になりません。

😃税関に提出した現産地証明書の保存義務はないですね。税関が保存していますからね。

選択肢3. 輸入しようとする貨物についてオーストラリア税率の適用を受けようとする輸入者は、当該輸入者が自ら作成した締約国原産品申告書を税関長に提出することによって、当該貨物がオーストラリア協定の締約国の原産品とされるものであることを申告することができる。

正しい記述です。

😃自己申告制度のメリットです。

選択肢4. オーストラリア税率の適用を受けるためにオーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書を税関長に提出する場合は、輸入貨物がオーストラリア協定の締約国の原産品であることを明らかにする書類を提出することを要しない。

輸入貨物がオーストラリア協定の締約国の原産品であることを明らかにする書類を提出することを要しない。」という内容が誤っています。「締約国の原産品であることを明らかにする書類を提出することを要する」と規定されております。

😃税関が、原産品であることを確認しますから。締約国原産品申告書だけで、明らかに不十分ですね。通常の輸入申告手続きをする時に提出する書類も必要です。

選択肢5. オーストラリア税率の適用を受けて輸入しようとする貨物がオーストラリア協定の締約国以外の地域を経由して本邦に運送されたものである場合において、当該貨物の課税価格の総額が30万円以下であるときは、当該貨物に係る輸入申告の際にオーストラリア協定に基づく運送要件証明書を提出することを要しない。

30万円以下」という内容が誤っています。

設問では、貨物の課税価格の総額が20万円以下の場合は、当該貨物に係る輸入申告の際にオーストラリア協定に基づく運送要件証明書や締約国原産品申告書を提出することを要しないと規定されております。

😃キーワード:20万

課税価格の総額が20万円以下の場合は、輸入申告の手続きが簡単になりますね。

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03

本問は、経済連携協定が締結されている場合の手続きについて知識を問う問題です。

選択肢1. オーストラリア税率の適用を受けるために税関長に提出するオーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書は、輸入貨物に係る輸出者及び生産者が自ら作成することができない。

誤りです。

締約国原産品申告書は「産品の輸入者、輸出者又は生産者」が、作成することができるとされています(自己申告制度、オーストラリア協定第3・16条1項)。

 

※ 地域的な包括的経済連携協定第3・16条4項、18条1項

RCEP協定では原産地申告について、第三者証明制度、認定輸出者自己証明制度、自己申告制度の三つの制度が採用されています。(自己申告制度について、産品の輸出者又は生産者については18条1項で認められていますが、輸入者については、締約時点では締約国全てが導入しているわけではありません。)

選択肢2. オーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書を自ら作成した輸入者は、当該締約国原産品申告書を輸入申告に際して税関に提出した場合であっても、その写しをその輸入の許可の日の翌日から5年間保存しなければならない。

誤りです。

オーストラリア協定第3・20条、関税法68条、関税法施行令61条1項2号イ(2)により、税関に提出した締約国原産品申告書等については保存義務がありません。

 

オーストラリア協定第3・20条に記録の保管に関する義務が定められています。

輸入者の書類保管義務については、

「産品の輸入に関して輸入締約国が要求する文書」を「当該輸入締約国の関連法令に従って必要とされる期間保管する」と定められています(オーストラリア協定第3・20条(b))。

そして、輸入締約国・日本の法令である関税法94条1項では、輸入者の関税関係帳簿の備え付けと関税関係書類の保存義務を定めたうえで

ただし、第68条(輸出申告又は輸入申告に際しての提出書類)の規定により税関に提出した書類については、この限りでない」としています。これは、税関に提出した締約国原産品申告書等(関税法68条、関税法施行令61条1項2号イ(2))については保存義務がないということです。

選択肢3. 輸入しようとする貨物についてオーストラリア税率の適用を受けようとする輸入者は、当該輸入者が自ら作成した締約国原産品申告書を税関長に提出することによって、当該貨物がオーストラリア協定の締約国の原産品とされるものであることを申告することができる。

正しいです。

締約国原産品申告書は「産品の輸入者、輸出者又は生産者」が、作成することができるとされています(自己申告制度、オーストラリア協定第3・16条1項)。

 

※ 地域的な包括的経済連携協定第3・16条4項、18条1項

RCEP協定では原産地申告について、第三者証明制度、認定輸出者自己証明制度、自己申告制度の三つの制度が採用されています。(自己申告制度について、産品の輸出者又は生産者については18条1項で認められていますが、輸入者については、締約時点では締約国全てが導入しているわけではありません。)

選択肢4. オーストラリア税率の適用を受けるためにオーストラリア協定に基づく締約国原産品申告書を税関長に提出する場合は、輸入貨物がオーストラリア協定の締約国の原産品であることを明らかにする書類を提出することを要しない。

誤りです。

「関税上の特恵待遇の要求は、原産地に関する証拠書類によって裏付けられるものとする」とされており(オーストラリア協定第3・17条1項)、原産地証明文書等を提出することが必要とされています。

証拠書類の免除が受けられるのは、課税価格の総額が二十万円以下(関税法施行令61条1項2号イ柱書)の場合と法令で義務を免除した産品についてのみです(オーストラリア協定第3・18条)。

 

※ 地域的な包括的経済連携協定第3・18条2項

選択肢5. オーストラリア税率の適用を受けて輸入しようとする貨物がオーストラリア協定の締約国以外の地域を経由して本邦に運送されたものである場合において、当該貨物の課税価格の総額が30万円以下であるときは、当該貨物に係る輸入申告の際にオーストラリア協定に基づく運送要件証明書を提出することを要しない。

誤りです。

オーストラリア協定第3・17条4項で「輸出締約国の原産品が一又は二以上の第三国を通過して輸入される場合には、輸入締約国は、自国の関係法令に従い、当該原産品について関税上の特恵待遇を要求する輸入者に対して、当該原産品が第三・8条に規定する原産品に関する要件を満たしていることについての証拠の提出を要求することができる」とされています。

そして、輸入締約国・日本法では、第三国を経由して運送された場合、課税価格の総額が20万円以下の場合を除いて、運送要件証明書の提出が必要とされています(関税法68条、関税法施行令61条1項2号ロ柱書)。

 

※ 地域的な包括的経済連携協定第3・15条2項

運送要件証明書の提出

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