第一種衛生管理者 過去問
令和5年10月公表
問18 (労働衛生(有害業務に係るもの) 問8)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第一種 衛生管理者試験 令和5年10月公表 問18(労働衛生(有害業務に係るもの) 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

作業環境における有害要因による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。
  • 熱けいれんは、高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまい、失神などの症状がみられる。
  • 全身振動障害では、レイノー現象などの末梢(しょう)循環障害や手指のしびれ感などの末梢神経障害がみられ、局所振動障害では、関節痛などの筋骨格系障害がみられる。
  • 低体温症は、低温下の作業で全身が冷やされ、体の中心部の温度が35℃程度以下に低下した状態をいう。
  • マイクロ波は、赤外線より波長が短い電磁波で、照射部位の組織を加熱する作用がある。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

作業環境における有害要因による健康障害に関する問題です。

労働災害を防ぐために必要な知識となります。

 

では、選択肢をみていきましょう。

選択肢1. 潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。

誤りです。

文中の「血液中に溶け込んでいた酸素」の「酸素」の部分が誤りで、
正しくは「窒素」です。

 

選択肢2. 熱けいれんは、高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまい、失神などの症状がみられる。

誤りです。

文全体が誤りです。

 

熱けいれんは、多量発汗と水分の過剰摂取により起こります。

汗をかくことで体内の水分と塩分(電解質)が奪われます。
この時、水分のみを補給すると、血中の塩分(電解質)の濃度が薄まり、
身体に影響を与えます。

 

症状は、失神ではなく、
ふくらはぎ、足、ふともも、腕などの筋肉に生じる強い収縮です。

 

選択肢3. 全身振動障害では、レイノー現象などの末梢(しょう)循環障害や手指のしびれ感などの末梢神経障害がみられ、局所振動障害では、関節痛などの筋骨格系障害がみられる。

誤りです。

書かれている症状がすべて局所振動障害によるものです。

 

全身振動障害では振動により自律神経に影響を与え、
自律神経障害が起こります。
全身振動障害の主な症状としては、めまい、頭痛、腸障害などです。

 

選択肢4. 低体温症は、低温下の作業で全身が冷やされ、体の中心部の温度が35℃程度以下に低下した状態をいう。

正しいです。文のとおりです。

選択肢5. マイクロ波は、赤外線より波長が短い電磁波で、照射部位の組織を加熱する作用がある。

誤りです。

文中の「赤外線より波長が短い」が誤りで、
「赤外線より波長が長い」が正しいです。

 

参考になった数175

02

作業環境における有害要因による健康障害に関する問題です。どのような有害要因がどのような健康障害を引き起こすのか、関係性を正確に理解しておく必要があります。

選択肢1. 潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。

減圧症は、潜水から浮上したことによる減圧に伴い、血液中や組織中に溶け込んでいた「窒素」の気泡化が原因となり、血管を閉塞するなどの症状を引き起こすことを言います。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

選択肢2. 熱けいれんは、高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまい、失神などの症状がみられる。

熱けいれんは、多量の発汗をしたのち、真水や塩分濃度の低い飲料を補給して、血液中の塩分濃度が低下することにより引き起こされる筋肉のけいれんなどを言います。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

選択肢3. 全身振動障害では、レイノー現象などの末梢(しょう)循環障害や手指のしびれ感などの末梢神経障害がみられ、局所振動障害では、関節痛などの筋骨格系障害がみられる。

全身振動障害ではなく、局所振動障害としてレイノー現象などの末循環障害や手指のしびれ感などの末神経障害がみられます。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

選択肢4. 低体温症は、低温下の作業で全身が冷やされ、体の中心部の温度が35℃程度以下に低下した状態をいう。

低温下の作業で全身が冷やされて、体の中心部の温度(深部体温)が 35℃程度以下に低下した状態を低体温症と言います。

よって、本選択肢の内容は正しいです。

選択肢5. マイクロ波は、赤外線より波長が短い電磁波で、照射部位の組織を加熱する作用がある。

マイクロ波の方が赤外線よりも波長は「長い」です。なお、照射部位の組織を加熱する作用はあります。

よって、本選択肢の内容は誤りです。

参考になった数33

03

主な作業環境における有害要因による健康障害を以下に列挙します。

 

熱けいれん:発汗で塩分が不足した時に水分を補給することで、血中の塩分が低下し、筋肉けいれんを発症


熱虚脱皮膚温度の上昇により血液が皮膚にたまり、血液の循環が悪くなり、血圧低下、頻脈、頭痛、めまい、失神等を発症


熱射病体温調節機能が低下し、発汗停止、体温上昇、意識障害などを発症


低体温症:低温下の作業で全身が冷やされ、体内温度が35℃以下になり、意識消失、筋硬直などの症状

 

減圧症:潜水業務等で、高圧環境から常圧環境に戻る際に、減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた窒素が気泡となり、血管を閉塞したりすることにより発生。皮膚のかゆみ、関節痛、呼吸困難、神経麻痺などの症状


騒音性難聴:一定レベル以上の騒音を長時間聴いくことで内耳障害が起き、音を神経に伝えることが困難になる。通常の会話よりも高い音(4,000Hz前後)の聴力から低下する。
 

局所振動障害:チェーンソーや削岩機など10~500Hzで振動する工具の使用が原因で、手のしびれ、こわばりなどの末梢神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。
 

全身振動障害:周波数が数十~100Hzの振動が全身に作用することにより起きる。血圧上昇、胃腸障害、ホルモン異常などがみられる。


電離放射線の早期障害:被ばく後の早い期間に、造血系障害、消化管障害、中枢神経障害、皮膚障害などの症状が現れる。早期障害にはしきい値があり、その数値を超えると健康に影響がでる。


電離放射線の晩発障害:被ばく後数~数十年後に、発がん、白血病、白内障などの症状。
 

金属熱:亜鉛、銅などのヒュームを吸入して壊死を起こした気管粘膜のタンパク質やそれが金属と結合したものがアレルゲンとなってアレルギー反応を起こす。悪寒、発熱、関節痛などの症状。

選択肢1. 潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。

誤りです。

 

減圧症は、血液中の窒素が気泡になる事が原因です。

選択肢2. 熱けいれんは、高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまい、失神などの症状がみられる。

誤りです。

 

熱けいれんは、発汗で塩分が不足した時に水分を補給することで、血中の塩分が低下し、筋肉けいれんを発症するものです。

 

問題文の症状は、熱虚脱の説明です。

選択肢3. 全身振動障害では、レイノー現象などの末梢(しょう)循環障害や手指のしびれ感などの末梢神経障害がみられ、局所振動障害では、関節痛などの筋骨格系障害がみられる。

誤りです。

 

全身振動障害は、周波数が20~100Hzの振動が全身に作用することにより起きるもので、血圧上昇、胃腸障害、ホルモン異常などがみられるものです。

 

問題文の症状は、局所振動障害の説明です。

選択肢4. 低体温症は、低温下の作業で全身が冷やされ、体の中心部の温度が35℃程度以下に低下した状態をいう。

正しいです。

選択肢5. マイクロ波は、赤外線より波長が短い電磁波で、照射部位の組織を加熱する作用がある。

誤りです。

 

マイクロ波は、波長が1mm~1m程度あり、赤外線の波長(~1mm)より長いです。

参考になった数21