問題
「58歳の男性。子どものときに左肘を骨折した。最近、小指にしびれを感じるようになった。上腕骨内側上顆と肘頭の間を押すと放散痛がみられる。」
ティネル徴候で放散痛が走る部位と一致する経脈として、最も考えられるのはどれか。
子どもの頃左肘骨折の既往がある58歳の男性は、
最近、小指のしびれと、
上腕骨内側上顆と肘頭の間を押したときに
放散痛がみられていました。
ティネル徴候は、神経絞扼部を圧迫することにより、
その神経の走行部位に痺れが誘発されるものです。
太陽小腸経は、
手の小指爪根からおこり、手背尺側、
手関節後面、肘関節、腋窩横紋後端を経て、
前腕耳珠に至ります。
男性患者の症状から、尺骨神経障害が疑われ、
放散痛が走る部位と経脈が一致しているといえますので、
これが正解であると考えられます。
太陰肺経は、胸部からおこり、
上腕前面、肘窩横紋、手首前面横紋を経て、
母指橈側爪甲根部に至ります。
陽明大腸経は、
示指橈側爪甲根部におこり、
手関節後橈側、前腕、肘窩横紋の外方、
肩を経て、鼻唇溝中に至ります。
厥陰心包経は、胸部におこり、
上腕、肘窩横紋尺側、手関節前面横紋、
手掌を経て中指に至ります。
選択肢に挙げられた経脈の流注について
確認しておきましょう。
ティネル徴候は神経損傷を見るテストで、神経走行上を叩く事によって、傷害されている神経を調べるものです。
小指に痺れがあり、上腕骨内側上顆と肘頭の間を押すと放散痛が現れることから、尺骨神経の障害が考えられ、また、肘の骨折が原因と考えられるため、前腕後内側にティネル徴候が現れることが予想できます。
正答は流注において、【前腕後内側】を通る経脈となります。
1.太陽小腸経は、小指内側端に起り、手の内側、【前腕後内側】、【尺骨神経孔】を通るため正答となります。
太陽小腸経の流注は尺骨神経の走行です。
2.太陰肺経は、上腕前外側から【肘窩】、【前腕前外側】、手関節前面横紋外端を通り、母子外側端に終わります。
太陰肺経の流注は橈骨神経の走行となります。
3.陽明大腸経は示指外側に起り、【前腕後外側】を上り、【肘窩横紋外側】に至ります。
陽明大腸経の流注は橈骨神経の走行となります。
4.厥陰心包経は、上腕前面、【肘窩】、【前腕前面】、手掌を通り中指先端中央に終ります。
厥陰心包経の流注は正中神経の走行となります。