通関士 過去問
第58回(令和6年)
問79 (関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法 問39)

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問題

通関士試験 第58回(令和6年) 問79(関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法 問39) (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述は、輸入通関に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選びなさい。なお、正しい記述がない場合には、「該当なし」を選びなさい。
  • 財務大臣は、災害その他やむを得ない理由により、関税法又は関税定率法その他の関税に関する法律に基づく申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、地域及び期日(当該災害その他やむを得ない理由のやんだ日から3月以内の日に限る。)を指定して、当該期限を延長することができる。
  • 特例輸入者の承認を受けた者が、特例申告を電子情報処理組織(NACCS)を使用して行うことができる能力を有しないこととなった場合であっても、税関長は、その承認を取り消すことができない。
  • 特例輸入者及び特例委託輸入者が電子情報処理組織(NACCS)を使用して行う輸入申告は、関税法第15条第1項又は第9項(入港手続)の規定により当該輸入申告に係る貨物を搭載した外国貿易船の船長又は外国貿易機の機長から当該貨物についての積荷に関する事項が税関に報告される前に、行わなければならない。
  • 輸入申告者側において、輸入貨物である原料の在庫がなく、工場の操業等に支障を来すため、特に引取りを急ぐ理由があると認められるときは、当該輸入貨物について輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けることができる場合に該当することとされている。
  • 申告納税方式が適用される貨物(特例輸入者の特例申告貨物を除く。)を業として輸入する者は、当該貨物の品名、数量及び価格その他の必要な事項を記載した帳簿を備え付け、かつ、当該帳簿を保存しなければならないこととされており、その保存しなければならない期間は当該貨物の輸入の許可の日の翌日から5年間である。
  • 該当なし

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この過去問の解説 (3件)

01

関税法等に規定されている、輸入通関に関する問題です。

選択肢1. 財務大臣は、災害その他やむを得ない理由により、関税法又は関税定率法その他の関税に関する法律に基づく申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、地域及び期日(当該災害その他やむを得ない理由のやんだ日から3月以内の日に限る。)を指定して、当該期限を延長することができる。

誤った内容です。

財務大臣又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、この法律又は関税定率法その他の関税に関する法律に基づく申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、当該災害等のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができると規定されております。

(関税法第2条の3)

選択肢2. 特例輸入者の承認を受けた者が、特例申告を電子情報処理組織(NACCS)を使用して行うことができる能力を有しないこととなった場合であっても、税関長は、その承認を取り消すことができない。

誤った内容です。

特例輸入者の承認を受けようとする者が、特例申告を電子情報処理組織を使用して行うことその他特例申告貨物の輸入に関する業務を適正かつ確実に遂行することができる能力を有していないとき税関長はその承認をしないことができると規定されております。

(関税法第67条の5)

選択肢3. 特例輸入者及び特例委託輸入者が電子情報処理組織(NACCS)を使用して行う輸入申告は、関税法第15条第1項又は第9項(入港手続)の規定により当該輸入申告に係る貨物を搭載した外国貿易船の船長又は外国貿易機の機長から当該貨物についての積荷に関する事項が税関に報告される前に、行わなければならない。

誤った内容です。

特例輸入者又は特例委託輸入者が政令で定めるところにより輸入申告を行う場合、当該輸入申告に係る貨物を搭載した外国貿易船の船長又は外国貿易機の機長から積荷に関する事項を記載した書面が税関に提出された後にするものとすると規定されております。

(関税法第67条の2)

選択肢4. 輸入申告者側において、輸入貨物である原料の在庫がなく、工場の操業等に支障を来すため、特に引取りを急ぐ理由があると認められるときは、当該輸入貨物について輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けることができる場合に該当することとされている。

正しい内容です。

下記、輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けることができる場合に該当する一覧となります。

 

申告者側において、特に引取りを急ぐ理由があると認められる次のような場合 

 イ 輸入貨物が消散、漏洩、変質又は損傷のおそれがあるものである場合 

 ロ 輸入貨物が動植物、貴重品、危険物等である場合 

 ハ 輸入貨物が報道用の写真又はフィルムである場合 

 ニ 展示会等に出品のため時間的制約がある場合 

 ホ 輸入貨物である原料の在庫がなく、工場の操業等に支障をきたす場合 

 ヘ 設計その他都合により工場管理面に支障をきたす場合 

 ト その他取引先への納期が切迫している等の場合

(関税法基本通達73―3―2(2))

選択肢5. 申告納税方式が適用される貨物(特例輸入者の特例申告貨物を除く。)を業として輸入する者は、当該貨物の品名、数量及び価格その他の必要な事項を記載した帳簿を備え付け、かつ、当該帳簿を保存しなければならないこととされており、その保存しなければならない期間は当該貨物の輸入の許可の日の翌日から5年間である。

誤った内容です。

輸入者は、関税関係帳簿の記載事項と関税関係書類との関係が輸入の許可書の番号その他の記載事項により明らかであるように整理し、関税関係帳簿にあつてはその輸入許可貨物の輸入の許可の日の翌日から七年間、関税関係書類にあつては起算日から五年間(前項の規定により関税関係帳簿への記載を省略した場合には、七年間)、輸入者の本店若しくは主たる事務所若しくは当該輸入許可貨物の輸入取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地又は輸入者の住所地に保存しなければならない。

(関税法施行令第83条第6項)

 

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02

本問は、輸入通関の手続きについて知識を問う問題です。

選択肢1. 財務大臣は、災害その他やむを得ない理由により、関税法又は関税定率法その他の関税に関する法律に基づく申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、地域及び期日(当該災害その他やむを得ない理由のやんだ日から3月以内の日に限る。)を指定して、当該期限を延長することができる。

誤りです。

「3月以内」としている部分が誤りです。正しくは「2月以内」です。

 

「財務大臣又は税関長は、災害その他やむを得ない理由((中略)「災害等」という。)により、この法律又は関税定率法その他の関税に関する法律に基づく申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、当該災害等のやんだ日から2月以内に限り、当該期限を延長することができる」と規定されています(関税法2条の3)。

なお、本肢のように「地域及び期日」を指定して期限を延長するのは、「都道府県の全部又は一部にわたり」災害等により、期限までに関税法2条の3規定の行為をすることができないと認める場合です(関税法施行令1条の4第1項)。

選択肢2. 特例輸入者の承認を受けた者が、特例申告を電子情報処理組織(NACCS)を使用して行うことができる能力を有しないこととなった場合であっても、税関長は、その承認を取り消すことができない。

誤りです。

特例申告について、「承認を受けようとする者が、特例申告を電子情報処理組織(中略)を使用して行うことその他特例申告貨物の輸入に関する業務を適正かつ確実に遂行することができる能力を有していないとき」「承認をしないことができる」とされています(関税法7条の5第2号)。

そして、特例輸入者の承認を受けた者が、本号に該当するに至ったときは、税関長は承認を取り消すことができると規定されています(関税法7条の12第1項1号ホ)。

選択肢3. 特例輸入者及び特例委託輸入者が電子情報処理組織(NACCS)を使用して行う輸入申告は、関税法第15条第1項又は第9項(入港手続)の規定により当該輸入申告に係る貨物を搭載した外国貿易船の船長又は外国貿易機の機長から当該貨物についての積荷に関する事項が税関に報告される前に、行わなければならない。

誤りです。

「特例輸入者又は特例委託輸入者が政令で定めるところにより輸入申告を行う場合」、

「輸入申告は、(中略)積荷に関する事項が税関に報告され、又は(中略)積荷に関する事項を記載した書面が税関に提出された後にするものとする」と規定されています(関税法67条の2第4項、同3項3号)。

選択肢4. 輸入申告者側において、輸入貨物である原料の在庫がなく、工場の操業等に支障を来すため、特に引取りを急ぐ理由があると認められるときは、当該輸入貨物について輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けることができる場合に該当することとされている。

正しいです。
関税法基本通達において、輸入許可前引取りの承認の基準が示されています。
関税法基本通達73-3-2において、
「輸入許可前引取の承認の申請があったときは、法第73条第2項に規定する場合のほか専ら関税の納期限の延長を目的とする等明らかに制度の本旨に反すると認められる場合を除き、その申請に係る貨物が有税品であると無税品であるとにかかわらず、その承認をして差し支えない」とされ、
そのうえで、特に承認して差し支えない場合について例示されています。

本肢は、「輸入貨物である原料の在庫がなく、工場の操業等に支障をきたす場合」(関税法基本通達73-3-2(2)ホ)にあたり、
「申告者側において、特に引取りを急ぐ理由があると認められる次のような場合」(関税法基本通達73-3-2(2)柱書)として、特に「輸入許可前引取の承認をして差し支えない」場合の例として挙げられています(関税法基本通達73-3-2)。

 

選択肢5. 申告納税方式が適用される貨物(特例輸入者の特例申告貨物を除く。)を業として輸入する者は、当該貨物の品名、数量及び価格その他の必要な事項を記載した帳簿を備え付け、かつ、当該帳簿を保存しなければならないこととされており、その保存しなければならない期間は当該貨物の輸入の許可の日の翌日から5年間である。

誤りです。
保存期間を5年としている部分が誤りです。正しくは7年です。

申告納税方式が適用される貨物を業として輸入する者の、帳簿および書類の保存については、関税法94条1項本文、関税法施行令83条6項で以下のことが規定されています。

申告納税方式が適用される貨物(特例輸入者の特例申告貨物を除く。)を業として輸入する者は、関税関係帳簿を備え付け、関税関係書類を保存しなければなりません。

【関税関係帳簿】
貨物の品名、数量及び価格その他の必要な事項を記載したもの
輸入許可貨物の輸入の許可の日の翌日(起算日)から7年間保存

【関税関係書類】
当該関税関係帳簿及び当該貨物に係る取引に関して作成し又は受領した書類その他の書類で政令で定めるもの
起算日から5年間保存(関税関係帳簿への記載を省略した場合、7年間)

参考になった数5

03

輸入申告は通関士試験で重要項目であり、関税法においては、1,2問出題される傾向があります。書類の保存期間や許可日から○○年といった年数を正確に理解しているか問われるケースも多々あります。基礎をしっかり理解し、練習問題や過去問を反復して何を聞かれても答えるようにする事が大切です。

選択肢1. 財務大臣は、災害その他やむを得ない理由により、関税法又は関税定率法その他の関税に関する法律に基づく申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、地域及び期日(当該災害その他やむを得ない理由のやんだ日から3月以内の日に限る。)を指定して、当該期限を延長することができる。

誤った内容です。
災害その他やむを得ない理由により関税に関する法律に基づく申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をする事が出来ないと認めるときは、災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2月以内の日に限り期間を延長できるとされています。3月以内が誤りです。
 

選択肢2. 特例輸入者の承認を受けた者が、特例申告を電子情報処理組織(NACCS)を使用して行うことができる能力を有しないこととなった場合であっても、税関長は、その承認を取り消すことができない。

誤った内容です。
特例輸入者が電子情報処理組織(NACCS)を使用して行う事が出来る能力を有しないこととなった場合、税関長は承認しないとされている為、誤った内容です。

選択肢3. 特例輸入者及び特例委託輸入者が電子情報処理組織(NACCS)を使用して行う輸入申告は、関税法第15条第1項又は第9項(入港手続)の規定により当該輸入申告に係る貨物を搭載した外国貿易船の船長又は外国貿易機の機長から当該貨物についての積荷に関する事項が税関に報告される前に、行わなければならない。

誤った内容です。
特例輸入者及び特例委託輸入者のNACCSを使用して輸入申告を行う場合、申告に係る貨物を搭載した外国貿易船の船長又は外国貿易機の機長から貨物についての積荷に関する事項が税関に報告された後に行うとされています。よって誤りです。
 

選択肢4. 輸入申告者側において、輸入貨物である原料の在庫がなく、工場の操業等に支障を来すため、特に引取りを急ぐ理由があると認められるときは、当該輸入貨物について輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けることができる場合に該当することとされている。

正しい内容です。
輸入許可前における貨物の引き取り承認について原料の在庫がなく工場の操業等に支障をきたすため、引き取りに急ぐ場合は税関長の承認を受ける事で輸入許可前の引き取りが出来ます。
 

選択肢5. 申告納税方式が適用される貨物(特例輸入者の特例申告貨物を除く。)を業として輸入する者は、当該貨物の品名、数量及び価格その他の必要な事項を記載した帳簿を備え付け、かつ、当該帳簿を保存しなければならないこととされており、その保存しなければならない期間は当該貨物の輸入の許可の日の翌日から5年間である。

誤った内容です。
帳簿を保存しなければいけない期間は貨物の輸入の許可の日の翌日から7年間とされている事から、5年間という期間が誤りです。

参考になった数3