あん摩マッサージ指圧師の過去問
第27回（2019年）
午前 問71

先ず「発汗」「手指振戦」「痩せ」

ということから、バセドウ病が思い浮かぶかも知れませんが、甲状腺ホルモンである、トリヨードサイロニンやサイロキシンが選択肢にないことから、除外できます。

次に、「副腎の腫瘍」ということから、

先ず最も多い、「原発性アルドステロン症」（高血圧、低カリウム血症）か、

コルチゾールにより肥満となる「クッシング症候群」、

または、

カテコールアミンによって高血圧、発汗、動悸、手指振戦、痩せなどの症状のでる「褐色細胞腫」という、

副腎ホルモンの種類に由来する疾患の中で、

本症例に最も近いのは、「褐色細胞腫」とわかります。

このカテコールアミンは、副腎髄質から分泌されます。

症状から鑑みた場合、副腎髄質の腫瘍による褐色細胞腫の疑いが強く、過剰分泌されているホルモンは『カテコールアミン』と言えます。

1．球状層は、『アルドステロン』の合成・分泌を担っています。

2．束状層は、『コルチゾール』の合成・分泌を担っています。

3．網状層は、『アンドロゲン』の合成・分泌を担っています。

4．髄質は、『カテコールアミン』の合成・分泌を担っており、正答となります。

副腎の腫瘍が原因となる疾患としては、クッシング症候群、褐色細胞腫、原発性アルドステロン症などが考えられます。

それぞれの疾患の特徴としては
・クッシング症候群
　症状：中心性肥満（満月様顔貌、水牛様脂肪沈着）、糖尿病、骨粗鬆症、筋力低下、筋萎縮、高血圧、多毛、ざ瘡、月経異常、不眠、うつ症状、免疫機能低下など

・褐色細胞腫
　症状：高血圧、頭痛、発汗、高血糖、代謝亢進、頻脈、顔面蒼白、四肢冷感、手指振戦、やせ、腹痛、悪心、嘔吐など

・原発性アルドステロン症
　症状：低血糖、低血圧、Na血症、高K血症、恥毛の脱落、色素沈着など


手指振戦という特徴的な症状から「褐色細胞腫」と考えられます。

褐色細胞腫は副腎髄質や傍神経節などクロム親和性組織から発生し、多量のカテコールアミンを分泌します。


１．球状層
　　副腎皮質にあたり、電解質コルチコイドを分泌します。

２．束状層
　　副腎皮質にあたり、糖質コルチコイドを分泌します。

３．網状層
　　副腎皮質にあたり、副腎アンドロジェンを分泌します。