薬剤師の過去問
第99回
薬学実践問題(薬理/実務、薬剤/実務) 問254

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問題

薬剤師国家試験 第99回 薬学実践問題(薬理/実務、薬剤/実務) 問254 (訂正依頼・報告はこちら)

一般用医薬品であるリアップ X5(5%ミノキシジル製剤)を求めて女性が薬局を訪れた。
ミノキシジルはATP感受性K+チャネル開口作用を持つ。この作用により引き起こされる可能性のあるものはどれか。2つ選べ。
  • 血糖上昇
  • 気道収縮
  • 冠動脈収縮
  • 反射性徐脈
  • 末梢血管拡張

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この過去問の解説 (2件)

01

正解:1.5

1 ATP感受性K+チャネルが開口することにより、インスリンの分泌が抑制されるため、血糖が上昇する可能性があります。

2 気道に対する作用は、現在特に言われていません。

3 ミノキシジルは元々高血圧の治療薬として開発されていました。よって血管を弛緩させます。

4 血圧が急激に上昇した時に、それを下げようとすることで起こる除脈のことを、反射性除脈と言います。ATP感受性K+チャネル開口により血管は拡張し、血圧は下がります。よって反射性除脈は起こり得ません。

5 ミノキシジルは血管拡張作用を持ちます。

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02

ATP感受性K+チャネルは、細胞内ATP濃度により活性が調節されるカリウムチャネルで、活性化すると細胞内から細胞外へカリウムイオンを流出させて、細胞膜過分極を引き起こし、細胞内カルシウム濃度を低下させます。

主に心筋細胞、膵臓β細胞、血管平滑筋などに分布し、ATPが上昇すると抑制されます。

1.正しいです
膵臓β細胞からのインスリン分泌の機序として、糖代謝亢進→細胞内ATP濃度上昇→膵臓β細胞のATP感受性K+チャネルが抑制される→脱分極→電位依存性カルシウムチャネルが開口しカルシウムが細胞内に流入→その刺激でインスリン分泌、という機序が考えられています。
(SU薬はATP感受性K+チャネル拮抗薬で、上記機序でインスリン分泌を促進します)

ATP感受性K+チャネルが開口すると、インスリン分泌が抑制される為、血糖が上昇します。

機序が複雑なので、ATP感受性K+チャネルは虚血、低酸素、低血糖を改善する為に活性化する、と覚えておくとわかりやすいかもしれません。
低血糖の際に開口する→血糖を上げる、といった感じです。

2、誤りです。
気道に対する作用は現在わかっていません。
もし作用があったとしても、過分極→電位依存性カルシウムチャネルを抑制→平滑筋弛緩、といった機序が考えられるので気道収縮はしないと考えら
ます

3、誤りです。
血管平滑筋を弛緩させるため、収縮はおこしません

4、誤りです。
反射性徐脈は血圧が高くなると、それを下げるために心臓の働きを抑えようとして起きる生体反応です。
ATP感受性K+チャネルが開口すると、血管が拡張し、血圧は下がります。

5、正しいです
血管平滑筋を弛緩させるため、末梢血管が拡張します。
本来ミノキシジルは血管を拡張し、血圧を下げるために用いられていました。その後、脱毛症に効果がある事がわかり、発毛剤として用いられるようになりました。

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