第一種衛生管理者の過去問
平成26年10月公表
労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの) 問30
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
第一種 衛生管理者試験 平成26年10月公表 労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの) 問30 (訂正依頼・報告はこちら)
労働衛生管理に用いられる統計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 生体から得られたある指標が正規分布という型をとって分布する場合、そのバラツキの程度は、分散や標準偏差によって表される。
- 集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。
- 健康管理統計において、ある時点での検査における有所見者の割合を有所見率といい、一定期間に有所見が発生した者の割合を発生率という。
- ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められても、それらの間に因果関係がないこともある。
- 労働衛生管理では、種々の検査において、正常者を有所見者と判定する率が低くなるようにスクリーニングレベルが高く設定されるため、有所見の判定の的中率が低い統計データとなる。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (4件)
01
ある母集団(データの集まり)のばらつきぐあいを示した値です。
分散が高ければ高いほどデータのばらつき具合が大きく、小さければ小さいほどばらつきが小さいといことになります。
(標準偏差)
分散の平方根(ルート√)をとったもの。分散と同じくデータのばらつき具合を示したものです。
(相関係数)
ある2つのデータに相関関係があるか示した値です。1から-1の間の値をとり、1に近づけば近いほど2つのデータは相関関係にあり、0に近づくと無相関になる。-1に近づけば近づくほど逆相関関係になります。
ただし、この相関関係は、あるデータが高いと、もう一つのデータも高くなるといった2つのデータの連動具合を見ただけで、原因と結果といった因果関係を示すものではありません。
よく言われるのが、太陽の黒点が多くなると、株価が上昇するというものです。データで見れば太陽の黒点数と株価データは正の相関をしているのですが、因果関係はよくわかっていません。
(有所見率と発生率)
有所見とは健康診断や検査などで「所見あり」と判断されたもののことで、所見ありとは「正常ではない」という意味で、病気のようなあきらかな異常ではないが、正常ではないという意味です。
有所見率とはある時点(例えば健康診断の日)における検査の有所見者の割合をいいます。
一定期間(例えば1年間)に有所見が発生した人の割合を発生率といいます。
(スクリーニングレベル)
スクリーニングレベルとは、ある集団の中から、正常者と有所見者を選び出す判定値のことです。
このスクリーニングレベル(判定値)から外れる者が有所見者となります。
スクリーニングレベルを高く設定すると、そこから外れる者が少なくなるので、有所見者が少なくなります。
逆にスクリーニングレベルを低く設定すると、多くの者が判定値から外れるので、有所見者が多くなります。
例えば、血圧を測定したとします。この正常範囲を①130~85mmHgとするか、②140~90㎜Hgとするかで、正常判定される者、有所見とされる者の数が変わってきます。この②の状態がスクリーニングレベルが高い状態で①の状態がスクリーニングレベルが低い状態となります。
①を正常範囲として設定した場合、②の状態に比べて、有所見者が増加します。逆に②を正常範囲とすると、①と②の間の値の人たちは正常者として判定されてしまいます。
ここからスクリーニングレベルは低く設定し、有所見者となる率が高くなるように設定されています。
では問題をみてみましょう。
1.正しいです。分散や標準偏差はデータのばらつきをあらわしたものです。
2.正しいです。ばらつきの多いデータでも少ないデータでも同じ平均値になることもありますが、データの特性は違うものといえます。
3.正しいです。
4.正しいです。
5.誤りです。スクリーニングレベルは低く設定されています。
参考になった数223
この解説の修正を提案する
02
2は「平均値が等し」くても、データのバラツキ具合を表す「分散」が異なっていれば、そのデータの持つ特徴は違ってくるので、正しいです。
3について、「有所見率」と「発生率」はその対象期間が異なり、説明は正しいです。
4の「相関関係」は、たとえ認められても、他の事象が原因であって、直接因果関係がないこともあるので、正しいです。
5の「労働衛生管理」では、正常者を有所見者と判定する割合が高くなるようスクリーニングレベルが低く設定されているので、誤りです。
よって、5が正解です。
参考になった数98
この解説の修正を提案する
03
文中の「正常者を有所見者と判定する率が低くなるようにスクリーニングレベルが高く設定」という部分が誤りです。正しくは「正常者を有所見者と判別する率が高くなるようにスクリーニングレベルが低く設定」です。
スクリーニングとはスクリーニング検査のことで無症状の物に対し、ある疾患の疑いを検出するものです。
労働衛生管理では働く人たちの健康が大事に至らないようにするために少しでも疑わしい人には精密検査を受けてもらい、早期発見や予防に努めてもらうねらいがあります。
他の選択肢については文のとおりです。
用語について補足します。
正規分布:平均値近くの分布が最も多く、左右対称の釣り鐘型になる分布。
分散:データのばらつき
標準偏差:データの散らばり具合を数値で表したもの
参考になった数52
この解説の修正を提案する
04
1.〇 「正規分布」の場合には、そのバラツキの程度は、分散や標準偏差によって表されます。
2.〇 「集団」を比較する場合には、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても、「分散」が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価されます。
3.〇 「有所見率」と「発生率」の正しい設問です。
4.〇 「相関関係」が認められても、「因果関係」がないこともあります。
5.× スクリーニングレベルは「高く設定」ではなく、「低く設定」されています。
参考になった数52
この解説の修正を提案する
前の問題(問29)へ
平成26年10月公表問題一覧
次の問題(問31)へ