問題
「 41 歳の男性。2 か月前から大腿及び下腿後面、足底にかけて痛みが出現した。MRI 検査で椎間板ヘルニアと診断されている。SLR テスト陽性。」
身体診察で患側にみられる可能性が最も高いのはどれか。
MRI検査で椎間板ヘルニアとの診断がついていること、
SLRテストが陽性であること、
大腿〜下腿後面〜足底の痛みがあることから、
L5〜S1間のヘルニアであり、S1神経根障害が生じていると考えられます。
アキレス腱反射は、S1の障害がある場合に亢進しますが、
錐体外路障害の際にも亢進します。
ケンプ兆候は、椎間板の損傷を調べるテストです。
陽性の場合は、坐骨神経の走行部位に疼痛がみられますが、
脊柱管狭窄症の際も陽性になります。
S1神経は腓腹筋を支配しています。
S1神経は腓腹筋を底屈させる筋ですので、
これが正解であると考えられます。
足背部母趾側の触覚鈍麻がみられるのは、
L4に障害がある場合です。
障害された脊髄神経により、特徴的な症状がみられます。
解剖とともに確認しておきましょう。
MRIにて椎間板ヘルニアの所見があり、SLRも陽性、下腿後面と足底の痛みという事から、L5-S1椎間板ヘルニアで、S1神経根症状を伴っている椎間板ヘルニアと考えられます。
椎間板ヘルニアでは、腱反射の亢進はみられません。
ケンプ徴候では、腰部に限局した疼痛が出現すれば椎間関節症を疑い、下肢への放散痛やしびれなどが出現すれば、脊柱管狭窄症を疑います。
L5-S1の椎間板ヘルニアによる神経根症状では、下腿三頭筋の筋力低下や、筋委縮がみられます。
知覚はL4が脛骨内側、L5が脛骨の外側、足底がS1です。
L5の固有領域である母趾と第2趾の間、また、S1固有領域である外果下方は覚えておくと良いでしょう。
本症例では S1の神経根症状を疑う為、下腿後面や足底部の知覚鈍麻が考えられます。
もしL4-L5椎間板ヘルニアで、L5の神経根症状が出現している場合には、
脛骨外側部や母指、特に、L5固有領域である母趾と第2趾の間の知覚鈍麻や疼痛が出現します。