三相交流回路と電圧降下に関する問題です。
この問題を解く際には、以下に示した2つのことに注意しましょう。
※三相交流回路では、各線を流れる電流の位相は、互いに120°ずれています。この問題では、相順を一番上の電線→真ん中の電線→一番下の電線と仮定してみましょう。
※問題文では、各線に10Aの電流が流れていると説明されています。ですが、この値は「実効値」であることに注意しましょう。交流回路では、電圧や電流は時々刻々と変化しています。また、実効値が10(A)のとき、「最大値」は10√2(A)となります。
それでは、問題を解いてみましょう。一番上の電線に流れる電流を10√2sin(ωt)(A)と表します。このとき、真ん中の電線に流れる電流は10√2sin(ωt-120°)(A)となります。ここで使用したωは角周波数を表しています。
オームの法則より、一番上の電線での電圧降下、真ん中の電線での電圧降下を求めると以下のようになります。
(一番上の電線での電圧降下)
=0.15(Ω)×10√2sin(ωt)(A)
=1.5√2sin(ωt)(V)
(真ん中の電線での電圧降下)
=0.15(Ω)×10√2sin(ωt-120°)(A)
=1.5√2sin(ωt-120°)(V)
また、キルヒホッフの法則より
(Vs - Vr)
=(一番上の電線での電圧降下)-(真ん中の電線での電圧降下)
となります。
したがって
(Vs - Vr)
=1.5√2sin(ωt)-1.5√2sin(ωt-120°)
=1.5√2×2×cos(ωt-60°)×sin(60°)…★
=1.5√6cos(ωt-60°)
となります。
求める値は、(Vs - Vr)の実効値なので
1.5√6/√2=1.5√3≒2.6(V)が答えになります。
よって正解は2番です。
【補足】
★の部分は、以下に示した三角関数の公式を使って式変形をしています。
sin(A)-sin(B)=2×cos(A/2+B/2)×sin(A/2-B/2)