1級土木施工管理技士 過去問
令和6年度
問30 (問題A 3 問10)

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問題

1級土木施工管理技士試験 令和6年度 問30(問題A 3 問10) (訂正依頼・報告はこちら)

地すべり防止工に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
  • アンカー工は、斜面から不動地盤にテンドン(鋼材等)を挿入し、基盤内に定着させた鋼材の引張強さを利用して斜面を安定化させる工法で、締付け効果を期待するものと引き止め効果を利用するものがある。
  • アンカーの定着長は、地盤とグラウトとの間及びテンドン(鋼材等)とグラウトの間の付着長について比較を行い、それらのうち短いほうを採用する。
  • 杭工は、杭をすべり面を貫いて不動土塊まで挿入することによって、移動土塊の滑動力に対して直接抵抗する工法で、杭の根入れ部となる基盤が弱く、地盤反力が期待できない場所に用いられる。
  • 杭工に用いられる杭材は、鋼管杭、H型鋼杭、RC杭、PC杭等があり、杭の配列は地すべりの運動方向に対して概ね平行とし、杭の間隔は等間隔とする。

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この過去問の解説 (2件)

01

地すべり防止工には「抑制工」と「抑止工」があります。それぞれの特性が違いますのでしっかり把握しましょう。

設問は地すべり防止工の各工法に対するものです。

選択肢1. アンカー工は、斜面から不動地盤にテンドン(鋼材等)を挿入し、基盤内に定着させた鋼材の引張強さを利用して斜面を安定化させる工法で、締付け効果を期待するものと引き止め効果を利用するものがある。

〇アンカー工法には、引張り材を地盤に定着させてプレストレスを与えることで得られる引張強さを利用して法面の安定を図るグランドアンカー工法と、

小さい削孔に鋼材などの引張り材を挿入しこれを基盤と定着させることで鋼材の引張り強さを利用して法面の安定を図るアースアンカー工法があります。適切です。

選択肢2. アンカーの定着長は、地盤とグラウトとの間及びテンドン(鋼材等)とグラウトの間の付着長について比較を行い、それらのうち短いほうを採用する。

×アースアンカー工法はアンカーの引っ張り強さを利用して法面の安定を図る工法ですが、テンドンとグラウトの付着長は長いほど引っ張りに対する抵抗力が大きくなります。それらのうち短いほうを採用するは間違いです。不適切です。

選択肢3. 杭工は、杭をすべり面を貫いて不動土塊まで挿入することによって、移動土塊の滑動力に対して直接抵抗する工法で、杭の根入れ部となる基盤が弱く、地盤反力が期待できない場所に用いられる。

×杭抑止工は地盤反力が期待できない場所に用いられますが、基盤が弱いと杭の反力が得られません。基盤の弱い場所に用いられるは間違いです。不適切です。

選択肢4. 杭工に用いられる杭材は、鋼管杭、H型鋼杭、RC杭、PC杭等があり、杭の配列は地すべりの運動方向に対して概ね平行とし、杭の間隔は等間隔とする。

×杭工に用いられる杭の配列は、地すべりの運動方向に対して概ね直角に等間隔に配置します。設問の「地すべりの運動方向に対して概ね平行とし」は間違いです。不適切です。

まとめ

地すべり防止工は地すべりを防止する為に行う工事で、水を浸透させなくしたり、地下水を汲み上げて地すべりの要因となるものを取り除く「抑制工」と、土留め擁壁や法面の土塊に抵抗力を加えて地すべりを止める「抑止工」があります。

それぞれの工法の特性を把握しないと抑止効果の発揮が期待できませんので、各工法の特性を十分理解することが大事です。

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02

地すべり防止工に関する問題です。

地すべり防止計画にあたり、地すべりの発生要因を明らかにして、抑制工・抑止工の選定と配置する必要があります。

選択肢1. アンカー工は、斜面から不動地盤にテンドン(鋼材等)を挿入し、基盤内に定着させた鋼材の引張強さを利用して斜面を安定化させる工法で、締付け効果を期待するものと引き止め効果を利用するものがある。

記述は適当です。

アンカー工は、アンカー頭部・アンカー本体・引張り部により成り立ち、不動地盤にテンドンを定着し、導入した張力で斜面の安定を高めます。

地盤や地すべりの状況により、締付け効果(※1)に期待するか、引き止め効果(※2)に期待するかを判断して設計します。

 

※1:プレストレスを導入しすべり面に作用する垂直応力を増加させることで、せん断抵抗力を高めます。

※2:地すべり土塊を基盤側に引き戻し、滑動力に対抗します。

 

選択肢2. アンカーの定着長は、地盤とグラウトとの間及びテンドン(鋼材等)とグラウトの間の付着長について比較を行い、それらのうち短いほうを採用する。

記述は不適当です。

アンカーの定着長は、地盤とグラウトとの間及びテンドン(鋼材等)とグラウトの間の付着長について比較を行い、それらのうち長いほうを採用します。

定着長を短い方を採用すると、期待する付着力が確保できなくなります。

選択肢3. 杭工は、杭をすべり面を貫いて不動土塊まで挿入することによって、移動土塊の滑動力に対して直接抵抗する工法で、杭の根入れ部となる基盤が弱く、地盤反力が期待できない場所に用いられる。

記述は不適当です。

杭工は、杭を不動土塊まで挿入することによって、移動土塊の滑動力に対して直接対抗します。

地盤反力を十分に期待できる強固な基盤(不動土塊)があることが前提です。

選択肢4. 杭工に用いられる杭材は、鋼管杭、H型鋼杭、RC杭、PC杭等があり、杭の配列は地すべりの運動方向に対して概ね平行とし、杭の間隔は等間隔とする。

記述は不適当です。

杭列は地すべりの運動方向に対して直角とします。

また、杭間隔は等間隔に配置します。

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