薬剤師の過去問
第99回
薬学実践問題(薬理/実務、薬剤/実務) 問246
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問題
薬剤師国家試験 第99回 薬学実践問題(薬理/実務、薬剤/実務) 問246 (訂正依頼・報告はこちら)
65歳女性。咳と痰がひどいため近医を受診。保険薬局で薬剤師が以下の処方せんを受け付け、お薬手帳を確認し処方監査を行った。
お薬手帳には以下の薬剤が記載されていた。
この中で上記処方と併用した場合、処方医に対し、疑義照会の対象になる薬剤はどれか。2つ選べ。
お薬手帳には以下の薬剤が記載されていた。
この中で上記処方と併用した場合、処方医に対し、疑義照会の対象になる薬剤はどれか。2つ選べ。
- モンテルカストナトリウム錠
- フルボキサミンマレイン酸塩錠
- 八味地黄丸エキス穎粒
- 葛根湯エキス穎粒
- ガスター10(ファモチジンを含有する一般用医薬品)
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この過去問の解説 (2件)
01
問題文には、併用した場合、疑義照会の対象になる薬剤はどれかとありますので、順に確認していきます。
1、モンテルカストナトリウム錠
ロイコトリエン拮抗作用により気管支喘息の症状を抑えます。特に問題ありません。
2、フルボキサミンマレイン酸塩錠
SSRI、抗うつ薬です。CYP1A2、CYP2C19を強く阻害し、臨床上、相互作用に注意が必要な薬剤です。
テオフィリンはCYP1A2で代謝される為、併用によりテオフィリンの血中濃度が上昇し、中毒症状が発現する可能性があります。
よって、疑義照会が必要となります。
3、八味地黄丸エキス穎粒
六味地黄丸に桂皮と附子を加えた、腎陽虚に用いる漢方薬です。
地黄が含まれている為、胃腸症状が出る場合がある事と、附子が含まれている事を覚えておけば良いでしょう。
附子はトリカブトの塊根を乾燥させたもので、主な成分はアルカロイドのアコニチンです。過量投与で心悸亢進、のぼせ、悪心等が出現する為、附子が含まれている漢方の併用には注意が必要です。
但し、本問では他に漢方は併用されておらず、特に問題はありません。
4、葛根湯エキス穎粒
風邪症状によく使われる漢方薬です。
葛根湯という名前の通り葛根が含まれていますが、それよりも他にもっと重要なのが麻黄が含まれている事です。
麻黄の主成分はエフェドリンで、エフェドリンには交感神経刺激作用があります。
キサンチン系のテオフィリンはホスホジエステラーゼ阻害作用によりcAMP濃度を上昇させ、交感神経刺激作用(β刺激)を生じます。
麻黄とテオフィリンの併用により、交感神経刺激作用が強く出て、不眠、発汗過多、頻脈、動悸等が生じる場合があります。
よって、疑義照会が必要となります。
5、ガスター10(ファモチジンを含有する一般用医薬品)
H2ブロッカーです。ファモチジンは腎代謝で腎機能には注意が必要ですが、CYPを介した相互作用はありません。
本問では、特に問題はありません。
多数のCYPを阻害するシメチジンと混同しないよう、注意が必要です。
(シメチジンの場合は疑義照会が必要となります)
以上より、回答は2、4となります。
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02
まず、テオフィリンはCYP1A2で代謝されるキサンチン系気管支拡張薬であるということを押さえておきます。
1 モンテルカストナトリウム錠はロイコトリエン受容体拮抗薬であり、主として2C8、2C9及び3A4で代謝されるため、テオフィリンとの併用は問題ありません。
2 フルボキサミンマレイン酸塩錠は、SSRIに分類される抗うつ薬です。CYP1A2、CYP3A4、CYP2D6、CYP2C19を阻害します。よってテオフィリンの代謝を阻害する恐れがあるため、疑義照会が必要です。
3 八味地黄丸エキス穎粒は膀胱炎や腎炎等に用いられます。虚証の人向けなので、体力のある人には向きません。
地黄による胃腸障害、附子による血圧上昇や動悸、発汗などの副作用に注意が必要ですが、テオフィリンとの併用に問題はありません。
4 葛根湯エキス穎粒は、風邪の初期症状に用いられる薬です。今回の問題では葛根湯に含まれる麻黄の主成分である、エフェドリンに注意が必要となってきます。
テオフィリンはホスホジエステラーゼ阻害作用によりcAMPを上昇させ、心機能亢進、気管支拡張作用を示します。
エフェドリンはNAd遊離を介して間接的に交感神経を刺激します。よってテオフォリンとの併用により、交感神経刺激作用が強く出てしまうおそれがあるため、疑義照会が必要です。
5 ファモチジンは肝代謝ではなく腎排泄型のため、併用に問題はありません。
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